23dy-12





中島 大輔(青山学院大4年)外野 180/78 右/左 (龍谷大平安出身) 
 




 「良くはなってきている」





 春のリーグ戦で、日本一 。さらに、大学日本代表の主将として、敵地で日米野球勝ち越しに貢献した 中島 大輔 。春の時点では、プロ入りはボーダーラインぐらいかなと思ってみていた。しかし、秋は、この経験を活かし、より良くなってきていた。


走塁面:
☆☆☆★ 3.5

 一塁までの到達タイムは、左打席から 4.0秒前後。このタイムは、ドラフト指名される左打者としては 中の上 ぐらいに相当する。圧倒的に速いわけではないが、セーフティバントを織り交ぜたり、投手を揺さぶることもできている。また、秋のリーグ戦では、自己最多の8盗塁を記録した。よりプロの世界で、自分を活かすということを意識すれば、やはり走塁強化は必須になってくるのではないのだろうか。今後の意識次第では、プロでも足を売りにして行けるかもしれない。

守備面:☆☆☆☆ 4.0

 打球への反応、落下点までの入り方、次の状況を意識したプレーなど、
中堅手としては高いレベルにあります。そういった意味では、走攻守で一番即戦力になりうるとすれば、この守備ではないのでしょうか。地肩自体は平均的で、それほど際立つものはありません。ただし、中堅手を守り続けるのであれば、そこまで地肩が求められるポジションではありませんので。







(打撃内容)

 春までは打席で粘ることができましたが、その後ヒットや出塁に結びつけるまでは至っていませんでした。しかし、最終学年では3割前後は打てるようになり、スイングからも少し
ひ弱さが薄れてきた気がします。また、時々スコ~ンとビックリするような飛距離の本塁打を飛ばすことがあります。今回参考にしたのは、神宮大会決勝戦でのフォームを分析しました。

<構え> 
☆☆☆★ 3.5

 前の足を軽く引いて、カカトを浮かして構えます。グリップの高さは平均的で、腰の据わり、両眼で前を見据える姿勢や全体のバランスはそれなりといった感じでしょうか。

<仕掛け> 平均的

 投手の重心が下がりきった底のあたりで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。この仕掛けは、ある程度の確実性と長打力を兼ね備えた、中距離打者や勝負強さを売りにするポイントゲッターに多くみられる始動のタイミングです。ただし、春は「早めの仕掛け」だったので、たまたま少し始動のタイミングが遅れていたのかもしれませんが。

<足の運び> 
☆☆☆★ 3.5

 足を引き上げて、ベース側にインステップして踏み込んできます。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。ベース側に踏み込むように、外角への意識が強そうです。また、春は真っ直ぐ踏み出していたので、踏み出す方向にも変化が見られました。

 踏み込んだ足は、つま先を閉じてという感じではないものの、カカトを地面にめり込ませて我慢できています。したがって、逃げて行く球や低めの球にも、それなりにはついて行けそうです。

<リストワーク> 
☆☆☆☆ 4.0

 打撃の準備である「トップ」を作るのは自然体で、力み無くボールを呼び込めているところは良いところ。バットの振り出しも、けしてインサイドアウトではないものの、外の球を捉えるのにロスは感じません。バットの先端であるヘッドも下がらないですし、大きな孤を描いて最後まで振り抜いてきます。

 
春よりもスイングの孤を大きく取れるようになり、引き手の強さが目立って引っ張り中心のスイングから、レフト方向にも強くしっかりした打球が飛ばせるようになってきました。

<軸> 
☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げはそれなりなので、目線の上下動も平均的。体の開きもなんとか我慢できていますし、軸足の形も大きくは崩れていません。しいて言えば、もう少し軸足の内モモの筋肉が強くなると、打球や飛距離も変わってくるように思います。

(打撃のまとめ)

 
春に比べると、かなり打撃に変化が見られました。具体的に言えば、ひ弱かった外角への対応が力強くなり、巧打者タイプだったのが強打者タイプのスイングに変わってきたように感じます。恐らく意識的に、そのへんは取り組んできている最中であり、プロ入り後はよいその傾向が強くなって行くのかもしれません。時々、ビックリするような打球も飛ばす選手でもあるので。


(最後に)

