23ky-18





山田 脩也(仙台育英3年)遊撃 177/71 右/右





「少し欲が出てきたか?」





 選抜の頃は、あまりにフォア・ザ・チームの自己犠牲の意識が強すぎて、自分のプレーに徹しきれていなかった 山田 脩也 。しかし、最後の夏は、自分で決めるときは決めに行くという欲が、少しずつ出てきたのではないかと感じられた。


走塁面:
☆☆☆★ 3.5

 一塁までの駆け抜けタイムは、早いときで右打席から 4.2秒前後 。これを左打者換算に直すと、3.95秒前後に相当し、このタイムはプロでも 中の上 クラスのスピードがあります。夏の宮城大会では、5試合で5盗塁。機会があれば、積極的に盗塁も仕掛けてきます。圧倒的な脚力ではないのですが、プロでも走塁への意識や癖を上手く盗むなどができれば、それなりに足でアピールできる可能性は秘めています。

守備面:
☆☆☆☆ 4.0

 打球への一歩目の反応やフットワーク・キャッチング・スローイングに至るまで、大きな欠点は見当たりません。そのため、凄いプレーをするというよりは
、堅実で安定感のあるプレーをするタイプかと。特に、状況に応じて様々なプレーができる選択肢を持っており、前にチャージしたり待って捕ったり、スローイングの仕方も複数使い分けているように思えます。春のときは、プロでショートができるのか微妙なラインかと思いましたが、プロでしっかり鍛えられればショートでも勝負できるかもという思いが強くなってきました。結構深いところからでも、アウトにできる地肩も持っています。

 守備でも走塁でも、図抜けてはいませんが、高校生としては高いレベルにあると言えます。特にショートの守備は、今後の取り組み次第では、
プロでもショートして勝負して行ける、そういった可能性を感じるようになりました。






(打撃内容)

 独特のリストワークを使って、
広角に打ち返すバッティングをしてきます。3年夏の甲子園では打率.200厘に終わっていますが、夏の宮城大会では.615厘、秋の国体では.375厘と、それなりの成績を残していました。打撃フォームは、秋の国体の時のものを参考しました。


<構え> 
☆☆☆★ 3.5

 右打席から、軽く前の足を引いてグリップを高めに添えます。腰の据わり具合や両眼での前の見据えはよく、全体のバランスとしては並ぐらいでしょうか。

<仕掛け> 早めOR遅め

 普段は、投手の重心が下がってくる時に動き出す、「早めの仕掛け」を採用。この仕掛けは、対応力を重視したアベレージヒッターに多く観られる始動のタイミングです。しかし、追い込まれると動作を小さくして「遅めの仕掛け」に切り替えて対応しようとします。

<足の運び> 
☆☆☆☆★ 4.5

 足を大きく引き上げて回し込み(追い込まれると軽くステップする形に)、真っ直ぐから少しベース側に踏み込むインステップを採用。早めに始動しますが、上手く「間」を取っているいうよりも、大きく足を引き上げて回し込む動作のために、早めに動き出さない間に合わないという側面の方が強いのかもしれません。

 また、真っ直ぐからインステップ気味に踏み込むということは、少し意識が外よりにあるように感じます。踏み込んだ前の足も、
インパクトの際にしっかり止まっています。そのため、逃げて行く球や低めの球に食らいつくことができます。

 ここで興味深いのは、引き上げた足が早く地面を捉えてしまった場合、つま先だけを地面に着け、
カカトを下ろすタイミングをここで図っているという特殊なタイミングの取り方をできることです。こういった選手はあまり観られない、彼ならではの特殊能力のように思えます。

<リストワーク> 
☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備である、「トップ」の形は早めに作れています。春は、グリップの動きが忙し過ぎる印象を受けたものの、この秋はそれを感じませんでした。ただし、ボールを呼び込む時に、
前の肩が奥に入り込み過ぎているので、内角への素早い対応という意味ではどうなのかな?といった気がします。

 バットの振り出し自体は、けしてインサイドアウトに内からバットが出てくる感じではありません。それでも、バットの先端であるヘッドが下がらないので、広い面でボールを捉えることはできています。ヘッドスピードは鋭くスイングの弧も大きめで、最後まで鋭く振り抜いてきます。
独特のリストワークを魅せ、そのへんは興味深いものがあります。

<軸> 
☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げが大きいので、目線の上下動はそれなり。体の開きは我慢できており、軸足も地面から真っ直ぐ伸びて回転できています。しいて言えば、
軸足の内モモの筋肉にそれほど強さが感じられないでの、この辺が鍛えられると打球の速さや飛距離が変わってくるのではないのでしょうか。

(打撃のまとめ)

 現時点では、
ドラフト候補としては打撃はそれほど目立つものではありません。しかし、独特のハンドリングやつま先を地面に着けながらもカカトを下ろすタイミングを図れるなど、彼ならではの特殊能力が散りばめられています。将来、そういった打撃の感性が、プロで大きく花開くようだと面白そうです。


(最後に)

 春は良い選手ですが、プロに混ぜてしまうと特徴が見え難いなと思える部分もありました。しかし、この秋まで観て、守備ではショートでも勝負して行けそうだということ。そして、打撃にも非常に面白いものを持っているという意味で、さらに興味惹かれるものがありました。春よりもワンランク評価を引き上げて、最終評価としたいと思います。


