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天井 一輝(24歳・NTT西日本) 左翼 178/83 右/左 (広島商-亜細亜大出身) | |
大学4年時に「大学No.1外野手」として高く評価して、☆☆☆(上位指名級)の評判をした 天井 一輝 。社会人2年目を迎えた今春のスポニチ大会でも、その健在ぶりをアピールしていた。 守備・走塁面 彼はゴロでアウトになることがほとんどないため、一塁到達タイムを計測する機会がなかなか得られなかった。しかし、2月に行われた「おいどんカップ」でセカンドゴロを打った際に計測したタイムは、左打席から約4.25秒と、やや物足りない数字だった。大学時代には約3.95秒で走っており、リーグ戦でも積極的な走塁が目立つ選手だっただけに、この結果は意外である。現在もチームの1番打者を任されている選手であることを考えると、さらに速いタイムが出てもおかしくはないだろう。実際、昨年の公式戦10試合で3盗塁を記録している。 NTT西日本では、主に左翼を守ることが多い。亜細亜大学時代には、常に次のプレーを想定した捕球を心がけ、地肩の強さを活かした送球でも目をみはるものがあった。そうした高い意識と集中力を持ってプレーしていた選手だっただけに、現在なぜ左翼を守っているのかは気になるところだ。 打撃内容 スポニチ大会では、16打数6安打(打率.375)を記録し、4試合すべてで安打をマーク。また、2月に行われた「おいどんカップ」では、レフトスタンドにホームランを放っていた。 <構え> ☆☆☆☆ 4.0 前の足をしっかり引いた左オープンスタンスで、グリップを高めに添え、バットを倒して構えている。腰を深く沈め、両目で前を見据える姿勢と全体のバランスはまずまず良好。打席での高い集中力も感じられる。 <仕掛け> 平均~遅すぎ 追い込まれるまでは、投手の重心が沈みきった底のタイミングで動き出す「平均的な仕掛け」を採用。このタイミングは、確実性と長打力を兼ね備えた中距離ヒッターや、勝負強さを売りにするポイントゲッターに多く見られる始動パターンだ。ただし、追い込まれると、一度ベース側に小さく爪先立ちし、リリース直前に再度ステップする「遅すぎる仕掛け」に切り替わる。 <足の運び> ☆☆☆★ 3.5 軽く足を浮かせ、地面をなぞるように回し込んでベースから離れる方向に踏み出すアウトステップを採用。始動から着地までの「間」はまずまずで、速球や変化球のスピード変化にもそれなりに適応できている。アウトステップから内角への意識が強いように見受けられる。 踏み込んだ前足がインパクト時にブレずに止まっているため、アウトステップながら甘めの外角球や低めの球にもある程度対応可能と考えられる。大学時代はステップが狭く引っ張り意識が強いタイプと思っていたが、社会人になってレフト方向への打球でスタンドインさせたのには驚かされた。 <リストワーク> ☆☆☆☆ 4.0 打撃準備の「トップ」を自然体で作り、力まずにボールを呼び込めている点は好印象。バットの振り出しも内側からスムーズに出てきており、外角球にもロスなくインパクトできている。 ヘッドをうまく残してレフト方向に流す技術も優れており、大きなスイングの弧とフォロースルーを活かして、流し打ちでもスタンドインを実現。大学時代は破壊力重視のスイングが特徴だったが、今は確実性も兼ね備えてきた印象だ。 <軸> ☆☆☆☆ 4.0 足の上げ下げが静かで、目線の上下動も少ない。体の開きを我慢でき、軸足にも粘りと強さが感じられる。 打撃のまとめ 大学時代から甘い球を見逃さない高い集中力が際立っていた。以前は確実性よりも破壊力が目立つ選手だったが、社会人2年目を迎え、確実性がかなり向上した印象。特に、外角球をレフト方向に捉える技術には成長の跡が見られる。 最後に 左打ちの外野手であるため、プロでは埋もれてしまうリスクがあり、高く評価されない可能性もある。そのため、守備や走塁でもアピールが必要だと感じる。能力的にはプロでも十分通用する選手だと見ているが、本人のプロ志向と指名順位の兼ね合いでどのような選択をするのか注目だ。年間を通してアピールできるか、大学時代と同様に追いかけたい選手である。 蔵の評価:追跡級! (2025年 東京スポニチ大会) |
天井 一輝(亜細亜大4年)外野 177/79 右/左 (広島商出身) | |
