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河内 康介(オリックス)投手のルーキー回顧へ







河内 康介(聖カタリナ3年)投手 180/72 右/右  





「素材的には、今年の高校NO.1右腕」





 全国的に観ても、今年の高校生右腕で一番魅力を感じたのが、この 河内 康介 だった。まだまだ発展途上の投手ではあると思うが、惚れ惚れするようなフォームから、指にかかった時のボールは素晴らしい。


(投球内容)

 夏の愛媛大会では、準々決勝で敗退。しかし、
3試合 21回 15安 6四死 11三 防 1.29 の好成績。球速が出やすい坊っちゃんスタジアムのガンではあるが、150キロを記録した。

ストレート 常時130キロ台後半~MAX150キロ 
☆☆☆★ 3.5

 普段の球速は140キロ前後と平凡だが、力を入れて決めゆく時には140キロ台中盤を記録。まだ指にかかった時のボールとそうじゃない時とではバラツキがあるが、安定して良い球が投げられるようになると極めて楽しみだ。まだ
リリースも不安定で、時々甘い球が観られ、その球を痛打されていた。

変化球 スライダー・カーブ 
☆☆☆★ 3.5

 曲がりながら沈むスライダーとのコンビネーションで、この球でカウントを整えたり、決め球にも使ってくる。たまに緩いカーブも使ってくるが、ほとんど投げることはない。まだ縦の変化などもないので、ボールの威力の割には三振が少ない。

その他

 
クィックは、1.05秒前後とまずまずで、フィールディングも落ち着いてボールを処理できている。特に微妙な出し入れで勝負するような繊細さや、「間」を使ってじっくりといった投球術は観られない。ただし、右打者の外角低めや、左打者の外角のボールゾーンから入ってくる、バックドアのスライダーを多く使う技術は持っている。

(投球のまとめ)

 時々指にかかった時の素晴らしさと、
スライダーのキレに見るべきものがあります。まだ持ち球が少なく単調になったり、時々甘く入った球を痛打されるなど、全国レベルの打線相手だと厳しいかなといった感じではありました。数年間かけて、真っ直ぐのレベルUPと投球の引き出しを増やす必要がありそうです。ただし、数年後に見違えるほどになっていても不思議ではありません。





(投球フォーム)

 セットポジションから、足を引き上げる勢いや高さはまずまず。軸足一本で立った時にも、膝がピンと伸び切ることなく力みがないのは良いところ。そのため、適度にバランス良く立てている。

<広がる可能性> 
☆☆☆☆ 4.0

 比較的高い位置で足を伸ばしているので、お尻の一塁側への落としも悪くない。体を捻り出すスペースが確保できているので、カーブやフォークといった、捻り出して投げる球種でも無理は感じられない。

 また「着地」までも足を大きめにステップさせることで、体を捻り出す時間を確保。曲がりの大きな、武器にできる変化球の習得も期待できそうだ。

<ボールの支配> 
☆☆☆☆ 4.0

 グラブを最後まで内に抱えられているので、外に逃げようとする遠心力も内に留めることができている。したがって軸はブレ難く、両サイドへのコントロールはつけやすい。

 足の甲でも地面を捉えられており、浮き上がろうする力も抑えられている。そのため、ボールも高めには抜け難い。リリースも長くボールを持っていることができているので、将来的に体ができてくれば、
精度の高い制球力も期待できそうだ。

<故障のリスク> 
☆☆☆☆★ 4.5

 お尻も落とせているので、カーブやフォークなどを投げても無理がない。そしてまた、ほとんどそういった球も観られない。したがって現時点では、肘への負担などは少なそうだ。

 腕の送り出しを観ていても、肩などへの負担も感じられない。それほど力投派でもないので、疲労を溜めることも少なそうだ。そのため、
故障のリスクも少なそうなフォームには見える。

<実戦的な術> 
☆☆☆☆ 4.0

 「着地」までの粘りも作れているし、ボールの出どころも平均的。そのため、特に合わされやすいフォームでも無さそうだ。腕も投げ終わったあと身体に絡んでくる粘りもあるし、ボールにも適度に体重を乗せてリリースできている。したがって、打者の手元までの勢いも鈍らない。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」でも、「開き」が並ぐらいではあるものの、あとの動作には優れている。故障のリスクも低そうで、制球を司る動作にも優れる。現時点では、球種は少ないものの、まだまだ良い変化球を身につけて行ける下地を持っている。体ができてくれば、ストレートの制球も質も多いに向上しそうだ。
フォームとしての土台の良さには、素晴らしいものを持っている


(最後に)

 現時点でも惚れ惚れするようなボールを投げ込めているのだが、それに加え理想的なフォームに近く、これからグングン伸びて行けそうな素材であることがわかった。体格的に圧倒的なポテンシャルといったほどではないものの、実戦力を兼ね備えた素晴らしい投手に成長してゆくと期待している。

 指名となると3位前後の素材だとは思うが、全国区の選手でもないことを考えると、もっと低い順位での指名になるかもしれない。それでも数年後、指名順位以上の活躍を期待したくなる、将来有望な素材だと評価したい。


蔵の評価:
☆☆☆ (上位指名級)


(2023年夏 愛媛大会)