蔵の評価:
☆☆ (中位指名級)


(2023年秋 国体)


 








山田 脩也(仙台育英3年)遊撃 177/71 右/右 
 




 「フォア・ザ・チームが強すぎるのか?」





 選抜緒戦の慶応戦では、最後で勝ち越し打を放った 山田 脩也 。しかし、選抜の3試合では、12打数2安打 と不振だった。どうも、キャプテンとして、あまりにチームのことを考えすぎて、自分のプレーに集中しきれていないのではないかと心配になる。


走塁面:
☆☆☆★ 3.5

 一塁までの駆け抜けタイムは、早いときで右打席から 4.2秒前後 。これを左打者換算に直すと、3.95秒前後に相当し、純粋な脚力はプロでも俊足レベル。新チーム結成以来の23試合で10盗塁と、それなりに盗塁は仕掛けてくる。しかし現状は、そこまで絶対的な脚力があるとか、走力を全面に押し出すプレーヤーといったほどではない。

守備面:
☆☆☆★ 3.5

 選抜緒戦では焦って送球をミスをしていたが、打球への反応・フットワーク・スローイング共に、ドラフト候補のショートしては基準レベルに達している。新チーム結成以来の23試合で4失策と、安定感という意味でも悪くない。地肩も結構深いところからアウトにできるなど基準以上。プロでショートを任されるほどかは微妙だが、センターラインで勝負して行ける素材であるのは間違いないだろう。

 守備・走塁・打撃に関しても、全てが 中~中の上 クラス と見られてしまうかもしれないが、チームプレーや細かい部分まで考えて実践できる技術や意識が行き届いているので、
高いレベルでの野球にも順応しやすいのではないのだろうか。





(打撃内容)

 チームの2番打者という難しい役回りではあるが、
秋は 23試合 1本 11点 打率.312厘 といった内容だった。ちなみに昨夏は、5試合で打率.364厘 と、下級生ながら好成績を残していた。特にこの選手の良さは、独特のハンドリングを生かした打撃の感性にあるのではないのだろうか。

<構え> ☆☆☆☆ 4.0

 前の足を少しだけ引いて、カカトを浮かせて構えます。グリップを高めに添え、背筋を伸ばして立ちます。両眼で前を見据える姿勢や全体のバランスもとれており、打席でも高い集中力が感じられます。

<仕掛け> 平均的

 投手の重心が下る時に動き出す、「平均的な仕掛け」を採用ある。この仕掛けは、ある程度の確実性と長打力を兼ね備えた、中距離打者や勝負強さを売りにするポイントゲッターに多く見られる始動のタイミングです。

<足の運び> ☆☆☆★ 3.5

 足をしっかり引き上げて回し込み、、ベース側に踏み込んできます。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応できます。インステップすることからも、外角への意識が強そうです。

 踏み込んだ前の足は、インパクトの際にもブレずに我慢できています。そのため、逃げてゆく球や低めの球にも食らいつけます。イメージ的には、山田 哲人(ヤクルト)などを強く意識しているのかもしれません。

<リストワーク> ☆☆☆☆ 4.0

 打撃の準備である「トップ」の形は早めに作れており、速い球に立ち遅れる心配は無さそう。少々バットの動きが忙しすぎる気もしますが、彼なりのタイミングの図り方なのでしょう。

 バットの振り出し自体は、ロスもなくインパクトまで持って来られます。ヘッドも立てる意識があるので、広い面でボールは捉えられており、フェアゾーンにボールが飛びやすい形。スイングの孤も大きめで、けしてひ弱さは感じられません。打球も、右方向にもきっちりはじき返すこともできます。

<軸> ☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げは大きいのですが、目線の上下動は並ぐらい。体の開きは抑えられており、軸足の形としては選抜では少し崩れがちだったようにも見えました。

(打撃のまとめ)

 リストの使い方が独特で面白いなと思え、スイング軌道にも癖がありませんし、受け止める下半身もしっかりできています。特に技術的に悪い部分はなく、環境に慣れるに従い高いレベルの野球に順応して行けるのではないのでしょうか? あとは、
突き抜けた自分の特徴を示せるかだと思います。


(最後に)

 主将として、あまりにチームプレーを意識しすぎて、自分を抑えている感じがしてしまうのは気になります。プロの世界というのは、やっぱり自分がという、
我の強さ は必要な世界なので。イメージ的には、智弁和歌山時代の 黒川 史陽(楽天)をみているようです。そういったものから解き放たれたときには、こんなに力があったのかと驚かされるかもしれません。

 特徴は見え難いのですが、走力・地肩もプロの基準を満たしておりますし、打撃にも面白いものを持っています。そのため個人的には、高校からプロ入りは充分ありなのではないかとみます。基礎的な技術・思考力・基礎の身体能力もありそうなので、割合早い時期に次の段階に進んで行けそうです。大学タイプにも見えなくはありませんが、最後の夏まで能力を見極めてゆきたらと思っています。


蔵の評価:
 (下位指名級)


(2023年 選抜大会)