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升田 早人(光3年)投手 181/74 右/右 





 「選抜で最も株をあげた男」





 この春の選抜大会で、日当 直喜(東海大菅生)投手と共に、最もスカウト達のの評価を高めたのが、この 升田 早人 ではないのだろうか。昨秋の中国大会から評判になっていたが、一冬越えてさらに力強さを増してきた。


(投球内容)

 オーソドックスな右の本格派で、少し小さめなテイクバックから投げ込んできます。優勝した山梨学院に2回戦で打ち込まれてしまったものの、緒戦の彦根総合戦では、9回を投げて、3安打・1四死球・11奪三振 で無失点と好投し注目された。

ストレート 135キロ~MAX143キロ ☆☆☆ 3.0

 球速こそ140キロ前後ぐらいと、ドラフト候補としては驚くほどのものはなかった。それでも
ビシッと球威がありながら、わかっていても空振りが奪える球質で、プロを意識できる球を投げていた。ボール全体は高いものの、打者の空振りが誘えるゾーンでの高さであり、そこは持ち味だと思って割り切っても良いのではないのだろうか。

変化球 スライダー・カーブ・チェンジアップなど ☆☆★ 2.5

 横のスライダーでカウントを整え、縦のスライダーで空振りを誘う感じです。また他にも、緩いカーブやチェンジアップ系の球もあります。しかし、投球で信頼度が高いのは、この二種類のスライダー。ただし、
カウントを整えにゆく横のスライダーが、甘く高めに浮くのは正直気になります。質の良い真っ直ぐが高めにゆくのは問題はないのですが、変化球は低めが基本。上のレベルの打者が、この球を見逃してくれるとは思えません。また、縦のスライダー以外は、上のレベルを想定すると物足りなさは残ります。

その他

 クィックは、1.15秒前後と平均的。
フィールディングが危なっかしく見えたので、もう少し見極めてみる必要がありそうです。牽制などはよくわからなかったのと、投げるタイミングを外すとか、そういった「間」を意識してとかそういった投球術は観られませんでした。

(投球のまとめ)

 現状は、まだまだ質の良い真っ直ぐを投げ込む投手といっただけで、それほど変化球や制球力・投球術に特別ものは感じられません。そういった部分を、今後いかにも改善して行けるかに懸かっています。それだけに春の時点では、そこまで高い評価はできないとみています。






(投球フォーム)

 今度は、フォームの観点から、今後の可能性について考えてみます。ノーワインドアップから、足を引き上げる勢いは並。それでも、高い位置まで引き上げることで、高いエネルギーを捻出できています。軸足一本で立ったときに、膝がピン過ぎることがないので、力みは感じられません。また適度にバランスを保ちつつ、立つことができていました。

<広がる可能性> ☆☆☆★ 3.5

 比較的高い位置で足をピンと伸ばせているので、お尻は適度に一塁側には落とせています。したがって、カーブを投げたりフォークを落としたりと、捻り出して投げる球種を無理なく投げることはできそうです。

 「着地」までの地面の捉えもそれなりで、体を捻り出す時間もそれなりこ。そのため多彩な球種を操れる土壌もありますし、大きな曲がりとは言わないまでも、キレのある変化球を身につけて行ける土壌はあるように見えました。

<ボールの支配> ☆☆☆ 3.0

 グラブは最後まで内に抱えられており、外に逃げようとする遠心力は内に留めています。したがって軸はブレ難く、両サイドへのコントロールは安定しやすいのでは? ただし、投球を観ていると、それほどコースへの投げ訳は観られませんでした。

 
足の甲での地面の捉えがまだ浅いので、浮き上がろうとする力を充分には抑え込めていません。ゆえに力を入れて投げようとすると、ボールが上吊りやすくなります。また「球持ち」自体は悪くないのですが、リリースでもボールが押し込めていなく、ボールが抜けやすい要因になっているように感じました。

<故障のリスク> ☆☆☆☆ 4.0

 お尻の落としは悪くないので、カーブやフォークなどを投げても窮屈にはなり難いかと。そのため、肘への負担はさほど大きくは無さそうですし、そういった球も滅多に投げてきません。

 腕の送り出しを観ていても、肩への負担も少なそう。腕は強く振れていますが、力投派というほどでもないので、故障のリスクは高いフォームでは無さそうです。

<実戦的な術> ☆☆☆★ 3.5

 「着地」までの粘りもある程度作れていますし、小さめなテイクバックも相まって、けして合わされやすいフォームではなさそうです。ボールの出どころは平均的で、特に「開き」が抑えられているというほどではありませんでしたが。

 
腕はしっかり振れており、最後までしっかり叩けていました。そういった勢いはあるので、打者としては思わず吊られてしまう勢いがあります。ボールにもある程度体重を乗せてからリリースできており、投げ終わったあとの地面の蹴り上げも悪くありません。それは、最後までしっかり体重移動ができている証です。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「開き」こそ平均的ですが後の部分は水準以上です。制球を司る動作こそ平凡ですが、故障のへ不安は少なく、将来的にもピッチングの幅を広げて行けることが期待できます。体ができてくれば、まだまだ伸びて行ける可能性が高まります。



(最後に)

 まだまだ成長途上の投手といった感じで、それなりには時間はかかるものと思われます。しかし、土台となるフォームや投球は悪くないので、素直に肉体の成長が、パフォーマンスの向上にも現れやすいタイプかと考えます。現時点では高い評価はできませんが、本会議中での指名を意識できる素材。夏までのさらなる上積みが観られれば、中位ゾーン(3位~5位)ぐらいあたりまで評価が引き上がってきても不思議ではありません。期待して、夏まで追いかけてゆきたい投手でした。


蔵の評価:
 (下位指名級)


(2023年 選抜大会)