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草加 勝(中日)投手のルーキー回顧へ







草加 勝(亜細亜大4年)投手 182/72 右/右 (創志学園出身) 





 「投げミスが少ない」





 圧倒的なボールがあるわけではないが、気がつくと試合を作って来られる 草加 勝 。彼の安定感は、一体何処から来るのだろうか?

ストレート 140キロ~150キロ強 ☆☆☆★ 3.5

 リーグ戦では、150キロを超える球速表示の時もあります。しかし、その球速の割にはボールに迫力がなく、それほど
甘くない球でも打ち返されてしまうことも少なくありません。彼の良さは、それでも投げミスの少ない投球を続けることで、連打を浴び難いところにあるのではないのでしょうか。現状は、球威の点では物足りないものの、適度な勢いとコマンド力を持っている。それが、彼の真っ直ぐであるように思います。ちなみに、平塚合宿でのマイガンで最速は、89マイル・143キロと、リーグ戦での反動もあったのか? 内容的にはイマイチでした。最終学年になって、明らかに真っ直ぐが変わってきたといった感じはしませんでした。

変化球 スライダー・カーブ・ツーシームなど ☆☆☆ 3.0

 スライダーに、緩いカーブ・それに沈みの小さなツーシームを使ってくる引っ掛けさせてくる。昨秋はあまり観られなかったスライダーでカウントを整える機会が増えてきたが、打者と仕留めるといった
絶対的な変化球は無いように思える。

(投球のまとめ)

 最優秀防御率に輝いた昨秋に比べると、完璧さというものには若干陰りの見えたシーズンでした。確かに150キロを超える球も投げる時もあるのですが、そういった球に
凄みが感じられないところは相変わらず。もう少し球威なり、体ができてくると、総合力の高い即戦力候補として評価できそうなのだが。しかし現状は、プロに入っても本格化するのは数年後なのかなというイメージを抱いてしまう。





(成績から考える)

 最優秀防御率に輝いた昨秋に比べると見劣ったものの、この春は 
6勝3敗 71回 35安 14四死 49三 防 1.52(6位) といった内容で、絶対的ではなかったものの悪いシーズンではありませんでした。

1,被安打は投球回数の80%以下 ◎

 被安打率は、49.3% と極めて低く、大学球界屈指のレベルにある東都リーグでの成績だけに価値がある。時々ヒットを打たれても、それが単発で終わるところが、この選手の良さではないのだろうか。

2,四死球は、投球回数の1/3(33.3%)以下 ◎

 四死球率も、19.7% と極めて低い。これだけ被安打や四死球率が低くれば、防御率が良いのも納得ではある。

3,三振は1イニングあたり0.8個以上 ✕

 1イニングあたりの奪三振は、0.69個 と平凡。彼の投球が物足りなく感じられるのは、この
奪三振の少なさにあるのかもしれない。

4,防御率は1点台以内 ◯

 防御率 1.52 は、基準を満たすものの平凡。ただし、昨秋のリーグ戦では、0.29(1位)と、圧倒的な成績も残しているので、充分に評価できるものとなっている。

(成績からわかること)

 三振が少ないという物足りさが残るものの、あとは高いレベルで基準を満たしている。そういった
安定感は、この選手の最大の魅力だろう。あとは、真っ直ぐと変化球の威力を増して、狙って三振が取れる技術を磨きたい。ちなみに左右別の被打率は、右打者に対しては .104厘 と強く、左打者にも.161厘 とやや高いものの、全体的には.144厘 と、極めて高い数字を残せている。


(最後に)

 即戦力としてはまだ心許ないが、
投球の基礎がしっかりした投手なので、素直に肉付けできれば将来非常に楽しみ。そういった意味では、2、3年目ぐらいには、一軍のローテーション投手に定着していても不思議ではないのではないのだろうか。もし秋までに、そのへんが目に見えて変わってくれば、上位指名も見えて来るだろう。現状は、3・4位ゾーンぐらいかなとみているが、その評価以上に将来モノになる可能性は高いのではないかとみている。そのため、想定される順位よりも高く評価しておきたい。


蔵の評価:
☆☆☆(上位指名級)


(2023年 平塚合宿)


 








草加 勝(亜細亜大3年)投手 182/75 右/右 (創志学園出身) 





 「ブレイクするかも」






 昨秋のリーグ戦では、リリーフでの起用ながら、東都リーグの最優秀防御率 に輝いた 草加 勝。 大学に入ってからの実績らしい実績はこのシーズンだけに、まだまだドラフト候補としてのネームバリューとしては乏しい。しかし、最終学年でのアピール次第では、一気に上位指名候補に浮上してきそうな実力者なのだ。


(投球内容)

 スラッとした投手体型から投げ下ろしてくる本格派で、3年秋のシーズンでは、7試合 2勝0敗 32回1/3 19安 7四死 28三 防 0.29(1位) という好成績を残した。

