23kp-22





森岡 大智(能代松陽3年)投手  184/81 右/右
 




「夏までの成長次第」 





 高校からのプロ入りとなると、今後の成長次第といった気がする 森岡 大智 。しかし、夏までにワンランク上の成長を印象づけられれば、指名も現実味を帯びてくるとみている。


(投球内容)

 昨夏も甲子園を経験しているが、この選抜では 
17イニングを投げて4安打。4四死球で、17三振。失点は、大坂桐蔭戦で記録した、わずか1失点と抜群の内容を示した。

ストレート 135キロ前後~MAX141キロ ☆☆☆ 3.0

 球威・球速という意味では、ドラフト候補としてはやや物足りない。しかし、この真っ直ぐでも、面白いように空振りがとれ、相手を打ち取ることができていた。投球の多くは外角を中心に組み立てられているが、四死球も少ない。何より、17イニングで4安打と、
わかっていても捉えられないボールの質こそ、この選手の持ち味なのではないのだろうか。

変化球 カーブ・スライダー・チェンジアップ ☆☆☆ 3.0

 カーブ・スライダーでカウントを整え、チェンジアップや縦スラなどの縦の変化で空振りを誘うことができる。真っすぐでの空振りも目立ち、全国大会でも投球回数と同数の奪三振が奪えていた。

その他

 クィックは、1.05~1.10秒ぐらいとまずまずで、牽制は平均的。特に微妙な出し入れをしているとかいう感じではないが、外角いっぱいに決めることができている。まだ「間」を意識してとか、投げるタイミングを変えてくるといった投球術は特に見られなかった。

(投球のまとめ)

 現状は、目にみえて凄い球を投げてくるわけではありません。むしろ、この球で、ここまで抑えられるのかという驚きみたいなものさえあります。そのため現状は、ドラフト候補としては
指名ボーダーラインレベルといった感じです。夏までに上積みが出てくるようだと、指名に現実味が出てくると考えられます。






(投球フォーム)

 
今度は、フォームの観点から将来像について考えて行きます。セットポジションから、足を引き上げる勢いはあるものの、それほど高い位置まで引き上げて来るわけではありません。特に膝がピンと伸び切るような力みは感じられないものの、全体のバランスはあまりとれていない感じです。

<広がる可能性> 
☆☆☆★ 3.5


 お尻はある程度一塁側に落ちているので、体を捻り出すスペースはそれなりに確保できています。したがって、カーブやフォークといった、捻り出して投げる球は投げられそうです。

 「着地」までも前に適度にステップさせることができ、体を捻り出す時間は確保できています。そのため、曲がりの大きな変化球の修得は、ある程度期待できそうです。

<ボールの支配> ☆☆☆★ 3.5

 グラブは最後まで体の近くにあるので、外に逃げようとする遠心力を内に留めることができています。ゆえに軸はブレ難く、両サイドへのコントロールは付けやすいかと。

 足の甲での地面の捉えが少し遅く、充分には浮き上がろうとする力は抑えられていないようには見えます。そのため、力を入れて投げると、ボールが高めに抜けてしまうことがあります。「球持ち」は並ぐらいですが、指先の感覚は悪くは無さそうでした。

<故障のリスク> ☆☆★ 2.5

 お尻はある程度落とせているので、カーブやフォークなど捻り出して投げる球種を投げても、それほど窮屈にはならないのでは? 腕を真上から叩きつけるフォームなので、
肩への負担は大きいそうですね。腕もかなり豪快に振り下ろしてくるので、疲労を溜めやすい恐れはあります。

<実戦的な術> ☆☆☆★ 3.5

 「着地」までの粘りはそれなりなので、合わされやすいということは無さそうです。そのへんは、甲子園での被安打の少なさにも現れています。またボールの出どころという部分も、平均的なフォームではないのでしょうか。

 
腕の振りが凄く良いので、そういった意味では打者は思わず吊られてしまうところはありそう。ボールへの体重の乗せも悪く無さそうで、投げ終わったあと地面を強く蹴り上げてきます。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「球持ち」や「開き」は並ぐらいで、この辺にさらなる粘りが出てくると、打ち難くなりそう。制球を司る動作や将来的に投球の幅を広げてゆくことも期待できますが、肩への負担の大きなフォームなので、体のケアには充分注意して欲しいものです。


(最後に)

 実際の投球を見ている限り、まだまだ成長途上・発展途上といった感じで、高校からのプロ入りとなると微妙な気がします。それだけに、指名を確実にするのには、夏までにワンランク上の成長を印象づける必要があるのではないのでしょうか。個人的には、夏まで追いかけて最終的な判断をしたいところです。


蔵の評価:
追跡級!


(2023年 選抜大会)