23ky-16
南川 幸輝(大阪桐蔭3年)捕手 178/82 右/左 | |
こと打つことに関しては、大阪桐蔭の4番を任されているだけあって、非凡なものを持っている 南川 幸輝 。また、一冬越えて、捕手としても確かな成長を実感させてくれた。 (ディフェンス面) 秋までは、プレー全体が粗っぽく、この選手の成長無くして、大阪桐蔭の躍進はないだろうと感じられたほど。しかし、一冬越えて、体を小さく屈め、的を大きく見せるような構えや、投手への返球もだいぶ丁寧になってきた。上から捕りたがるキャッチングも、下からミットが素早く出せるようになり、補球時にもミットがブレなくなってきている。 周りにもしっかり指示が出せており、細かいジェスチャーなども交えながら、投手とも対話しながら試合を作れるようになってきた。二塁までの送球にバラツキはあるものの、1.8秒台中盤~1.9秒台前半ぐらいであり、地肩はドラフト候補として垢抜けてはいないものの、許容範囲と考えることができる。上のレベルでも捕手を続けて行けるかは微妙ではあるが、「打てる捕手」でという見方も意識できるようになってきたのではないのだろうか。 (打撃内容) 選抜では14打数4安打と、ディフェンス面への意識が強くなり、打撃での派手なアピールは乏しかった。それでもその技術は卓越しており、ポイントゲッターとしての怖さを持っている。 <構え> ☆☆☆★ 3.5 前の足を軽く引いて、グリップは高めに添えられています。背筋を伸ばしつつ、全体のバランスとしては並ぐらい。両眼で前を見据えるという意味では優れており、錯覚を起こすことなく球筋を追うことができる構えです。 <仕掛け> 早め 投手の重心が沈み始める時に動きだす、「早めの仕掛け」を採用。この仕掛けは、対応力を重視したアベレージヒッターに多くみられる始動のタイミングです。 <足の運び> ☆☆☆☆ 4.0 足を上げて回し込み、真っ直ぐ踏み出してきます。始動~着地までの「間」は取れており、速球でも変化球でもスピードの変化には対応しやすい。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でもさばきたいタイプかと。 踏み込んだ前の足は、インパクトの際にしっかり止まっています。そのため、逃げてゆく球や低めの球に対しても、きっちり捉えることができています。 <リストワーク> ☆☆☆☆ 4.0 打撃の準備である「トップ」の形を作るのは自然体で、力みなくボールを呼び込めることができています。バットの振り出しは、インパクトまでロスがありません。それでいて、バットの先端であるヘッドも下がらないので、フェアゾーンにボールが飛びやすい形を作れています。スイングの孤の大きさやフォロースルーなどを観ていると、けしてボールを遠くに運ぶといった感じではありません。あくまでも、対応力重視のタイプのように感じられました。 <軸> ☆☆☆☆ 4.0 足の上げ下げは静かで、目線の上下動は少なめ。体の開きも我慢でき、軸足の形も崩れず粘りが感じられます。 (打撃のまとめ) 長打力よりも対応力に優れた打者で、思いのほかスイングの孤の大きさや軸足の内モモの筋肉などは平凡な印象を受けました。別の言い方をすれば、まだまだ伸びる余地が残されているとも言えます。将来的には、二塁打などの多い、中距離・ポイントゲッタータイプの打者になるのではないかと観ています。 (最後に) プロのレギュラー捕手としてはどうかな?という部分は残りますが、近藤 健介(現ソフトバンク)のように、打力を生かしてコンバートということも含めれば、指名を検討する球団が出てきそうです。ちなみに、一塁までの到達タイムは、左打席から 4.15秒前後 と、ドラフト候補としては平均的。他のポジションの融通性は見えてきませんが、捕手をやれるフットワークなどを考えると、三塁か右翼あたりならば可能な身体能力はありそうです。いずれにしても、夏まで注視して見極めて行きたい選手でした。 蔵の評価:追跡級! (2023年 選抜大会) |