23ky-11





寺地 隆成(明徳義塾3年)捕手 177/82 右/左 





「捕手としても成長していた」





 U-18では、一番・一塁手として出場していた 寺地 隆成 。2年夏まではサードをやっていて経験の浅い選手であったが、最終学年では捕手らしく成長していた。


(ディフェンス面)

 ミットしっかり投手に示し、捕球時にもキッチリ捕ります。敗れた夏の高知中央戦では、再三のワンバウンドするためを、体をはって阻止。ミットも素早く下から出るなど、秋までは平凡だったキャッチングやフットワークにも成長の跡が感じられました。

 投手には、軽く返球するタイプ。打席に入る時には、ラインで踏まないように入る、きめ細やかさを感じさせる一面も魅せます。周りにもしっかり指示が出せるようになり、さらに何が気がついたことがあれば、すかさずタイムをかけて「間」を取るなど捕手らしくなってきました。リードも相手の裏をかく配球が冴え、相手打線から多くの三振を演出しました。

 送球に関しては、1.9秒前後と
ドラフト候補としては平均的。ただし、送球の精度としては悪く有りません。そういった地肩などを含めるとA級の素材とは言えませんが、捕手としての適正を備えており、今後もキャッチャーとして続けて行ける素材だとみました。





(打撃内容)

 U-18の日本の代表の中でも、一番打者として活躍。9試合に出場して 
0本 6点 0盗 打率.286厘 と重責を果たしました。

<構え> 
☆☆☆☆ 4.0

 左打席から、前の足を軽く引いてグリップを高めに添えます。腰の据わりも良く、背筋を伸ばしつつ両眼での前の見据えもしっかり前を観られています。全体のバランスが取れていて、大きな欠点は感じられません。

<仕掛け> 早め

 投手の重心が下る時に動き出す、「早めの仕掛け」を採用。この仕掛けは、確実性を重視したアベレージヒッターに多くみられる始動のタイミングです。昨秋は、投手の重心が沈み始める前に動き出す、「早すぎる仕掛け」でしたが、幾分始動を遅らせるようになったのかもしれません。

<足の運び> 
☆☆☆☆ 4.0

 足を引き上げて回し込み、ベースから離れた方向に踏み出すアウトステップを採用。始動~着地までの「間」はとれており、速球でも変化球でもスピードの変化には対応しやすい。アウトステップするように、内角への意識が高いようだ。

 踏み込んだ前の足は、
インパクトの際にもしっかり止まって動きません。そのためアウトステップでも、甘めの外角球や低めの球なら食らいつくことは可能かと。昨秋みたときは、確かインステップだったので、随分と大胆に踏み込む場所を変えてきたなという思いはあります。

<リストワーク> 
☆☆☆☆ 4.0

 打撃の準備である「トップ」の形を作るのは自然体で、力みなくボールを呼び込めています。バットの振り出しも、
インパクトまでロスがなく、理想的にボールを捉えられてきます。インパクトの際にもヘッドが下がらず、広い面でボールを捉えられます。したがって打球も、フェアゾーンに飛びやすいのではないのでしょうか。

 特にスイングの孤が大きいとかフォロースルーを使って打球を遠くにといった感じではないのですが、
バットの芯でボールを捉えられる確率が高く、鋭い打球が飛んで行きます。

<軸> 
☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げはありますが、目線の上下動はそれほど大きくない。体の開きも我慢できているし、軸足も比較的地面から真っ直ぐ伸びて安定しています。しいて言えば、思ったほど
軸足の内モモの筋肉がまだ強そうではないので、この辺をもっと鍛えられると、打球の速さや飛距離も変わってくるかもしれません。

(打撃のまとめ)

 技術的にも高い次元でまとめられており、
甘い球を逃さない能力を持っています。まだドラフト指名される選手としては、打球の速さや体つきはこれからだと思いますが、根本的な打撃能力が高い捕手だといえるでしょう。


(最後に)

 捕手としての適正は高く買いますが、地肩や送球がそこまで圧倒的ではありません。また、野手としてもそこまで足が速いわけではなく、それでいて長打で魅了するタイプではないので、やはり「打てるキャッチャー」として勝負して行くのが良いのではないかと思います。近藤 健介(横浜高-日ハム-ソフトバンク)のように、打つ方が突出してくるようだと別ですが。U-18で一塁を守っていたので、キャッチャーとしてはどうなのかな? と思っていたのですが、確実に
捕手としても成長していて楽しみだと思いました。ひょっとすると近い将来、ロッテの正捕手になるのは、この男かもしれません。


蔵の評価:
☆☆(中位指名級)


(2023年夏 高知大会)


 









