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今野 一成(古川学園3年)投手 170/82 右/左 | |
今年の宮城を代表する投手の一人である 今野 一成 。仙台育英の3羽ガラス や ハッブス大起(東北)などが全国大会でアピールしたのに比べると県外では無名の存在。果たして、どのような選手なのか? 今回は考えてみたい。 (投球内容) 上背はないものの、ガッチリした体格の選手で、投げっぷりの良いマウンドさばきに特徴があります。この夏の大会では、11回 4安 6四死 9三 自0 といった内容でした。 ストレート 140キロ~MAX151キロ ☆☆☆★ 3.5 全身を使って投げ込む力投派で、勢いのある真っ直ぐを投げ込んできます。右打者には外角中心に集まるのですが、左打者には大まかに両サイドに散らして来るといった感じです。そのため左打者に対しては、やや高めに集まったり抜けたりする傾向があります。11イニングを投げて6四死球と、制球はアバウトだと捉えた方が良さそうだ。 変化球 スライダー・チェンジアップなど ☆☆☆★ 3.5 右打者に対しては、横滑りする大きなスライダーを投げ込んでくる。また、左打者に対してはチェンジアップ系の小さく沈む球とのコンビネーション。けして、これらの球の精度・キレも悪くはない。ただし、11イニングで9三振ということで、特別奪三振率が高いわけではないようだ。特に先発だと、真っ直ぐの凄みがそこまでではないからだろう。 その他 クィックは、1.0秒前後と素早い。牽制を入れるタイミングなども上手く、運動神経みたいなものには優れていそう。微妙な出し入れや「間」を使った投球術などは観られないものの、気持ちの強さを全面に出して力で抑え込むのは得意としている。 (投球のまとめ) 小柄の力投派右腕ということで、なかなか高校からのプロ入りとなると敷居が高い。また、制球の粗さや今後の上積みとなると、不安が残る部分はある。それだけに独立などで、さらに成長した姿を見せる必要があるのではないのだろうか。 (投球フォーム) 技術的にはどうなのか? フォームを分析して考えてみたい。ノーワインドアップから、足を引き上げる勢いや高さがあるリリーフタイプの入り方です。軸足一本で立った時には、膝はピンと伸びがちで余裕はないものの、適度にバランス良く立てています。 <広がる可能性> ☆☆☆ 3.0 引き上げた足を二塁側に送りつつ地面に向けて伸ばすので、お尻はバッテリーライン上に落ちがち。したがって体を捻り出すスペースは確保できていないので、カーブで緩急を付けたり、フォークのように縦に鋭く落ちる球種には適しません。 それでも前にステップして、体を捻り出す時間は適度に確保。そういった意味では、スライダーやチェンジアップなどの球種ならば、良い球が投げられる可能性があります。 <ボールの支配> ☆☆☆★ 3.5 グラブは最後は後ろに流れがちですが、比較的体の近くにはあります。そのため軸のブレは少なく、両サイドへのコントロールはつけやすいのでは? 足の甲でも地面を捉えているように見えるので、ボールも低めに集まりそうなものです。 まだリリース時の押し込みや力んで投げている分、制球を乱したすいのかもしれません。根本の動作は悪くないので、今後体ができてきて再現性が高くなってくると、もっと制球が安定してくるようになるのではないのでしょうか。 <故障のリスク> ☆☆☆ 3.0 お尻は落とせないフォームなので、カーブやフォークなどを投げようとする窮屈になって肘などを痛めやすいです。しかし見ている限り、そういった球は投げていないようなので、そこまで気にする必要はないかもしれません。 腕の送り出しを見る限り、肩への負担などは少なそう。ただし、結構な力投派なので、疲労など溜めやすい恐れはあります。 <実戦的な術> ☆☆☆★ 3.5 「着地」までの粘りは適度にあり、ボールの出どころも隠せています。そういった意味では、角度こそ感じられないものの、合わされやすいといったことは無さそうなフォームではあります。 腕の振りは悪くないと思いますが、投げ終わったあと腕が体に絡みついて来るような粘っこさはありません。ボールには適度に体重を乗せては投げられているのですが、まだ投げ終わった後一塁側に流れがちになるなど、作り出したエネルギーをリリースまで伝えきれていないところが残ります。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「球持ち」にもう少し粘っこさが欲しいところです。制球はアバウトなのですが、動作的にはそこまで悪く有りませんので、今後体ができてくると安定してくる可能性はあります。故障のリスクは、お尻が落とせないのと力投派で消耗が激しいところがどうでしょうか? カーブやフォーク系の球種に適さないフォームなので、緩急や決め手をいかに他の球などで見出して行けるかが課題でしょう。不安要素はあるものの、荒れ荒れのフォームではないように感じました。 (最後に) 小柄な力投派右腕ということで、なかなか高校から直に指名されるのは難しいポジション。それだめに、独立などで実績やアピール続けることで、最短のプロ入りを目指すというのが、一番現実的な方法かと思います。それでも育成あたりであれば、高校の時点から指名してくる球団が現れるかもしれませんね。 (2023年夏 宮城大会) |