23dp-31
三浦 克也(東京国際大)投手 179/80 左/左 (高岡向陵出身) | |
東京国際大には、工藤 泰成 という投手の方が、ドラフト候補として知られていた。しかし、指名されるとしたら、この 三浦 克也 の方が可能性が高いのではないかと、二人を見終わった時に強く実感したのを覚えている。 (投球内容) 左のスリークォーターから、キレの良い球を投げ込んできます。チームではリリーフとして起用され、4年秋のシーズンでは、9回2/3 7安 7四死 6三 防 3.72 といった平凡な成績。しかし春は、12回2/3イニングで、自責点はありませんでした。 ストレート 常時140キロ~MAX89マイル(143キロ) ☆☆☆ 3.0 マイガンでの最速は、MAX89マイル・143キロ 程度と平凡でした。ただし、ボールにキレと勢いがあり、それよりも速く感じさせます。実際他の試合の模様なども見てみると、速いときには145キロ前後は出ていそうに見えます。繊細なコントロールは無さそうですが、打者の外角にズバズバ投げ込んできます。ただし、アバウトなところがあるせいか? 9回2/3イニングで、7四死球と、見ている時はそれほど感じませんでしたが、コントロールに難があるようです。 変化球 カーブ・スライダー・チェンジアップなど ☆☆☆ 3.0 左腕らしい大きなカーブに、スライダー・チェンジアップ系の球を投げてきます。ただし、あまりスライダーを投げて来るタイプではありません。また、変化球でも、狙って三振が奪えるといった球はないように思います。そういった部分が、9回2/3イニングで6三振と、切れ味鋭い真っ直ぐを投げ込む左腕にしては、三振が少ない理由ではないのでしょうか。 その他 クィックは、1.0秒前後~1.2秒前後と幅広いです。クィック自体を使わないで投げ込むこともありますし、結構投げるタイミングを変えているのかもしれません。牽制は確認できませんでしたが、走者への目配せなどはできていました。「間」を使ってとか、微妙な出し入れをすることはありませんが、何も考えないで投げているわけでは無さそうです。 (投球のまとめ) ボールの勢い・キレで仕留めに行くサウスポーです。その一方で、打者を仕留めきれるほどの変化球がないのが課題でしょうか。実際投げている変化球自体が、そこまで悪いとは思わないのですが。現状は、リリーフタイプのサウスポーといった感じはしています。 (投球フォーム) セットポジションから、足を引き上げる勢いや高さはそれなり。軸足一本で立った時に、膝がピンと伸びがちですが、適度にバランスは保って立てている。 <広がる可能性> ☆☆☆☆ 4.0 引き上げた足を高い位置でピンと伸ばしており、お尻の三塁側(左投手の場合は)は、体を捻りだすスペースは確保できています。そういった意味では、カーブやフォークといった球種を投げるのにも無理が無さそうです。実際、カーブのブレーキは大きく独特です。 「着地」までの地面への捉えもそれなりで、体を捻り出す時間も適度に確保。そのため、曲がりの大きな変化球の習得も期待でき、もっと武器になる球を今後身につけられても不思議ではありません。 <ボールの支配> ☆☆☆★ 3.5 グラブは最後は後ろに抜けて解けてしまっているので、この辺をしっかり抱えられると、もう少し外に逃げようとする力を内に留められるかもしれません。彼の場合、お尻が落とせるぶん逆に軸はブレやすいので、両サイドへの制球はアバウトになりがちなのかもしれません。 足の甲での地面の捉えはできているように見えるので、浮き上がろうとする力は押さえられているように見えます。リリースでのボールの押し込みがもう一つなので、この辺がもう少し我慢できるようになると、低めへの球も増えて行くのではないのでしょうか。 <故障のリスク> ☆☆☆★ 3.5 お尻の落としはできているので、カーブやフォークなどを投げても窮屈になることは少なそう。また腕の送り出しも、けして無理は感じられないので、肩への負担も小さいのでは? しいて言えば、結構力投派なので、疲労を溜めやすいところはあるかもしれません。疲れが溜まってくると、予想外のところを故障する可能性はあるように思います。 <実戦的な術> ☆☆☆☆ 4.0 「着地」までの粘りは作れている上に、ボールの出どころも隠せているように見えます。しいて言えば、テイクバックの際に、背中越しから握りが見えてしまっている可能性は感じます。しかし、基本的には見えないところから、ピュッと出てくる感じで、球速以上に打者は速く感じられるフォームではないのでしょうか。 腕もしっかり振れているので、打者は思わず吊られそうな勢いはあります。むしろ、このフォームで、なぜ三振が少ないのか不思議なぐらいです。ボールにもある程度体重を乗せてからリリースでてきるように見えるのですが、実際はボールは球威よりもキレ型です。もう少しリリースを我慢して、しっかり体重を乗せてから投げられると、打者の手元まで球威のある球が投げられるようになりそうです。 (フォームのまとめ) フォームの4大要素である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では「球持ち」にもう少し粘りが欲しいところです。グラブの抱えの甘さやヒップファーストが故に、軸がブレやすい側面はあるのかもしれません。多少力投派の部分はありますが、それほど故障のリスクは高く無さそう。フォーム的には、武器になる変化球を習得できても不思議ではありません。プロの指導で、良い球を身につけて欲しいところです。力投派で粗っぽいフォームなのかなと思ったのですが、想像以上に実戦的な土台をしていて驚きました。 (最後に) 現状は、適度に勢いのある球を投げられる左腕といった感じで、投球の奥深さが物足りません。このへんは、変化球や投球術を磨くことで、改善して行って欲しいポイント。実戦的なフォームはしていますし、もっと良い球を覚えて行けそうな下地があり、今後大いに変わって来られる可能性は秘めています。ただし、現時点では、☆(支配下級)といったほどのものは感じられませんでした。評価的には、育成枠での指名は妥当だったように感じます。 (2023年秋 リーグ戦) |