寺地 隆成(明徳義塾2年)捕手 177/77 右/左 





 「対応力が高い」





 旧チームでは三塁手として活躍し、新チームからはキャッチャーとして出場している 寺地 隆成 。けして、長打で魅了するタイプではないが、右に左へと打ち返す打力の高さは、プロを意識できる技術の持ち主だといえよう。


(ディフェンス面)

 旧チームから中心打者として活躍してきた選手だけに、もっと「お山の大将」で、俺にガンガンついて来い!的な選手かと思っていました。しかし、打席には入る時にはラインを踏まないように意識するなど、バッテリーに不可欠なキメ細やかな神経の持ち主。普段はそれほどジェスチャーなどは交えませんが、何か気がつくことがあればそういった仕草さを投手に伝えます。また、投手が少しでも不穏になると、すかさずタイムを入れるなど、そういった捕手として投手の気持ちを汲み取るセンスも持ち合わせているように感じられました。

 ミットをしっかり示し、投手に的をつけやすく構えます。座ったまま返球しますが、特に雑な感じはしません。キャッチング・フットワークなどは平均的で、特に捕手として特別なものは感じませんが、逆に、違和感も感じられません。捕ってから投げるまでの動作は鋭く、二塁までの送球も1.9秒前後ですが送球は安定していて、地肩もドラフト候補として基準クラスのものがあると感じられます。この選手に言えるのは、普段は何気なくプレーしていますが、必要な時に指示を出したり、間を入れたり、動くべき時にはしっかり動くなど、プレー全体にメリハリが効いた選手なのではないかと感じられました。





(打撃内容)

 右に左へと、広角に打ち返すタイプの好打者です。こういった打者で過去に思い出すのは、近藤 健介(横浜高-日ハム-ソフトバンク)外野手です。プロでは打力を生かして外野手にコンバートされてしまいましたが、高校時代の近藤は攻守に次元の高い捕手でした。

<構え> ☆☆☆★ 3.5

 前の足を軽く引いて、グリップの高さは平均的。腰の据わりや両眼で前を見据える姿勢も良く、全体にバランスのとれた好い構えであるように思えます。

<仕掛け> 早すぎ

 投手の重心が下がり始める前から足を引き上げて来るなど、この仕掛けは「早すぎる仕掛け」に属します。対応力を重視したスタイルですが、まだ投手が重心を落としはじめる前だと、投げるタイミングを変えることができるので、タイミングを崩されやすい恐れがあります。

<足の運び> ☆☆☆★ 3.5

 足を引き上げて回し込み、ベース側に踏み出してくるインステップを採用。始動~着地までの「間」は充分にとれているので、速球でも変化球でもスピードの変化には幅広く対応できます。ベース側に踏み出すように、外角への意識が強いタイプ。

 踏み込んだ前の足は、インパクトの際にもブレずに止まっています。そのため、逃げてゆく球や低めの球にも喰らいつくことが可能なのでしょう。しいて言えば、ベース側に踏み込む分、あまり厳しい内角の球に対しては少々窮屈に見えます。

<リストワーク> ☆☆☆☆ 4.0

 打撃の準備である「トップ」の形は自然体で、力みなくボールを呼び込めています。バットの振り出しは、けしてインサイドアウトに出てくるタイプではありません。それでも、外の球に対してはロスが感じられませんし、インパクトの際にはヘッドが下がらず広い面でボールを捉えれます。ゆえに、フェアゾーンにボールが飛びやすいのではないのでしょうか。

その分、内角のさばきは少し窮屈であるのと、打球にあまり角度が付くタイプではないように感じます。あくまでも、鋭く野手の間を抜けてゆく、そういったタイプの強打者なのだと考えられます。

<軸> ☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げがある割には、目線の上下動は小さく頭の位置が安定しています。体の開きも我慢できていますし、軸足もそこまで大きくは崩れていません。

(打撃のまとめ)

 始動が早すぎたり、強烈なインステップで踏み込んで来るなど、ちょっと個性の強い打撃はしてきます。それでも全国レベル、あるいは上のレベルでも対応しうる打撃能力があり、そういった意味では「打てる捕手」としての期待も高まります。ちなみに一塁までの到達タイムは、左打席から 4.35秒前後 と速くないので、打力を生かしてコンバートというのは、あまり向かないのではないのでしょうか。


(最後に)

 捕手としての適性は感じられますが、現時点ではドラフト候補としては平凡なディフェンス力といった気がします。打撃も対応力には優れたものを持っているのですが、それほど長打で魅了する迫力はないので、その点で高校からプロに指名されるほどの評価を得られるかは微妙です。ただし、実戦に混ぜてみると好さを発揮するタイプだと思うので、どのカテゴリーに進んでも結果を残しやすい選手なのではないのでしょうか。今年の高知の中では、投手・野手含めて、一番プロに近い位置にいるのは、この選手ではないかとみています。


(2022年秋 高知大会)