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木村 優人(ロッテ)投手のルーキー回顧へ







木村 優人(霞ヶ浦)投手 184/76 右/左 





「上位も行ける」





 昨年から筋の良さは、関東でもピカイチだった 木村 優人 。一冬越えて、そのセンスの良さに、力強さが加わってきた。順調に夏の大会でもアピールできれば、上位指名も意識できる素材ではないのだろうか。

(投球内容)

 スラッとした投手体型で、非常に正統派の投手といった感じがします。この春は、3試合・17イニングに登板し、自責点は僅か1失点でした。

ストレート 140キロ~MAX91マイル・146キロ ☆☆☆★ 3.5

 この春は、球速表示の出やすい土浦の球場でも、水戸の球場でも150キロを記録。マイガンでも、91マイル・146キロを記録するまでになりました。まだ球威で圧倒するほどのものはありませんが、ビシッとした球がコーナーに決まります。特に、
右打者外角のクロスの球筋が彼の良さで、そこにはしっかり集められるコントロールがあります。

変化球 スライダー・チェンジアップ・スプリット ☆☆☆★ 3.5

 目を引いたのは、
速球と見極める難しいスライダーの切れ。この球が非常に有効なので、投球が楽に組み立てられます。他にも緩いカーブやカットボール系の球に、スプリットのような沈む球も持っています。現在は、本当の意味で頼れる変化球がスライダーなのだと思いますが、将来的にはもっと縦の変化にも磨きがかかってくると、投球内容も変わってきそうです。

その他

 牽制はそれほど鋭いものは見られませんでしたが、クィックは1.0~1.05秒ぐらいとまずまず。フィールディングの動きも悪くないですし、マウンドさばきもまずまず。特に声を発して力勝負で押すのかと見せかけて、スライダーで仕留めるあたりに
クレバーさもあるのだと実感しました。

(投球のまとめ)

 まだ全国レベルの強力打線相手だと、真っすぐで押し込むほどの絶対的な球威は無いように感じます。現状は、切れの良い真っ直ぐを魅せつつ変化球を交え、相手を
コンビネーションで仕留めるスタイルかと。これが、ゾーン内でも力で押せるだけの強さが夏までに出てくると、いよいよ1位指名も見えてくるのではないのでしょうか。



(最後に)

 オフにフォーム分析をしているので、今回はしません。一位での指名を実現するためには、今以上に真っすぐの強さを増すことがポイントはなってくるかと思います。それでも春の時点では、少なくても右投手としては全国でも屈指の存在かと。そういった意味では、この春最も株をあげた投手の一人なのではないか思います。その成長曲線を、夏にまで繋げられるか注目されます。


蔵の評価:
☆☆☆(上位指名級)


(2023年 春季茨城大会)


 








木村 優人(霞ヶ浦2年)投手 183/74 右/左 
 




 「今後が楽しみ」





 この冬の成長が楽しみといった感じなのが、木村 優人 。 非常に筋の良い本格派といった感じで、筋力がついてボールが強くなれば有力な指名候補になってくるはずだ。


(投球内容)

 秋は、茨城大会の準決勝まで勝ち進んだが敗退。センバツの芽が、そこで潰えた。ちなみに敗れた常磐大高戦では、9回を投げて 11安打 6三振 6失点 。 この試合の模様を観ての、レポートとなる。

ストレート 135~140キロ台前半 ☆☆☆ 3.0

 球威・球速という意味では、現状そこまで突出していない。適度な勢いと角度を感じさせる速球で、ボールも両サイドに散らせて来る。特に、左打者の内角を厳しく突く球筋に、大きな特徴がある。また同じコースにあたる、右打者外角にも安定して集められていた。

変化球 スライダー・カーブ・フォーク? ☆☆☆★ 3.5

 スライダーとのコンビネーションでカウントを整え、時々緩いカーブも織り交ぜてくる。また追い込むと、角度を生かした縦の変化球もあり、この球の精度・落差が高まってくれば大いに投球内容は変わってきそう。一つ一つの変化球の曲がりは、けして悪くない。

