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武田 陸玖(山形中央3年)投手 174/77 左/左 | |
投手としても高校球界トップクラスの実力を持つサウスポーであり、打ってもU-18の日本代表チームで4番を任されるほどの 武田 陸玖 。個人的には野手としての才能を推すが、いずれにしても上位で消えてしまう逸材であることは間違いない。そこで今回は、野手としての最終寸評を行ってみる。 (守備・走塁面) 一塁までの到達タイムは、3.8秒前後~4.1秒 ぐらいと幅広い。ただし、本気で走った時のスピードや、ベースランニングを見ていると、相当速く見える。プロで足を売りにしてゆく走塁センスやう意欲があるかまではわからないが、持っている走力はプロでも上位クラスではないのだろうか。また性格的に結構攻撃的な選手なので、積極的に足で魅せてゆこうというプレースタイルに転じても不思議ではない。 この脚力を活かし、広い守備範囲を誇る。ただし、最終学年は投手兼一塁であり、外野守備を見る機会は限られていた。打球勘やキャッチングなどは無難な印象ではあるが、打者としてのとっさの反射の良さなどを見る限り、良い外野手に育って行ける資質は高そうだ。投手としても、左腕から140キロ台後半を記録するように、相当な強肩であることも間違いない。 (打撃内容) U-18のワールドカップで、4番打者として起用された。4試合で、二塁打一本を含む、打率.364厘 を記録。夏の山形大会でも、アウトになってもフェンスギリギリまで飛ばす外野フライが多いのは目をひいた。バットを大きく使えるのに、芯に近い位置でボールを捉えられることに驚く。昨年は、内角のさばきが素晴らしいのに驚かされた。しかし、最終学年では、流しても大きな打球が飛ぶのに驚かされたのである。 <構え> ☆☆☆☆ 4.0 前の足を引いて、グリップを下げて構えます。背筋を伸ばしつつ、両眼では適度に前を見据えることもできており、何より打席の中でリラックスできているところが良いところ。構え自体は、昨年からほとんど変わっていませんでした。 <仕掛け> 平均 投手の重心が下がりきったあたりで動き出す「平均的な仕掛け」を採用。この仕掛けは、ある程度の確実性と長打力を兼ね備えた中距離ヒッターや、勝負強さを売りにするポイントゲッターに多くみられる始動のタイミングです。始動のタイミングも、昨年と変わっていません。 <足の運び> ☆☆☆★ 3.5 足を軽く上げて、ベース側に踏み出してきます。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。インステップしてくるので、外角への意識が強いタイプです。 踏み込んだ前の足も、なんとか強い上半身の振りにも耐えられています。あまり逃げてゆく球や低めの球に食らいついてゆくイメージはありませんが、左方向にも強く大きな打球が飛ばせます。昨年は、地面をなぞるように回し込んで、真っ直ぐ踏み出してきていました。また足元も早く地面から離れる巻き込み型だったのですが、今は止まって流しての打球も増えました。そのへんは、この一年での成長の部分ではないのでしょうか。 <リストワーク> ☆☆☆☆ 4.0 打撃の準備である「トップ」の形を作るのは自然体で、力み無くボールを呼び込めているところは良いところ。バットの振り出しは、インサイドアウトに出てくる感じではありません。それでも、内角の球が来たと判断すると、一瞬の内に脇を閉じてスパンと回転できる反射の良さもあり、コースによってスイングを使い分けることができています。 スイングの孤も大きく、フォロースルーを使ってボールにも角度をつけられるので、流してもお大きな打球を飛ばせます。ヘッドスピードも速く、大きなスイングで振っても、高い確率で芯に近い位置で打球を捉えられる点は非凡です。 <軸> ☆☆☆★ 3.5 足の上げ下げは小さめなので、目線の上下動は激しくありません。体の開きも我慢できるようになってきていますし、軸足も体の割に強さが感じられます。気になるのは、少し前に軸足が傾いて討ち取られるときがあるので、体が前に出されてしまった突っ込んでしまうことに注意したいところです。 (打撃のまとめ) 昨年よりも、足元が止められることが増え、流しても良い打球が飛ぶケースが増えました。まだまだ感覚的にやれてしまっている部分も多いのでしょうが、それでもこれだけできてしまうことが非凡です。 (最後に) 大学時代の 矢澤 宏太(日体大-日ハム1位)外野手に近いパフォーマンスを、高校の時点で出来ています。矢沢選手と比べても、投手としてはまとまりがあり、打者としてもボールを捉えるセンスは上をゆくようにあります。彼ほど、打撃にしても投手としても爆発力は感じないですが、安定して高いパフォーマンスを示せるだけの技術があるように感じます。 評価的には、2位前後が基本線になってくるのではとみています。しかし、入れ込む球団が外れ1位あたりに位置づけても不思議ではないのではないのでしょうか。それだけの、才能の持ち主だと判断します。 蔵の評価:☆☆☆ (上位指名級) (2023年 U-18ワールドカップ) |
