23kp-19
| 篠崎 国忠(20歳・徳島IS) 投手 193/100 右/右 (修徳出身) | |||||||||||
良い時の投球では、球速は先発でも150キロ台中盤を記録する 篠崎 国忠。しかし、いつも圧倒的な内容で抑え込めているわけではなく、安定した投球ができているわけでもない。上限は高そうだが、まだまだ不安定さが目立つのが現状の彼の姿ではないだろうか。 (投球内容) 恵まれた体格を活かし、雄大な投球をしてくる大型右腕。そのスケールの大きさは、今年のクラスでもトップクラスのポテンシャルを持っていることは間違いない。今シーズンの成績は以下の通り。この成績から算出されるWHIP(イニングあたり与えた四球と安打の合計: 1.67)は平均的で、被安打と四球の多さが制球の課題を示唆している。
ストレート 常時140キロ台後半~MAX157キロ ☆☆☆☆ 4.0 アイランドリーグの各球場のスピードガンが出やすい傾向から、球速的には5キロほどマイナスのイメージで見ている。それでも、コンスタントに150キロ前後は出ているのは間違いなく、ボールの質も悪くない。157キロを記録した香川戦などでは、ボールを両サイドに散らすことができ、制球も安定していた。ただし、いつもそういった投球ばかりではない点は覚えておきたい。 横変化 スライダー ☆☆☆★ 3.5 体の近くでキュッと横滑りするスライダーで、しっかりカウントを整えてくる。この球がコントロールできている時は、投球全体が安定するイメージだ。好調時には、打者の外角一杯にもコントロールされ、切れ・精度共に実戦的な球となっている。 縦変化 フォーク ☆☆☆ 3.0 結構積極的に追い込んで縦の変化を使ってくる。この球がキレイに落ちて振ってもらえる時は良いが、そうではないことも多く、振ってもらえないケースも少なくない。落ちる確率自体は高いので、それを活かすためのフォームや配球などの工夫が欲しいところだ。 緩急 カーブ ☆☆☆★ 3.5 カーブなのかスライダーなのか見極めは困難だが、縦割れの110キロ台の変化球を結構投げ込んでくる。この球はストレートとの球速差が30キロほどあり、投球のアクセントとなっている。 その他 ☆☆☆ 3.0 クイックは1.15~1.20秒ぐらいと若干遅め。それでも、走者に対しては目配せしながら投げ込むことができている。牽制も適度に鋭いものを織り交ぜてくるので、打者としてはスタートを切りやすい選手ではない。コース一杯で出し入れする、投げるタイミングを変える、ボールを長く持つといった技術や余裕は、まだないようだった。 (投球のまとめ) ストレートの球速だけでなく、好調時には制球力・変化球の切れや精度も良く、1位指名を意識できるほどの投球を披露することがある。K/9(9イニングあたりの奪三振数: 9.32)は優秀で、三振奪取能力の高さを示すが、BB/9(9イニングあたりの四球数: 5.32)とK/BB(奪三振対四球比率: 1.75)の低さが不安定さを裏付け、好不調の差を助長している。 しかし、まだそういった投球ができる確率は低く、安定感に欠ける。そのため、上限を評価するのかアベレージで見るのかで意見が分かれやすい選手ではないか。個人的には、高卒2年目の年齢と上積みの望める素材からも、良い時の内容を重視して評価した方が良いのではないかと思っている。 (投球フォーム) セットポジションから、足を引き上げる勢いや高さはそれなり。軸足一本で立った時に膝にあまり余裕は感じられないものの、適度にバランスを保てている。 <広がる可能性> ☆☆☆★ 3.5 お尻は深く一塁側に落ちており、体を捻り出すスペースは確保できている。そういった意味では、カーブやフォークといった球種を投げるのに無理は感じられない。また、「着地」までの粘りを見ているとそれなりにあり、体を捻り出す時間も適度だ。こうなると、武器になるほどの変化球が習得できるかは微妙でも、各変化球の切れは悪くないのではないかと思えてくる。 <ボールの支配> ☆☆☆★ 3.5 グラブは最後まで内に抱えられており、外に逃げようとする遠心力を内に留めている。したがって軸はブレにくく、両サイドのコントロールもつきやすい。足の甲で地面を捉えてもおり、浮き上がろうとする力も抑えられている。時々ボールが抜けるのは、「球持ち」がまだ十分に押し込めていないためで、リリースが安定していないからではないか。この点も、フォームが固まって再現性が高まれば、低めに良い球を集めやすくなりそうだ。 <故障のリスク> ☆☆☆☆ 4.0 お尻を落とせているので、カーブやフォークを投げても窮屈になりづらいだろう。腕の送り出しを見ていても無理は感じられず、肩などの負担も少ない。まだ力んで投げたり、多少疲労を溜めやすい部分はあるものの、そこまで極端ではないので、気にするほどではない。 <実戦的な術> ☆☆☆☆ 4.0 「着地」までの粘りは適度に作れているものの、まだボールが見やすい点が今後の一番の課題ではないか。このボールを投げていても投球回数より被安打が多いのは、この合わされやすさに問題がある。ボールには適度に体重を乗せられてリリースできているように見えるが、投げ終わったあと一塁側に重心が流れるなど、エネルギーをロスしてしまっている。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、特に「開き」と「体重移動」を中心に、全体の粘りを養いたい。制球を司る動作も悪くないので、体ができてくればコントロールは安定してきそうだ。