その他

 クィックは、1.1秒前後とまずまずで、牽制も入れるタイミングも悪くない。まだ「間」を使ってとか、微妙な出し入れとかいった投球ではないが、左打者の内角には意識的に厳しく投げ込んでくる。投手としてのセンスは良さそうなので、経験と自信によって、もっと余裕が出てくるのではないのだろうか。

(投球のまとめ)

 一冬越えてボールが強く・速くなってこられるかが、大いなるポイント。ただし、それが望めるような雰囲気は持っているし、同校にはそういった育成システムも確立されているように思える。順調にゆけば、高校からのプロ入りも充分に望めるところにいる。均整の取れた体格からも、スカウト好みの素材だといえよう。


(投球フォーム)

 今度は、フォームの観点から今後について考えてみたい。セットポジションから、足を引き上げる勢いや高さは並ぐらい。軸足一本で立った時には、特に膝がピンと伸びて切って力みを感じるというほどでもないし、適度にバランス良く立てている。

<広がる可能性> ☆☆ 2.0

 引き上げた足を地面に向けて伸ばすので、お尻の一塁側への落としは甘くなります。したがって、体を捻り出すスペースが確保できず、カーブやフォーク投げるのには無理が生じがち。それでも結構そういった球種を使ってきているので、投げられないほどではないということなのでしょう。

 「着地」までの地面の捉えも淡泊で、体を捻り出す時間が確保できているとは言えません。そのため、曲がりの大きな変化球よりも、スライダーやチェンジアップ、それに球速のある小さな変化を中心に投球の幅を広げてゆくことになるのではないのでしょうか。

<ボールの支配> ☆☆☆★ 3.5

 グラブは最後まで体の近くで抱えられており、外に逃げようとする遠心力を内に留めることができています。したがって軸はブレ難く、両サイドへのコントロールは安定しやすいのでは。また、足の甲での地面の捉えがまだ浅いので、股関節の柔軟性と下半身を強化して、幾分ステップの幅を確保したいところです。そうすれば、足の甲でしっかり地面を捉えられ、もっと低めに集まりやすくなりそうです。「球持ち」自体は前で放せていて、悪いように見えません。指先の感覚も、比較的優れた投手ではないのでしょうか。

<故障のリスク> ☆☆☆ 3.0

 お尻が落とせない割に、カーブやフォークなどを使っている感じがします。そのため窮屈になって、肘などに負担がかかっていないか心配になります。角度を付けて投げてくる割には、ボールの送り出しには無理は感じられません。また、けして力投派というよりも、まだ体を活かしきれず投げている感じなので、疲労を溜めやすいということは無さそうです。

<実戦的な術> ☆☆★ 2.5

 「着地」までの捉えに粘りがないので、イチ・ニ・サン で合わされやすい傾向にあります。ボールの出どころは平均的で特に開きが早いというほどではないのですが、打者としては嫌らしさは感じ難いかもしれません。ただし、球筋に角度があるので、その点では芯では捉え難い可能性はあります。

 気になるのは、けして「球持ち」が悪くないのに、投げ終わったあと体に腕が絡んで来ない点。それだけまだ、腕を強く振れていないのだなといった気がします。こうなると、打者は吊られ難くなります。また、ボールにしっかり体重が乗ってリリースできていないので、投げ終わったあと地面を強く蹴り上げられるということがありません。体重が後ろに残って、前に移っていっていないことを指しています。

(フォームのまとめ)

 きれいなフォームに見えるのですが、投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「着地」や「体重移動」に課題を抱えます。制球を司る動作は悪くないものの、故障のリスクがやや高いのと、将来的に武器になるほどの変化球が習得できるのかは微妙な感じはします。ただし、指先の感覚が良さそうなので、そういった意味では良い変化球もモノにできそうな雰囲気はするのですが ・・・。 いずれにしてもフォームとしては、まだまだ課題の多いというのが実際のところではないのでしょうか。


(最後に)

 投手としての筋は良いので、素直に球威や球速を増すことができれば、高校からの指名は充分可能な素材かと思います。その一方で、まだまだ実戦的とは言えないフォームだけに、その後の伸び悩む危険性も少なくありません。この一年で、そのへんがどのように変わってくるのか注視して、見守って行きたい一人です。


(2022年 秋季茨城大会)