23ky-12





菰田 朝陽(拓大紅陵)中堅 175/71 左/左 





「意見は別れそう」





 23年度のドラフト戦線では、外野手の人材が極めて乏しい。特に、足を売りにするといった選手が少なく、まして高校生でそういった選手は殆ど見当たらない。そんな中、貴重な存在となりそうなのが、この 菰田 朝陽 なのだ。


走塁面:☆☆☆☆ 4.0

 一塁までの到達タイムは、計測したときには左打席から 3.95秒前後 。このタイムは、ドラフト指名される左打者の中では 上の下 ぐらいで、そこまで突出した数字ではなかった。打球によっては、もっと速いタイムも出るかもしれない。また積極的に次の塁を陥れようといった姿勢や、ベースラニングなどは悪くない。ただし、まだ盗塁技術という点では、磨かないと行けない部分がありそおうだ。それでも
足というものを武器にするというのが、この選手の最大の売りであることは間違いない。

守備面:☆☆☆★ 3.5

 この脚力を生かした、広い守備範囲を誇る。まだ
打球勘やキャッチング等には改善の余地はあるものの、将来的に守備を売りにして行ける可能性性は秘めている。ただし、センターからの肩の強さ・送球の精度などは並といった感じで、その点では物足りない。あくまでも、今後への期待も込みで評価したい。

 言われているほど絶対的な走力・盗塁センスがあるのかには不安も残る。また守備に関しても、現時点では上手いといったほとではないようにも見えた。そういった意味では、あまりに守備や走塁に過大な期待して指名すると、思ったほどではなかったという可能性も捨てきれない。このへんは、もう少しみて慎重に見極めて行きたい。






(打撃内容)

 観戦した春の専大松戸戦では、レフト前にキレイに打ち返す打撃は観られたものの、5打数1安打に抑えられている。ツボにハマればスタンドインのリストの強さを持っているが、この春は足を生かすため、三遊間に転がす打撃を意識していたように思います。

<構え> ☆☆☆★ 3.5

 前の足をしっかりと引いた左オープンスタンスで、グリップはあらかじめ高めに捕手方向に引いて添えられている。背筋を伸ばしつつ、全体のバランスはそれなり。両眼ではしっかり前を見据えられており、錯覚を起こすことなく球筋を追う姿勢ができていた。ただしまだまだ、線の細さは否めない。

<仕掛け> 平均

 投手の重心が沈みきったあたりで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。この仕掛けは、ある程度の確実性と長打力を兼ね備えた中距離打者や勝負強さを売りにするポイントゲッターに多くみられる始動のタイミングです。プレースタイル的には、アベレージヒッターに近いタイプには見えるのですが・・・。

<足の運び> ☆☆☆★ 3.5

 足を引き上げて回し込み、ベースから離れた方向に踏み出すアウトステップを採用。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応しやすい。アウトステップするように、内角への意識が元来は強いタイプではないのだろうか。

 踏み込んだ足元は、インパクトの際に止まってブレません。そのため甘めの外角球や高めの球ならば、アウトステップでもレフト方向へ飛ばすことを苦にしないと考えられます。

<リストワーク> ☆☆☆☆ 4.0

 打撃の準備である「トップ」の形を作るまでは、あらかじめグリップを引いているので速い球には立ち遅れ難いはず。バットの振り出しは、けしてインサイド・アウトに出てくるスイング軌道ではありません。それでも、外の球を捉えるのには大きなロスは感じられませんし、インパクトの際にはヘッドを下げずにさばけるので、ボールがフェアゾーンに飛びやすい傾向にあります。

 
スイングはまだまだひ弱いのですが、独特のハンドリングの柔らかさがありリストの強さも感じられます。この辺は非凡なものを感じるのですが、長打は引っ張って上手く巻き込めた時だと考えられます。

<軸> ☆☆☆☆ 4.0

 足の上げ下げはあるのですが、
頭が動かないところが非凡。体の開きも我慢できていますし、軸足も安定しているし、適度な粘りが感じられます。

(打撃のまとめ)

 まだまだバットの振り込みが足りないのか? スイングには弱さを感じます。それでも技術的にはしっかりしたものを持っていますし、天性のハンドリングの良さとリストの強さを感じます。時間はかかりますが、打撃でもアピールできる存在になれても不思議ではありません。


(最後に)

 普段の所作や打席までの入り方をみていると、意識的には
普通の高校生だなといった気がします。そういった部分では、プロ入りしても眼の色が変わるまでには何年かかかるように思えます。また打撃センスには光るものがありますが、プロの体やスイングを身につけるのには時間がかかりそうといった気がします。その間に自信を失ってゆくのか? あるいは、もっと資質を伸ばそうと秘めているものが引き出されるかは意見が別れるところではないかとみています。個人的には、この脚力と打撃センスを評価して、育成枠あたりならば指名して来る球団があるのではないかと感じます。もう少し夏まで追いかけて、その可能性や能力を見極めてみたいと思いました。


蔵の評価:
追跡級!


(2023年 春季千葉大会)



 




菰田 朝陽 ( 拓大紅陵2年 ) 中堅手の本当に凄いやつへ