故障のリスクも低そうで、新たな技術に積極的に取り組める下地がある。将来的に絶対的な決め球を身につけられるかは微妙でも、各変化球の切れ・曲がり自体は良い投手になれるだろう。全体的に発展途上の部分は見られるが、根本的な土台は優れている。 (最後に) 即戦力になりうるかと問われれば厳しいが、数年単位で見れば相当な有望株だ。元々持っているスペックも素晴らしいし、技術的な土台も悪くない。そういった意味で、数年後に凄い投手になっていても不思議ではない素材だろう。中日という投手育成力の高い環境も、それを後押ししてくれそうだ。何より、本人も研究熱心そうな素材で、どんどん新しいことを吸収していけそうな選手だった。現在はドラフト中位ぐらいの内容でも、近い未来にメジャーまで飛び出せる可能性を秘めた素材だと評価したい。 蔵の評価:☆☆☆(上位指名級) (2025年 リーグ戦) |
| 篠崎 国忠(修徳2年)投手 192/88 右/右 | |
190センチを越える体格ながら、けしてコントロールが悪い投手ではない 篠崎 国忠 。むしろ、一冬越えてしっかり身体ができてきた時には、一体どんな球を投げ込むのだろうかという伸び代が魅力の素材だ。 (投球内容) 旧チームからエースナンバーを背負っていた選手で、夏の大会では4回戦まで勝ち上がった。また、秋の大会では3回戦で、日大三高 の前に敗れている。 ストレート 135キロ~140キロぐらい ☆☆★ 2.5 打者の外角中心に、角度を感じる135キロ前後のボールを投げ込んでくるといった感じ。時には内角も突くなど、両サイドの制球は安定。まだ、打者を力で抑え込むといった圧倒的な球威や球速はない。それでも力を入れた時の球には、適度な勢いを感じさせる。 変化球 スライダー・フォーク ☆☆★ 2.5 少しカーブのような、曲がりながら沈むスライダーでカウントを整えます。その一方で、あまり落ちきらないフォークもあるようですが、それほど精度・落差共に発展途上。見ている感じだと、少しチェンジアップっぽくも見えてきます。この球が、一冬の間にモノにできるかが大きなカギになりそうです。 その他 大型でも、クィックは1.05秒前後とまずまず。牽制も適度に鋭いですし、フィールディングの動きも悪くありません。ランナーを背負うと、ボールをじっくり持つなど、「間」を意識した投球もできます。 (投球のまとめ) 現状は、まだドラフト候補としては頼りない感じです。それでも、制球は悪くないですし、野球センスにも優れたものを持っています。一冬の間に体が成長してくると、春には一気にドラフト候補として脚光を浴びてもおかしくはないでしょう。 (投球フォーム) セットポジションから、足を引き上げる勢いや高さがあります。また軸足一本で立った時にも、膝がピンと伸び切ることがないので、力みなく立てバランスも保てています。 <広がる可能性> ☆☆☆★ 3.5 引き上げた足を抱えたまま重心を落とすので、お尻の一塁側への落としには甘さは残ります。それでも、カーブやフォークといった球種が投げられないほどでは無さそうです。 「着地」までの地面の捉えもそれなりで、体を捻り出す時間も悪くありません。そういった意味では、曲がりの大きな変化球を習得できても、不思議ではありません。 <ボールの支配> ☆☆☆☆ 4.0 グラブは最後まで内に抱えられており、外に逃げようとする遠心力を内に留めることができています。したがって軸はブレ難く、両サイドへのコントロールはつけやすいのかと。 また、足の甲での地面の捉えもできているように見え、浮き上がろうとする力も抑え込めているように見えます。実際、それほど高めに集まったり抜けたりしませんし、「球持ち」自体も平均的なレベルはありそうです。指先の感覚も大型ですが、悪いようには見えません。 <故障のリスク> ☆☆☆☆ 4.0 お尻の落としもそこまで悪くはありませんので、フォークを多投するといったほどではなければ、窮屈になる機会も少なそうです。また、腕の送り出しにも特に無理は感じられません。力投派といったこともないので、故障のへの不安は少ないのではないのでしょうか。 <実戦的な術> ☆☆☆ 3.0 「着地」までの粘りもそれなりですし、ボールの出どころも隠せています。また、長身を生かした角度もあるでしょうから、打者としては合わせやすいフォームでは無さそうです。 腕は、投げ終わったあと体に絡んでくるような粘っこさや腕の振りの鋭さにはまだ物足りなさは感じます。ボールには、適度に体重を乗せてからリリースできているようには見えます。ただし、投げ終わったあとに一塁側に重心が流れるように、作り出したエネルギーをダイレクトにボールに伝えきれておらずロスしてしまっている恐れはあります。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、特に大きな欠点はないものの、一塁側に流れるようにステップの幅が適正ではない可能性があります。それでも、故障のリスクも低そうですし、制球を司る動作にも優れている。また、将来的には、大きな曲がりの変化球の習得も期待できるかもといった意味では、土台の良さはぴか一です。 (最後に) まだまだ肉体的にも成長途上の選手なので、本格化するのが高校の間なのか? 上のステージに行ってからなのか? はまだわかりません。ただし、土台となるフォームはかなり良く、持っているセンスにも良いものがあるので、素直に資質を伸ばして来られる、そういった可能性は秘めているように思います。そういった意味では、非常に楽しみな選手なのではないのでしょうか。 (2022年秋 東京都大会) |