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野上 龍哉(大分舞鶴2年)投手 188/75 右/右 





  「やっぱり良い投手」





 昨春のセンバツ大会でみて、良い投手だなと記憶に残っていた 野上 龍哉 。 しかし、以後その評判を耳にすることはなかった。その後は、秋の九州大会で、中継ぎとして登板しているが、目立った活躍はない。改めて、昨年のセンバツの模様を見直して、寸評を作成することにした。


(投球内容)

 センバツの開幕戦となった浦和学院戦で、リリーフとして登場。1イニングを、1安打打たれたものの、無失点に抑えて魅せた。

ストレート 135~140キロ台前半 
☆☆☆ 3.0

 センバツでの登板では、最速で137キロ程度。それでも低めに、質の良い真っ直ぐを決めていた。まだボールにばらつきはあるものの、球速は142キロまで伸びているという。一冬超えた成長次第では、さらなる上積みも期待できそうだ。

変化球 スライダー 
☆☆☆ 3.0

 カーブのような、曲がりながら沈む110キロ台の変化球を織り交ぜてくる。この球は恐らくスライダーだと考えられるが、この球のブレーキは中々鋭い。他の変化球は確認できなかったものの、この球でカウントを整えることができていた。秋の模様も少しみたが、球種が特に増えている感じはしなかった。

その他

 クィックは、1.2秒前後とやや遅いぐらい。特にボールをじっくり持ってとか、微妙な出し入れをするとか、そういった巧みな投球術は確認できなかった。フィールディング・牽制含めて、わからないことは多いが、ランナーを出しても落ち着いて投げ込めていた。

(投球のまとめ)

 僅か1イニングでの登板のみだったので、あまり細かいことはよくわからなかった。ただし、改めてセンバツの模様を見直して、良い投手だなと実感した。秋の模様も少し見たが、その時とあまり印象は変わらなかった。こちらが思い描いた感じでは伸びてきていないが、一冬越えれば大きく化けても不思議ではない。





(投球フォーム)

 今度は、フォームの観点から考えてみたい。ランナーがいなくても、セットポジションから投げ込んでくる。足を引き上げる勢いや高さは平均的で、軸足一本で立ったときにも適度にバランス良く立てている。

<広がる可能性> 
☆☆★ 2.5

 お尻の一塁側への落としには甘さは残すものの、カーブやフォークといった捻り出して投げるボールを投げられないほどでは無さそうだ。むしろ問題なのは、「着地」までの粘りに欠け、あっさり地面を捉えてしまうこと。これにより、体を捻り出す時間が確保できず、曲がりの大きな変化球を習得し難い。そのため、球速のある小さな変化を中心に、投球の幅を広げてゆくことになるのではないのだろうか。

<ボールの支配> 
☆☆☆ 3.0

 グラブは最後まで内に抱えられており、外に逃げようとする遠心力を内にとどめている。したがって軸はブレ難く、両コーナーへのコントロールはつけやすいのではないのだろうか。ただし、足の甲での地面の捉えが浅いので、力を入れて投げるとボールが上吊りやすい。「球持ち」も平均的で、指先の感覚は並ぐらいだろうか?

<故障のリスク> 
☆☆☆★ 3.5

 お尻の落としには甘さは残すが、極端でもないし、カーブやフォークといった球種もあまり観られない。あの縦の割れの変化球が、カーブであれば多少気にはなるものの、それでも悲観するほどでは無さそうだ。

 ボールの送り出しを観ていても、肩への負担も少なそう。けして力投派というよりは、むしろまだ体を生かして投げきれていない感じのフォームなので、疲労は溜めやすいということは無さそうだ。

<実戦的な術> 
☆☆★ 2.5

 「着地」までの粘りが淡白で、打者に合わされやすいフォームではある。また、ボールの出どころも平均的で、打者としては苦になり難いフォームなのかも。

 腕は適度に振れているものの、ボールが見やすいと吊られ難い。ボールもまだ充分体重を乗せて投げられていないので、打者の手元までの球威という点では発展途上といった感じがする。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「着地」や「体重移動」に課題を抱えている。今のフォームだと。イチ・ニ・サンのタイミングで合わされやすく、ニ~の タメがないからだ。股関節の柔軟性を養いつつ、下半身の強化を図る必要がありそうだ。

 故障のリスクはあまり高くはないように見えるが、制球を司る動作は並で、将来的に武器になるほどの変化球を習得できるかにも疑問は残る。それでも良いスライダーを投げるセンスはあるので、そういった器用さはあるのかもしれないが。素材が良くても、伸び悩む要素は確かに高いのかもしれない。


(最後に)

 センバツの投球からも、秋は大変九州でも話題になる投手になるのかと期待していた。しかし、リリーフで少し投げているだけということで、こちらの期待する活躍は魅せていない。しかし、本人の意識次第では、一冬越えての大化けを期待しても不思議ではない好素材。春季大会でも、その動向を気にしてみたい有望株だった。


(2022年春 選抜大会)