武田 陸玖(山形中央2年)投手 174/70 左/左 | |
左腕としても、全国でも指折りの存在である 武田 陸玖 。しかし、野手としての才能も、甲乙付けがたい才能の持ち主なのだ。 (守備・走塁面) チームでは2番・投手として出場する選手で、適度に試合でも盗塁を仕掛けてきます。ただし、一塁までの到達タイムが計測できなかったので、その能力がどのぐらいまでかは把握できず。 また、守備に関してもよくわかりません。それでも投手としての抜群のフィールディングの上手さからも、野球センスの高さが伺われます。投手として140キロ台を記録するように、肩が強いのも間違いないでしょう。あとは、打球勘や守備範囲など、外野手としてどの程度なのかは、野手として出場した試合を見てみないとなんとも言えません。 現状、守備・走力 などの能力はわかりませんでした。ただし、スピード感のある選手ですし、投手としての身のこなしからも、一定の身体能力とセンスがあるのだろうなというのは、想像に難くないところです。ぜひ最終学年では、その能力を把握したいところです。 (打撃内容) 1年春から公式戦に登場して以来、通算で5割近いアベレージを残してきました。特に、内角の球を上手くさばく技術には目を見張るものがあります。 <構え> ☆☆☆☆ 4.0 前の足を引いて、グリップを下げ気味に構えます。背筋を伸ばしつつ、両眼でしっかり前を見据えられており、全体のバランスとしてもまずまず。打席では、リラックスしてボールを呼び込めるところが良いところ。 <仕掛け> 平均 投手の重心が沈みきったあたりで動きだす、「平均的な仕掛け」を採用。この仕掛けは、ある程度の確実性と長打力を兼ね備えた、中距離打者やポイントゲッターに多くみられる始動のタイミングです。 <足の運び> ☆☆☆ 3.0 足をあげて地面をのぞるように回し込み、真っ直ぐ踏み出してきます。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でもさばきたいという意志が感じられます。 強い上半身の振りに対し、踏み込んだ足元が少しインパクトの際に動いてしまったり、早く地面から離れがちです。そのため、逃げてゆく球や低めの球に強いかには疑問が残ります。打撃を見ていると、引っ張って巻き込む打球が目立ちます。 <リストワーク> ☆☆☆★ 3.5 打撃の準備である「トップ」を作るのは自然体で良いのですが、バットを引くのが遅れて「トップ」を作るまでに時間がかかりがち。そのため、一定以上の球速のある投手に対し、立ち遅れないように注意したいところではあります。 内角の球に対しては、脇をしっかり閉じて開かずにさばける点は非凡。それでいて大きな孤を描き、思いっきり振り抜いてきます。ヘッドと立てて広い面でというよりも、ボールの下にバットを潜り込ませて引っ張ったくので、ゴロでというよりもライナーで打球が飛んでゆくイメージです。 <軸> ☆☆☆ 3.0 それほど足を引き上げず地面をなぞるように回し込んでくるので、目線の上下動は少なめ。足元がまだ盤石ではないので、インパクトの際に動いてロスしてしまっています。軸足は地面から真っ直ぐ伸びていますし、体は大きくないのですが、軸足の内モモの筋肉も強そうに見えました。 (打撃のまとめ) 大きなスイングで、思いっきり引っ叩く感じのスイングです。そのため、対応力が高いというよりも打てる球を逃さず打つタイプで、打球にもある程度角度を付けて飛ばしてきます。したがって、対応力の高い好打者なのではなく、体は大きくはないものの破壊力のある強打者なのだと考えられます。それでも、これだけの対応力を魅せているということは、潜在的な打撃能力は相当高いと言えるでしょう。 (最後に) 選抜でもドラフト候補として注目されそうな、ハッブス 大起(東北)投手からも、4打数で2安打と苦にしていませんでした。そういった意味では、一定球速やレベルの投手にも充分に対応しうる能力をすでに持っています。走力・守備力の能力にもよりますが、打撃では相当の才能の持ち主であり、藤嶺藤沢時代の 矢澤 宏太(日体大-日ハム1位)選手にも、勝るにも劣らない才能の持ち主ではないのでしょうか。身体能力的には矢澤選手の方が上だと思いますが、確実性や野球センスでは、この 武田 選手の方が勝っているように感じられます。いずれにしても、投打の両方の才能について追いかけてみたい好素材でした。 (2022年秋 東北大会) |
