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川下 将勲(函館有斗)投手 186/70 左/左 | |
まだまだ線も細く、長身で手足の長い投手体型が目をひく 川下 将勲 。 まだまだ成長途上の投手といった感じで、本格化するのは数年先なのではないのだろうか。 (投球内容) この夏の大会では、27回 24安 11四死 33三 防 3.00 と、高校生相手でも、圧倒的な内容ではありません。 ストレート 135キロ前後~140キロ台前半 ☆☆★ 2.5 キレの良い135キロ前後の真っ直ぐを中心に投球を組み立ててきます。この球はかなりの荒れ球なのですが、あまり甘いゾーンには入ってこないところが良いところか。かなりバラつくので、逆に打者としては的を絞り難いのかもしれません。 変化球 カーブ・スライダー・チェンジアップ ☆☆★ 2.5 真っ直ぐの割合が多く、たまに緩いカーブにスライダー、そして右打者に関しては、少しツーシームような感じのチェンジアップを使ってきます。それほどカウントを稼ぐのにも、決め球としても有効ではないのか? 基本は真っ直ぐといった感じの配球です。 その他 クィックは、1.15秒前後と平均的ですが、牽制は左腕らしく適度に上手いです。また、ランナーを背負うとボールをじっくり持ったりして、「間」なども意識した投球が見られます。 (投球のまとめ) 思ったよりも、ただ投げているだけではありません。しかしまだ、制球が追いついてきていない感じで、これでフォームが固まってくると、自分の思い描くボールが行くことも多くなり、投球が組み立てられるようになりそう。ただし、そうなるのには、まだ数年かかりそう。その間に、周りが我慢してみてくれるのか? この辺は、育成で入った選手のつらいところではあります。 (投球フォーム) 今度はフォームの観点から、今後の可能性について模索してゆきます。セットポジションから、足を高い位置まで引き上げてきます。軸足一本で立ったときには、特に力みは感じられませんが、全体のバランスとしては並ぐらいでしょうか。 <広がる可能性> ☆☆★ 2.5 お尻の三塁側(左投手の場合は)の落としは甘さは残るものの、カーブやフォークといった捻り出して投げる球種が投げられないことは無さそう。そのため、左腕らしい大きなカーブも混ぜてきます。 むしろ問題なのは、「着地」までの地面の捉えが早く、身体を捻り出す時間を確保できていない点。こうなると、曲がりの大きな変化球の習得が難しく、武器になる球を見出すのが厳しいかもしれません。 <ボールの支配> ☆☆☆ 3.0 グラブはしっかり内に抱えられているわけではないのですが、最後まで体の近くにはあります。したがって軸はブレ難く、外に逃げようとする力はおさえられています。そのため、両サイドへの制球は安定しやすいのでは? 足の甲での地面の捉えがつま先のみなので、浮き上がろうとする力が抑えられていません。故に、ボールが高めに集まりやすかったり、抜けてしまうことも少なくありません。制球で言えば、高低が課題だと言えます。「球持ち」自体は、そこまで悪くなく見えますが、指先の感覚はあまり良くなさそうなのと、ボールが押し込めていないのは気になるところです。 <故障のリスク> ☆☆☆ 3.0 お尻の落としは悪くないので、カーブやフォークを投げても、そこまで窮屈になることは無さそう。しかし、ボールを持っている肩が上がり、グラブを持っている肩が下がり気味なので、多少肩への負担は注意した方が良さそう。それでも力投派ではないので、現時点ではそこまで疲労を溜め込むことも無さそうです。 <実戦的な術> ☆☆☆ 3.0 「着地」までの地面の捉えが早く、ボールの出どころも見難いので、想像よりも早くピュッと出てくる感じには陥るかもしれません。腕は投げ終わった身体に絡んで来るなど粘りが感じられるので、あとはボールにしっかり体重を乗せてからリリースできるようになると、もっと打者の手元まで球威の落ちない球が投げられそうです。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「着地」と「体重移動」に課題を感じます。高めに浮きやすい制球力の改善や、将来的に武器になるほどの変化球を見出だせるかが課題になります。そういった意味では、リスキーな素材ではあるように感じます。 (最後に) こういった未完成だけれども将来性が高そうみたいな左腕を、プロが指名して大成させた例はほとんど知りません。超A級の素材だった菊池雄星をモノにした西武だけに、何かしらの自信があっての指名かもしれませんが。果たして、そういった心配が杞憂で終わるのか? 今後を見守って行きたいところです。そういった意味では、☆(支配下級)の評価にまでは至りませんでした。 (2023年 南北海道大会) |