23ky-17





山口 翔梧(龍谷大平安3年)遊撃 176/68 右/右
 




「やっぱり良い」





 選抜緒戦の長崎日大戦では、攻守に精彩を欠いた 山口 翔梧 。昨秋の近畿大会から、ボールを芯で捉える能力に惹かれるものがあり、気になっていた。選抜2戦目となった仙台育英戦では、第一打席にきっちりライト前にはじき返す。さらに、内角の球をレフトスタンドに叩き込むなど、やっぱりこの選手は良いのだと、改めて実感させられた。


走塁面:☆☆☆★ 3.5

 一塁までの到達タイムは、右打席から 4.2秒前後。これを左打者に換算すると、3.95秒前後と、プロに混ぜても俊足レベル。秋の9試合の公式戦では、盗塁は0個。練習試合含めても、22試合で3盗塁と、脚力はあっても盗塁する能力はあまり高くは無さそうだ。

守備面:
☆☆☆ 3.0

 緒戦では、送球に不安定なところが観られた。しかし、甲子園の雰囲気に慣れてきた2戦目では、元来の軽快な動きを魅せていた。打球への一歩目の反応、フットワークなども悪くなく、上のレベルでショートを任されてゆくかは微妙でも、けして下手な選手ではないだろう。動きは悪くないだけに、送球の安定感という部分をもう少し見極めて行きたい。けして、地肩が弱いわけでは無さそうなので。ちなみに秋は、22試合で2失策だった。






(打撃内容)

 
秋の公式戦では、打率.615厘をマーク。特に、右方向への打撃の上手さが光る。また、選抜でも魅せたように、内角の球を思いっきり引っ張っての長打力も秘めている。

<構え> 
☆☆☆ 3.0

 
前の足を軽く引いて、カカトを浮かせて構えている。グリップを高めに添え、背筋を伸ばしつつ両眼で前を見据える姿勢や全体のバランスとしては並ぐらい。

<仕掛け> 早め

 
投手の重心が下る時に動きだす、「早めの仕掛け」を採用。対応力を重視した、アベレージヒッターによく見られる始動のタイミングです。

<足の運び> 
☆☆☆☆ 4.0

 
足を上げて回し込み、少しベース側に踏み込んできます。始動~着地までの「間」は取れているので、速球でも変化球でもスピードの変化には幅広く対応しやすい。ベース側に踏み込むように、外角への意識の方が高そうだ。踏み込んだ前の足は、インパクトの際にブレずに止まっている。そのため逃げてゆく球や低めの球にも、しっかり食らいつくことができている。

<リストワーク> 
☆☆☆☆ 4.0

 
打撃の準備である「トップ」の形を作るのは自然体で、力みなくボールを呼び込めている。バットの振り出しも、インパクトまでロスがない。また、バットの先端であるヘッドも立っているので、広い面でボールを捉えることができ、フェアゾーンに飛びやすい。

 
けして長打で魅了するタイプではないが、内角寄りの球に対しては、全く開かずにスパンと振り抜くことができる。このゾーンの球を、長打をすることが多い。

<軸> 
☆☆☆☆ 4.0


 足の上げ下げは静かで、目線の上下動は少なめ。体の開きも我慢できており、軸足にも粘りが感じられる。あとは、少し
ひ弱な部分があるので、その辺を改善して、スイングの鋭さ・強さを増したい

(打撃のまとめ)

 やはり、
ボールを芯で捉える能力・センスには非凡なものを持っている。ただし、センス型だけに、高校からプロという判断よりも、大学を経てからという評価になりがちなのではないかと。ただし、只者ではないミートセンスがあると私は見るので、高校からのプロ入りも、視野に入れて最後の夏まで見届ける必要があるのではないのだろうか。


(最後に)

 まだひ弱な部分は残っているが、走力や守備力は水準を満たすものを持っている。しかし、この選手の最大の魅力は、非凡な打撃能力。そこを特別だと評価できるかどうかが、この選手を指名圏内だと考えられるかの別れ目となりそうだ。本物なのかどうかも含めて、夏まで見極めて行きたい。


蔵の評価:
追跡級!


(2023年 選抜大会)