武田 陸玖(山形中央2年)投手 174/70 左/左 | |
凄みのある球を投げるわけではないが、テンポよくポンポン相手を追い込んでゆく 武田 陸玖 。 投手としては、全く駄目といった失敗のイメージをいだき難い好投手だ。 (投球内容) 秋はチームを東北大会に導くも、東北高校に敗れて選抜出場の夢を絶たれます。しかし、この試合でも、序盤は素晴らしい内容でした。 ストレート 130キロ台後半~140キロ台前半 ☆☆☆ 3.0 驚くような球威や球速があるわけではないのですが、キレのある真っ直ぐをポンポンとストライクゾーンに投げ込んできます。それほど細かい制球力があるわけではないのですが、ストライクゾーンに安定して集められるので優位な状況を作るのが上手い感じがします。 変化球 カーブ・スライダー・チェンジアップ ☆☆☆ 3.0 100キロぐらいの緩いカーブと、110キロぐらいのスライダーでストライクをしっかり稼げます。まだ、右打者外角に逃げるチェンジアップ系のキレはもう一つで、それほど投球でも多くは使って来ません。この球をもう少し使えるようにできると、投球の幅も広がりそう。現状は、真っ直ぐ以外に空振りを誘える球はないのかなといった印象は持ちます。 その他 牽制は、左腕らしく非常に上手いです。クィックは使わないことも多いのですが、使うときは1.0秒前後~1.1秒ぐらいと素早く投げ込めます。フィールディングの判断や動きもよく、運動能力の高さを感じさせます。投球のメリハリを付けるのも上手く、投球センスの高さも感じられます。 (投球のまとめ) 現状、スケールや凄みで魅了する素材ではないのですが、試合をまとめるセンスに優れ、使い勝手の良さそうなサウスポーといった感じはします。今後、投手として何処まで伸び代があるのかは微妙ですが、現時点では全国でも指折りのサウスポーであるのは間違い無さそうです。 (投球フォーム) ノーワインドアップから、足を引き上げる勢いや高さは並ぐらい、軸足一本で立ったときも、さほど膝には余裕はないものの、適度にバランスは保って立てている。 <広がる可能性> ☆☆☆★ 3.5 お尻の三塁側への落としは(左腕の場合)、甘さは残すもののある程度落とせています。そのため、カーブやフォークといった、捻り出して投げる球種を投げられないことはありません。 「着地」までの地面の捉えは平均的で、体を捻り出す時間は並ぐらい。したがって、曲がりの大きな変化球をものにできるかは微妙です。多彩な球種とのコンビネーションで、相手の的を絞らせないタイプの投手になるかもしれません。 <ボールの支配> ☆☆☆★ 3.5 グラブは最後まで体の近くに抱えられ、外に逃げようとする遠心力を抑え込むことはできている。ゆえに軸はブレ難く、両サイドへのなげわけもつきやすいのではないのだろうか。足の甲での地面の押し付けもできており、浮き上がろうとする力も抑え込めている。したがってボールも、あまり上吊ることなくコントロールできている。「球持ち」は並ぐらいに感じるが、指先の感覚もさほど悪そうに見えなかった。 <故障のリスク> ☆☆☆☆ 4.0 お尻はある程度落とせるフォームなので、カーブやフォークを投げても、さほど窮屈になることは無さそう。また、腕の送り出しを見ていても、肩への負担も感じ難い。けして力投派でもないので、疲労も溜め難いのではないのだろうか。 <実戦的な術> ☆☆☆★ 3.5 「着地」までの粘りは平凡で、それほど打者としては合わせ難いフォームではありません。それでもボールの出どころはある程度隠せているので、ピュッと見えないところから出てくる感覚に陥る可能性はあります。 腕も適度に投げ終わったあと体に絡んでくるなど、打者が吊られやすさはあります。実際の投球でも、真っ直ぐでの三振が多いのも事実。まだボールにさほど体重が乗り切っていないでの、打者の手元までグッと乗って来る感じがありません。そういった「体重移動」が改善されてくると、投球内容は全然変わってきそうです。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、もう少し「着地」までの粘りと、前に乗ってゆく「体重移動」に改善を求めたいところはあります。制球を司る動作は良く、故障のリスクも低いフォーム。あとは、いかに武器になる変化球を見出だせるようになれるかではないのでしょうか。 (最後に) 凄みのある素材ではないのですが、実戦的な左腕として大成できる可能性はあります。ベースとなるフォームや制球力が悪くないので、使い勝手の良い投手になれる可能性があります。ただし、今後何処まで伸びて行けるだろうという部分では、やや心配なところはあります。それでもまずは、春までの成長を今は見守りたいところです。 (2022年 秋季東北大会) |