萩　宗久（横浜3年）中堅　１８５／８４　右／右

「良くなってきている」

　旧チームから、横浜高校の中心選手として活躍してきた　萩　宗久　。　しかし、この春は怪我のため、春季大会に出場できず。しかし夏に向け、日体大とのオープン戦で出場してきた。

走塁面：☆☆★　2.5

　一塁までの到達タイムは、右打席から４．４５秒前後。左打者に換算すると、４．２秒ぐらいに相当する。このタイムは、ドラフト指名される右打者としては　中の下　ぐらい。全く動けない選手ではないが、積極的に盗塁を仕掛けて来るといったほどではない。タイム的にはもっと速いタイムがでるのかもしれないが、、上のレベルで足を売りにするほどかと言われると疑問が残る。

守備面　☆☆☆★　3.5

　その一方で、中堅手としては安定している。キャッチングまで打球への入り方、キャッチング等含めて、観ていて迷いや無駄な動きは少ない。脚力から守備範囲が広いかと言われると微妙だが、カバーリングや送球含めて、よく鍛えられているしセンスも悪くないように感じられた。ドラフト候補としては、守備力や地肩の強さも　中の上　ぐらいはあると観て良いのではないのだろうか。

（打撃内容）

　日体大戦では、確認できた４打席では３安打を放っていた。うち二本は、いずれにもレフトを越える長打だった。

＜構え＞　☆☆☆☆　4.0

　前の足を軽く引いて、グリップは高めに添えます。背筋を伸ばし、両眼での前の見据えも良くバランスのとれた構えになっています。昨年はもう少し重心を後ろ足に預けていた印象ですが、今年はオーソドックスになり、構えにも高い集中力が感じられます。

＜仕掛け＞　遅め

　投手の重心が沈む時に、ベース側につま先立ち。本格的に動き出すのは、投手の重心が前に移動しはじめる「遅めの仕掛け」を採用しています。この仕掛けは、できるだけボールを引き付けてから動き出すので、長距離打者や生粋の二番打者などに多くみられる始動のタイミングです。昨年は、早めに始動していたので、かなりタイミングの取り方が変わってきています。

＜足の運び＞　☆☆☆　3.0

　足を軽く上げて、少しベース側に離れた方向に踏み出すアウトステップを採用。始動～着地までの「間」は短く、狙い球を絞って、その球を見逃さない「鋭さ」が求められます。軽くアウトステップするように、内角への意識がやや強いように感じられました。

　踏み込んだ足のカカトを地面にめり込ませていますが、地面から離れるのが速いのは引っ張りへの意識が強いからだと考えられます。昨年もそうだったのですが、引っ張り傾向が強いので、外角へ逃げてゆく球や低めへの対応がどうなのか？　その辺も含めて夏は見極めてみたいところです。

＜リストワーク＞　☆☆☆★　3.5

　打撃の準備である「トップ」の形を作るのは自然体で、力みなく立てるようになりました。昨年までは、グリップをあらかじめ捕手方向に引いて構えていたので、速い球に立ち遅れない一方で、リストワークに力みが生じやすい固い構えになっていました。今は、バットを引くのが遅れないように注意したいところです。

　バットの振り出しは、内角寄りの球に対しては脇を閉じてバットを出せてきます。また外角の球に対しては、かなり遠心力を生かしたスイングを昨年していました。今年のスイングを観ると、遠回りすることなくインパクトまで持って来られるようになってきたのかなといった気がします。インパクトの際にもヘッドが下りませんし、高い確率でフェアゾーンに振り抜けます。

＜軸＞　☆☆☆★　3.5

　足の上げさは小さめで、目線の上下動も少ない。体の開きは、引っ張りを重視しているので、やや早くまた足元が充分には止まっていないことも多い。そのため、センターから右方向への打撃がどうなのかは、もう少し観てみたいところ。軸足は地面から真っ直ぐ伸びており、調子の波が少なそうなタイプ。軸足の内モモの筋肉は発達しており、強烈な打球を生み出す原動力になっている。

（打撃のまとめ）

　昨年から比べると、スイングに力強さが増してきた印象です。技術的には、始動のタイミングが変わっていたり、いろいろな部分が変わっていて興味深かったです。基本的に引っ張り重視のスイングだけに、外角への逃げて行く球、低めの球への対応などがどうか見極めて行きたいところです。基本的には、長距離打者というよりも、二塁打・三塁打が多い中距離打者であり、勝負強さを売りにするポイントゲッター　といった性格が強いのではないかとみています。

（最後に）

　今年は、昨年と違い外野手の人材が少ない年です。そんな中、右打ちの強打者の候補というのは極めて貴重な状況。そこに現れた右の強打者ということで、萩選手へ懸かる期待は大きくなります。上記にも記したように、外角や低めのへの対応など、もう少し見極めたいポイントが残っています。それでも強打者の割に脆くない。あるいは、守備もしっかりしているといった点を考慮すれば、夏の大会でのアピール次第では、中位ゾーン（３位～５位）ぐらいには充分に評価されても不思議ではないと考えます。夏の大会で、評価をどのへんにするのか固めて行ければと思っています。

蔵の評価：追跡級！

（２０２３年　練習試合）