 走塁への意識も高まり、打撃でもひ弱さが薄れてきました。日米野球にも参加していただけに、短期間の間に、だいぶ変えてこられたなという驚きもあります。全てに良い方向に変化しており、この取り組みを続けて行ければ、ある程度一年目から一軍に絡めるようになるかもしれません。

 現時点では、垢抜けて何がという資質の部分では目立ちません。しかし、
意識の高さ・着眼点の良さ・総合力の高さで、道を切り開いて行ける選手なのではないのでしょうか。その辺を評価して、(支配下級)の最終評価としたいと思います。


蔵の評価:
 (下位指名級)


(2023年 神宮大会)









中島 大輔(青山学院大4年)外野 180/78 右/左 (龍谷大平安出身) 





 「なかなかシブトイ」





 これまでドラフト候補として意識したことがなかった 中島 大輔 だったが、平塚合宿で観ていると、そのしぶとさに目を奪われた。そういったアピールも大きかったのか? 大学日本代表メンバーにも選出された。


走塁面:☆☆☆★ 3.5

 一塁到達タイムは、左打席から4.0秒前後。このタイムは、プロに入る左打者の中でも、中の上 クラスの脚力だと言える。今春のリーグ戦では、5盗塁を記録。圧倒的な脚力ではないが、積極的な走塁が目をひきました。

守備面:☆☆☆★ 3.5

 俊足を生かした守備範囲もまずまずですし、打球への反応、落下点までの入りなどにも無駄や迷いは感じられません。そういった守備力自体は悪くないと思いますが、地肩の強さは平均で物足りません。この点が、長打でアピールする選手ではないだけに、プロ入りへのネックになりかねません。





(打撃内容)

 打席では、
何かしらの爪痕を残そうという意志の強さを感じます。この春のリーグ戦では、チームの核弾頭として打率.333厘(4位) の好成績を残しました。一見巧打者のイメージを受けるのですが、大学選手権では一発を放っていたように、適度なパンチ力もありそうです。

<構え> ☆☆☆☆ 4.0

 前の足を引き、グリップは下げて添えられています。背筋を伸ばしつつ、両眼で前を見据える姿勢や全体のバランスとしてはそれなり。打席では、
リラックスして構えられているところは良いところです。

<仕掛け> 早め

 投手の重心が下る時に動き出す、「早めの仕掛け」を採用。この仕掛けは、対応力を重視したアベレージヒッターに多くみられる始動のタイミングです。

<足の運び> ☆☆☆☆ 4.0

 足を引き上げて回し込み、真っ直ぐ踏み出してきます。始動~着地までの「間」は取れており、速球でも変化球でもスピードの変化には幅広く対応。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でも対応したい万能型。踏み出した前の足は、しっかり止まってブレません。そのため、逃げて行く球や低めの球にも食らいつくことができます。

<リストワーク> ☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備である「トップ」を作るのは自然体で、力みなくボールを呼び込めているところは良いところ。バットの振り出しは、けしてインサイドアウトではないものの、遠回りというほどではありません。バットのヘッドも立っているので、フェアゾーンにボールが飛びやすいのではないのでしょうか。

 スイングの孤はさほど大きくはないのですが、右投げ左打ちの打者に見られる
引き手が強すぎるスイングにはなっています。そのため、スイングはセンターからライト方向に巻き込む打球が多そうに見えます。その弊害として、打てるゾーンは限られている可能性があります。

<軸> ☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げはそれなりにあり、目線の上下動は並ぐらい。それでも体の開きは我慢できているし、軸足も大きくは崩れることはありません。ボールに食らいつくように、軸足には粘りが感じられます。

(打撃のまとめ)

 技術的には大きな欠点は感じられませんが、引き手の強いスイングで引っ張り中心の打球なのかなといった部分は気になります。したがって、もう少し
レフト方向への打球や外角の厳しい球への対応なども確認してみたいところです。


(最後に)

 プロの外野手としては、地肩がさほど強くない点。対応力が売りの打者の割に、打球方向は偏っていないのか? という不安はあります。そのため秋に、もう少し見てから判断して行きたいところです。

 ボールに食らいつくプレースタイルには好感が持てますが、やはり大学からプロというよりも、社会人に進むタイプなのかもしれません。その辺も含めて、プロ向きなのかどうか最後まで見極めて行きたいところです。


蔵の評価:追跡級!


(2023年 平塚合宿)