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千葉 隆広(旭川明成)投手 175/77 左/左 | |
悪く言えば、ずば抜けた特徴がない。良く言えば、悪い癖がない、そんな感じのサウスポーである 千葉 隆広 。スカウトは、彼の何処に可能性を見出し、獲得しようとしたのだろうか? (投球内容) 非常に、オーソドックスなフォームです。3年夏の大会の成績は、41回 29安 13四死 45三 防 0.88 と安定していました。 ストレート 常時135キロ前後 ☆☆★ 2.5 球威・球速的には、ドラフト指名される左腕としても遅い部類です。それでも被安打が少ないのは、両サイドに集められる安定した制球力があるからではないのでしょうか。また、ランナーを背負うとギアを上げて、140キロ近いボールを投げ込んきます。 変化球 スライダー・カーブ・チェンジアップなど ☆☆☆ 3.0 左打者外角に逃げて行くスライダーに威力があり、この球を振らせるのが持ち味です。右打者にはあまりスライダーを使えず、緩いカーブやチェンジアップ系の球が多くなるのですが、右打者には武器になる球が苦しそうではあります。 その他 牽制は適度に鋭いものがありますし、クィックも 1.0~1.1秒 ぐらいで投げ込めます。左腕であることを考えると、スタートは切り難いかもしれません。特に「間」を意識したといった感じではありませんが、両サイドを広く使った投球を魅せます。ピンチではギアを上げたり、マウンドでの闘争心を感じさせるタイプです。 (投球のまとめ) ボール自体に驚くほどのものはないのですが、丹念に散らせる制球力があり、それでいて熱い気持ちも兼ね備える、そういったサウスポーではないのでしょうか。癖のないタイプだけに、これからプロの世界で、いかに自分の武器、色を見出して行けるのか? これからの投手といった気がしました。 (投球フォーム) そういった中で、将来に向けてどんな可能性があるのか? フォームを分析して考えてみたい。セットポジションから、足を引き上げる勢いは静かだが、高い位置まで引き上げてくる。軸足一本で立ったときには、膝がピンと伸びがちなものの、バランス良くは立てている。 <広がる可能性> ☆☆ 2.0 引き上げた足を地面に向けて伸ばすので、お尻はバッテリーライン上に落ちてしまっている。したがって体を捻り出すスペースは確保できず、カーブやフォークといった捻り出して投げる球種には適さない。 また「着地」までの地面の捉えは早く、体を捻り出す時間を確保できない。したがって曲がりの大きな変化球よりも、球速のある小さな変化を中心に、投球の幅を広げて行くことになるのではないのだろうか。 <ボールの支配> ☆☆☆★ 3.5 グラブは最後まで体の近くにあり、外に逃げようとする遠心力は内に留めることができている。そのため軸はブレ難く、両サイドへのコントロールはつけやすい。また、フォーム全体が縦推進なので、左右の狂いは少なそうだ。 足の甲での地面の捉えが浅いので、浮き上がろうとする力を押さえられていない。したがって力を入れて投げると、ボールが上吊りやすいのでは? 「球持ち」は並ぐらいでも、指先の感覚は比較的良さそうなタイプには見える。 <故障のリスク> ☆☆★ 2.5 お尻が落とせていないので、カーブやフォークを投げようとすると窮屈になって肘などに負担がかかりやすい。ただし、そういった球種の割合は少ないので、現時点ではさほど気にしなくても良さそうだ。 むしろ、ボールを持っている肩が上がり、グラブを持っている肩が下がるなど、腕の送り出しには無理が感じられる。それだけ肩への負担は大きいそうなので、体のケアには注意して欲しい。けして力投派ではないので、そこまで疲労を溜めやすいということは無さそうだが。 <実戦的な術> ☆☆☆ 3.0 「着地」までの粘りがないので、打者としては合わせやすいフォーム。それでも、ボールの出どころは隠せていることで、ある程度緩和させることができている。投げミスをしなければ、そこまで打ち込まれる危険性は低いだろう。 腕は適度に振れており、左打者に対してボールの出どころも隠せているので、左打者からの空振りは誘いやすいのでは?まだまだボールにしっかり体重を乗せてからリリースできていないので、打者の手元まで強い球が投げられない。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「着地」と「体重移動」に課題を抱えている。制球を司る動作では、高めに集まりやすい部分を。故障のリスクでは、肩への負担が気になる部分。あとは、いかに武器になる球を見出すなどできるか? 実戦的な投球とは対照的に、フォームとしては結構伸び悩む要素を含んでいる。 (最後に) 投球の土台はできているので、素直に肉付けして全体の出力が高められると、左腕だけに試合を作るなり安定した存在になりうるのかもしれない。ただし、現時点では、特徴らしい特徴には欠ける部分があるので、なかなか未来像は描き難い。そのため、☆(支配下級)の評価をするまでには至らなかった。ハートの強さと投球の基礎ができているといった部分を、評価しての指名なのだろう。 (2023年夏 北北海道大会) |