ストレート 常時145キロ前後~150キロ ☆☆☆★ 3.5

 適度に両サイドに散らせるコントロールがあり、ボールの勢いもそれなりといった感じがする。32回1/3イニングで、四死球は7個。緊迫する場面でも、投げミスをしないように慎重に投げている印象で、それでも四死球率が 21.7%(33.3%以内が基準)と安定していたのは見事。

 もう少しボールに迫力とか投球に大胆さも欲しいかなと思う部分はあるものの、それでも被安打は19本で、被安打率は58.8%(基準は80以下)と、十分な数字を残している。ボールの威力・制球力・投げミスの少なさなども、評価できる内容ではないのだろうか。

変化球 カーブ・ツーシーム ☆☆☆ 3.0

 緩いカーブで、カウントを整えることが多い。別の言い方をすれば、他の球の使用は少ない。32回1/3イニングで、奪三振は28個。1イニングあたりの奪三振は、0.86個 と高めではあるものの、リリーフ投手で決め手があるといえるのは、0.9個以上なので、縦に沈むツーシームの精度・落差を、最終学年でいかに磨けるかに懸かっている

(投球のまとめ)

 ピンチでも冷静に、投げミスをしないように投球できていた。ただし、大学からプロに入るためには、さらに大胆に相手を抑え込むような迫力も出てきて欲しい思いがある。さらに、縦のツーシームで、いかに空振りが取れるようになるかが鍵を握っていそうだ。


(投球フォーム)

 今度は、フォームの観点から、いろいろ考えてみよう。セットポジションから、足を引き上げる勢いはあるものの、それほど高い位置まで引き上げて来ない。軸足一本で立った時には、膝には余裕を持って立てていて力みは感じられず、バランスも適度に保てている。

<広がる可能性> ☆☆☆ 3.0

 引き上げた足をピンと伸ばすことなく重心を降ろしてくるので、お尻はバッテリーライン上に残りがち。そういった意味では、カーブで緩急を効かせたり、フォークのような縦の変化を投げるのはどうなのかな? という疑問は残る。それでも、結構ブレーキの利いたカーブを使ってくる。

 また、「着地」までに地面の捉えはそれなりに逃がせている。したがって体を捻り出す時間は確保でき、カーブやフォークといった球種以外ならば、曲がりの大きな変化球の習得も期待できそうだ。ただし、主に使っているのは、カーブやフォークに近いツーシームだというのは気になるる材料だろうか。

<ボールの支配> ☆☆☆★ 3.5

 グラブは抱えられているのだが、最後後ろで解けてしまって軸をブレやすい。そのため、両サイドのコントロールも大体といった感じで、きっちり投げ分けて来るというほどではない。むしろ、足の甲での地面の捉えが良く、浮き上がろうとする力を抑えられており、ボールが上吊ることは少ない。ボールも前で放せていて、本格派だが大きく制球を乱すタイプではないのだろう。

<故障のリスク> ☆☆☆ 3.0

 お尻が落とせずスペースが確保できない割に、カーブやフォークに近いツーシームのような、捻り出して投げる球種を主に使ってくる。そのため、窮屈になりやすく肘への負担はそれなりに大きいと考えています。

 ただし、腕の角度の割にボールの送り出しに無理を感じないので、肩への負担は少なそう。それほど力投派でもないので、疲労も溜め難いのではないのだろうか。

<実戦的な術> ☆☆☆★ 3.5

 「着地」までの粘りはそれなりで、そういった部分では特に合わされやすいわけでは無さそうだし、実際に被安打率は低い。ただし、「開き」が早くボールの出どころが見やすいので、コースに投げた球があっさり打ち返されたり、縦の変化を振ってもらえないで見極められやすいというのはあるのかもしれない。

 腕はしっかり振れており、投げ終わったあと体に絡んでくる。ボールにも適度に体重を乗せてからリリースできており、その証として投げ終わったあとの地面の蹴り上げもいい。これでも球威がさほど感じないのは、ウェート自体がまだまだ足りないからではないのだろうか。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「開き」に課題があるように感じます。制球を司る動作はまずまずで、お尻が落とせずでにペースが確保できないことでの、窮屈さが肘などへの負担に繋がらないか心配。カーブやフォーク系のツーシームを武器にしている割に、あまりそういった球種に適さないフォームをしており、そのへんが気になる材料ではある。


(最後に)

 まだボールの迫力・武器になる変化球の習得など課題も少なくないが、ベースとなると制球力が安定している点は好感が持てる。肉体的にまだまだ成長の余地があるので、最終学年にどのレベルまで引き上げられるのかに懸かっている。その才能が開花するのが、大学の間なのか? それとも数年先に進んだ先なのか? 見極める春のシーズンとなりそうだ。


(2022年 秋季リーグ戦)