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藤原 大翔(飯塚)投手 178/72 右/右 





「センスは良い」





 そんなに身体は大きくないのですが、投手としてのセンスが良い 藤原 大翔 。スケールで魅了するというよりも、総合力に優れた投手として、支配下を狙える素材ではないのだろうか。


(投球内容)

 3年夏の成績は、
17回1/3 13安 8四死 22三 防 1.56 と、安定していました。ただし、敗れた大牟田戦の模様を観ていたのですが、初回味方のエラーも含めて失点が重なり、結構グダグダの試合内容でした。

ストレート 常時140キロ前後~140キロ台中盤ぐらい 
☆☆☆ 3.0

 ドラフト候補としては平均的な球速・勢いのあるボールを投げ込んできます。それほど上背があるわけではないので、打者がスピードほど苦にするといった感じではないのですが、両サイドに投げ分けるコントロールはありそうです。また、比較的
球筋が低めに集まっているのは良いところ。17回1/3イニングで8四死球というほど、制球は悪くないように見えました。

変化球 スライダー・フォーク・カーブなど 
☆☆☆★ 3.5

 
キレ味鋭いスライダーに威力のある投手で、この球とのコンビネーションで組み立ててきます。フォーク系の球もあるのですが、ストンと落ちるよりもスプリット気味に小さく沈む球で、それほどこの球で空振りは奪えません。余裕があると、緩いカーブもあるようです。時々甘く入ったスライダーを、打たれることもあります。

その他

 クィックは、0.9秒台と高速。しかし、走者への目配せがしっかりできていないので、フォームを盗まれてスタートを切られてしまうところがあります。牽制などの動きも良く、投球以外の動作は良いようには見えます。ただし、
根本的に何か大事な部分が抜けている可能性はあるのかもしれません。

(投球のまとめ)

 真っ直ぐも変化球も悪くないので、総合力を引き上げられれば支配下も夢でありません。イメージ的には、今年青山学院大~阪神に1位指名された 下村 海翔 を彷彿とさせますが、彼の方がもっとガンガン全身で投げ込んでくる力投派のイメージがありました。それに比べると、自分のペースで淡々と投げ込んで来る先発タイプの感じがします。






(投球フォーム)

 今後伸びて行くには、何が必要なのか? フォームを分析して考えて行きます。セットポジションから、足を引き上げる勢いは並ぐらいも、高い位置まで上げてきます。軸足一本で立ったときには、膝はピンと伸びがちも、バランスを上手くとって立てています。

<広がる可能性> 
☆☆☆★ 3.5

 引き上げた足を比較的高い位置でピンと伸ばせているのですが、その足をかなり二塁側に送り込むことでバランスをとろうとします。そのため弊害としては、お尻の一塁側への落としが甘くなりがちで、カーブやフォークの変化が鈍くなる恐れがあります。

 「着地」までの地面の捉えも悪くないので、身体を捻り出す時間もそれなり。したがって、適度に変化の大きな球も習得可能かもしれません。現状は、スライダーのキレが目立っていますが、お尻がもう少し一塁側に落とせるとカーブやフォークの曲がりも良くなり武器にして行けるのではないのでしょうか。

<ボールの支配> 
☆☆☆☆ 4.0

 
グラブは最後まで内に抱えられており、外に逃げようとする遠心力を内に留めることができています。そのため、軸はブレ難く、両サイドへのコントロールも悪く有りません。足の甲での地面の捉えもできているので、浮き上がろうとする力もおさえられています。したがって、低めへも球が集まりやすいと言えます。あとは、まだ「球持ち」が並でボールが押し込めていない部分があるので、この辺が安定して良くなると、まだまだ低めに良い球が投げられそうです。四死球は多かったのですが、そこまで指先の感覚が悪そうに見えませんでした。

<故障のリスク> 
☆☆☆ 3.0

 お尻の落としに甘さはあるものの、カーブやフォークを投げても窮屈になるといったほどではないように思います。そういった意味では、肘を痛めやすいということは無さそう。

 多少ボールを持っている肩が上がりグラブを持っている肩が下がるなど、
腕の送り出しには負担を感じます。しかし、それほど力投派でもないので、気にするほどではないのかもしれません。

<実戦的な術> 
☆☆☆☆ 4.0

 「着地」までの地面の捉えも粘りがあるし、ボールの出どころも隠せています。オーソドックスなフォームに見えますが、けして合わされやすいわけでは無さそうです。しいて言えば、上背がそれほどないので、
ボールが平面的で打ち損じてくれる確率が低そうだということでしょうか。

 腕は強く振れており、打者としては吊られやすい要素があります。ボールにも体重を乗せてからリリースできているように見えるのですが、
投げ終わったあと一塁側に多少流れるので、作り出したエネルギーを、まだ充分にはリリースに繋げられていない可能性はあります。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」においては、「球持ち」と「体重移動」に改善の余地が残っているので、この辺が良くなると非常に実戦的なフォームになりそうです。故障のリスクもさほど感じませんし、制球を司る動作も良いので、体ができてきてリリースが安定してくれば、もっと球筋も安定しそう。将来的に武器になる球を習得できる可能性もあり、
フォームとしては総合力の高いものとなっています。


(最後に)

 物凄い投手になるかと言われると微妙ですが、総合力を引き上げられれば
良い投手になれるという青写真は描きやすいタイプかと。そういった意味では、比較的高い確率で支配下・一軍戦力へと昇りつめられるイメージは描けます。ただし観ていて、何か大事なものが抜けているかもという不安もよぎるので、その点で現時点では (支配下級)とまでには至りませんでした。そういった部分が露見しなければ、実戦的な良い投手に成長できそうです。


(2023年夏 福岡大会)