23ky-14





進藤 天 (山梨学院3年)遊撃 172/72 右/右





「想像以上に良かった」 





 下級生の頃から全国大会で出場しており、その守備の上手さや野球センスの高さを魅せていた 進藤 天 。 ただし、高校からプロとなると、圧倒的な打力や身体能力的にどうなのかな? という疑問を抱いていたが、こちらの想像以上にそういった部分を払拭してくれる大会となった。


走塁面:☆☆☆★ 3.5

 緒戦では、一塁までの到達タイムは4.6秒台(左打者換算で4.35秒前後に相当)と遅いタイムしか計測できなかったが、次の試合では4.1秒前後(左打者換算で3.85秒前後)を記録するなど、
プロでも上位クラスの脚力をあることに驚かされた。実際観ていると、そこまで脚力を全面に押し出すプレースタイルではなく、、選抜の5試合でも1盗塁と図抜けて走力は魅せなかった。それでも、プロの基準レベル以上の脚力があることがわかった。

守備面:☆☆☆☆ 4.0

 やはりこの選手の守備は、
高校球界でもトップクラスを誇るショートの守備にあると言えよう。打球への一歩目も鋭く、フットワーク・キャッチング・スローイングまでの流れも実に良い。難しいバウンドにもうまく合わせられるし、送球も安定していて肩も水準以上のものを持っていた。

 しいて気になる点をあげるとすれば、打球を正面で捕ろうとあまりしないので、選抜緒戦でもトンネルをしたように、
真正面での打球処理がどうなのか? という疑問は残った。





(打撃内容)

 下級生の頃から全国レベルでもまれてきており、レベルの高い相手にも対応できる技術を持っている。この選抜でも、打率.647厘というハイアベレージを残した。ショートという特殊ボジションを担う選手としては、充分に合格点の与えられる内容だったように思える。

<構え> ☆☆☆★ 3.5

 前の足を軽く引いて、脇を閉めながらグリップの高さは平均的。背筋を伸ばしつつ、全体のバランスとしてはそれほどではないものの、両眼ではしっかり前を見据えられている。そのため錯覚を起こすことなく、球筋を追うことができていた。

<仕掛け> 平均的

 投手の重心が沈みきった底のあたりで動きだす、「平均的な仕掛け」を採用。この仕掛けは、ある程度の確実性と長打力を兼ね備えた、中距離打者や勝負強さを売りにするポイントゲッターに多くみられる始動のタイミングです。

<足の運び> ☆☆☆★ 3.5

 足を引き上げ回し込み、軽くベースから離れた方向に踏み出すアウトステップを採用。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応できる。アウトステップを採用するように、意識は内角寄りにありそうだ。

 踏み込んだ前の足は、なんとかブレずに我慢できています。それでも地面から足が離れるのが早いので、元来は引っ張る打撃を好む傾向が強いようには思える。しかし、意識がある時には、右方向にも打ち返すことができる広角打者です。

<リストワーク> ☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備である「トップ」は早めに作れており、速い球に立ち遅れる心配はありません。ボールを呼び込むまでに、グリップを高い位置に引き上げるヒッチする動きが見られるものの、早めに「トップ」まで作れており、打撃に悪影響を及ぼしている感じはしません。また、
「トップ」自体も深くきっちり作ってくるので、弓矢の弓を引くが如く、強い打球を飛ばすことができています。

 バットの振り出しは、けしてインサイドアウトに出てくるタイプではありません。それでも外角の球を捉える時には、バットの先端であるヘッドも下がっていないので、広い面でボールを捉えられており、フェアゾーンに飛びやすいインパクトになっています。またスイングも最後まできっちりと振り抜けており、ひ弱さは感じられません。

<軸> ☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げはあり、目線の上下動はそれなりといった感じではあります。それでも「開き」もある程度我慢できていますし、軸足が地面から真っ直ぐ伸びて安定しています。それだけ、調子の波が少ないタイプなのではないかと。

 また
軸足の内モモの筋肉には強さが感じられ、打球に強さが感じられます。一見打撃の力強さという意味ではどうなのかな?というイメージを抱きがちですが、そういったひ弱さがある選手ではありませんでした。

(打撃のまとめ)

 ボールを捉える技術・打球の感性なども悪くはなく、けして長打で魅了するタイプではないものの、求められるプレーを実践できる能力は備わっているように思えます。こと守備的負担の少ないポジションであれば圧倒的な打力ではないので高校からドラフト云々は無さそうなタイプなのですが、ことショートを高いレベルで守れることも加味すると、現在の打力でもプロを意識できるレベルにあるのかもしれません。



(最後に)

 初戦を見たときは、有力大学などに進んでゆくセンス型の内野手かなと感じました。しかし、大会が進むにつれ、肩や足の能力がプロの基準を充分に満たす身体能力があることがわかり、また打撃も想像以上にきっちりと振るプロ仕様のスイングであることがわかってきました。そういった意味では、進学のイメージは強いものの、本人がプロ志望であるならば指名してくる球団があるかもなといった気にもさせてくれます。その辺どうなのか? 夏まで追いかけて判断して行けたらと感じさせてくれた春でした。


蔵の評価:
追跡級!


(2023年 選抜大会)