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長水 啓眞(京都国際3年)投手 179/65 左/左 | |
春の大会では、背番号11を付けて近畿大会でも投げていた 長水 啓眞 。しかし、昨夏に引き続き、3年夏の大会では登板がなく最後の夏を終えた。近畿では、知る人ぞ知る存在だったという。 (投球スタイル) 細身の投手体型から、長い手足を活かして投げ込んでくるサウスポー。凄みのある球を投げるというよりも、切れのある真っ直ぐに、細身の体に肉付けができればといった部分に期待する、素材型左腕だ。 ストレート 130キロ台後半~140キロ台前半 ☆☆★ 2.5 左打者には、左腕らしい切れのある球を外角クロスに集めることができています。球威・球速といった意味では驚くほどのものはないのですが、ビシッとした球が外角一杯に決まり思わず手が出ないといったところに決められます。ただし、右打者に対しては的を付け難いのか? 制球を乱す傾向が見られました。 変化球 スライダー ☆☆ 2.0 変化球は、右打者の内角に食い込んでくるスライダーを使ってきます。確認した限りは、チェンジアップやカーブなどは見あたらず。そのため球種を増やし、もう少し投球の幅を広げて行きたいところです。 その他 クィックは、1.05~1.10秒 ぐらいとそれなり。ただし、緊張なのかボークをしてしまったりと、まだまだプレッシャーのかかる場面では経験不足は否めません。そのため近畿大会の金光大阪戦では、サヨナラ負けをきしました。。 (投球のまとめ) 今年のエースであった 杉原 望来(広島育成3位)左腕と比べても、真っ直ぐの勢い・キレでは、こちらの長水の方があるのではないかというほど。しかし、制球力、マウンドさばき、変化球などはこれからで、極端に荒れ荒れといったことはありませんでしたが、経験不足は否めません。そういった意味では、育成ならではの指名といった気がします。 (投球フォーム) 僅かな投球からではわからない部分もあったので、フォームを分析して将来像を考えてみましょう。セットポジションから、足を引き上げる勢いや高さがあるフォームで、躍動感のある入りです。軸足一本で立ったときには、膝にはあまり余裕はないものの、全体のバランス良くは立てていました。 <広がる可能性> ☆☆☆★ 3.5 お尻は結構三塁側に落ちていて、体を捻り出すスペースは確保できているように見えました。したがってカーブで緩急を付けたり、フォークのような縦に落ちる球も無理無く投げられるのではないかと。 「着地」までの地面の捉えは平均的で、体を捻り出す時間は並ぐらい。そのため曲がりは平凡で、武器になるほどの変化球を習得できるかが鍵になります。 <ボールの支配> ☆☆★ 2.5 抱えていたグラブが、最後後ろに流れて解けてしまっているので、外に逃げようとする遠心力が内に留めることができず、軸がブレやすいです。したがって、両サイドへの制球は暴れやすいのでは? また、腕も外旋してブンと振る感じなので、このことでも制球を乱しやすく感じます。 逆に足の甲での地面の捉えはできているように見え、浮き上がろうとする力は抑えられているように見ます。あとは、「球持ち」がよくなく、指先の感覚はあまり良く無さそうに見え、そのへんがアバウトな制球の大きな要因ではないかと考えられます。 <故障のリスク> ☆☆☆ 3.0 お尻は落とせているので、カーブやフォークなどを投げても窮屈にはなり難いそう。まして投げている変化球はスライダーぐらいなので、その点で肘への負担などは少ないのではないかと。 腕の送り出しを観ていても、無理な角度を付けていないので肩への負担は少なく見える。ただし、外旋する腕の振りなので、遠回りにブンと腕を振り回してくる感じであり、それにより肩への負担が生じている可能性は否定できない。 全体的に力投げ派のフォームなので疲労が溜めやすく、故障のリスクはそれなりにあるのではないのだろうか。 <実戦的な術> ☆☆☆ 3.0 「着地」までの粘りは平均的ですが、ボールの出処は隠せていて長い腕も相まって打ち難いかもしれません。腕も強く振れてはいるのですが、体に巻き付いて来るような粘りはまだありません。地面も強く蹴り上げられているように見えるのですが、ステップの幅が適正でないのか? 投げ終わったあとに三塁側(左投手の場合は)に流れてしまっています。こうなると、作り出したエネルギーをリリースまで伝えきれず、球威のある球が打者の手元まで行きません。上半身や腕の振りを活かして、キレのある球は生み出せますことはできますが、甘く入ると痛打を浴びやすい傾向に陥ります。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、もう少し「球持ち」や「体重移動」に改善の余地がありそうです。グラブが抱えきれないのと腕の振りが外旋することで、制球乱れやすいこと。またそれが、体への負担にもつながる恐れがあります。将来的には、いかしてに投球の幅を広げて行くのかが課題としてあげられます。それなりに、リスキーなフォームをしている選手ではあると思います。 (最後に) ダイナミックなフォームで、勢いのある球を投げ込む素材としての魅力は感じます。ただし、まだまだ経験不足もあり、マウンドさばき、気持ちのコントロール、球種不足など課題も少なくありません。そういった意味では、プロ入りの「旬」の時期だったのか? という疑問は残りますが、今ドラフトでも指折りの穴っぽい指名でした。 (2023年春 春季大会) |