今年の大学生で、NO.1外野手は? と訊かれたら、私は迷いなく、この 天井 一輝 だと応えるだろう。ただ、この選手、どうも社会人志望だと聴いて、残念に思ったものだ。意識も高い選手だけに、プロ志望届 を提出しないかなと密かに期待している。 走塁面:☆☆☆★ 3.5 一塁までの到達タイムは、左打席から 3.95秒前後 とまずまず。この春のシーズンでは3盗塁に留まったが、3年春のシーズンでは7盗塁を記録している。プロで足を売りにするほど圧倒的な脚力かは微妙ではあるものの、俊足 であるのは間違い無い。 守備面:☆☆☆☆ 4.0 常に、次のプレーを想定した形で捕球できている点は素晴らしいです。外野からの返球も、正確かつ強いものがあります。下級生の頃から、地肩の強さには目を見張るものがありました。身体能力を頼らず、高い意識と集中力でプレーができていることが伺えます。 (打撃内容) 1年秋からリーグ戦でレギュラーとして出続けているのですが、3割5分を超えるようなハイアベレージを残したシーズンはありません。それでも、局面での勝負強さと、目が覚めるような鋭い当たりは際立ちます。ちなみに、この春のシーズンでは、0本 5点 打率.280厘 だったのですが、日米野球ではチーム最高の打率.316厘の好成績を残しました。 <構え> ☆☆☆☆ 4.0 前の足を引いて、グリップは高めに添えます。腰の据わり具合、両目での前の見据え方、全体のバランスとしてもとれており、打席でも高い集中力が感じられます。 <仕掛け> 遅すぎ~早め 投手の重心が沈む時にベース側につま先立ちし、リリース直前に本格的に動き出す「遅すぎる仕掛け」を採用しています。これだけ遅いタイミングでの始動は、プロレベルの投手のスピードやキレに対応するのには苦労しそうで、その点は気になる材料ではあります。ただし、追い込まれると「早めの仕掛け」に切り替えて対応できるので、幾つかのタイミングを使い分ける技術があるようです。 <足の運び> ☆☆☆ 3.0 小さくステップして、真っ直ぐ踏み出してきます。始動~着地までの「間」がないので、狙い球を絞ってその球を逃さないことが求められます。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でもさばきたいタイプか。ただし、追い込まれると始動を早めることもできているので、その点はあまり気にしなくても良いのかもと。 踏み込んだ前の足は、インパクトの際にはなんとか動かずに我慢。そのため、低めの球や逃げて行く球にも食らいつくことができます。ただし、少々ステップが狭めなので、引っ張って巻き込む打撃の方を好むのかもしれません。 <リストワーク> ☆☆☆★ 3.5 早めに「トップ」を作っているように見えるのですが、そこからさらにバットを引くので速い球に立ち遅れないか心配です。しかしこれも、日米野球などの国際試合で成績を残したように、スイングを使い分けることで対応しているのかもしれません。 スイング軌道は、けしてインサイドアウトではありません。むしろ大きな孤を描きながら、しっかり振り抜いてくるタイプ。そのため、確実性よりも破壊力重視なのが伺えます。リーグ戦での打率が、そこまで突出していないのも、そのへんが影響しているかもしれません。 <軸> ☆☆☆★ 3.5 足の上げ下げは小さいので、目線の上下動は少なめ。体の開きも我慢できていますし、軸足も太さはないのですが強さを感じます。鋭い打球を連発するのも、そのせいなのかもしれません。 (打撃のまとめ) 甘い球を仕留めるという意味では、非常に興味深い打者です。ただし、始動のタイミングの遅さや、スイング軌道を観ていると、ハイアベレージを残すというよりは、効果的なヒットを放つタイプの打者だと感じました。この辺は、上のレベルではさらに精度を高めて行って欲しいところです。 (最後に) 社会人希望だと聴いていますが、意識の高い選手で今後何処まで研ぎ澄まされて来るのか気になります。まだまだ修正できる部分も少なくないので、2年後には文句なしの形でプロ入りを実現して欲しいところです。すでに現時点でも、充分にプロでやって行ける選手だと評価します。ただし、プロ志望届を提出した場合には、4位前後ぐらいの評価に留まるかもしれません。その順位以上に、モノになる可能性は高いとみています。 蔵の評価:☆☆☆ (上位指名級) (2023年 高校ジャパンVS大学ジャパン) |