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庄司 陽斗(青森大) 投手 185/80 左/左 (聖和学園出身) | |
真上から力任せに投げ込んでいる姿は、まるで 濱口 遥大 みたいな 庄司 陽斗 。ただし、濱口が 173センチでガッチリしたタイプなのに比べると、この庄司は 185センチ と、かなり上背には違いがある。 (投球内容) この秋の庄司の成績は、5試合 4勝1敗 35回1/3 21安 13四死 37三 防 1.53 と、安定していた。 ストレート 140キロ~140キロ台中盤 ☆☆☆★ 3.5 球速的には驚くほどのものはないが、角度を生かした真っすぐには威力がある。ただし、かなり真っすぐは暴れる印象。それでも両サイドに散っている感じで、甘く入ってくることは少ない。この秋は、35回1/3イニングで21安打と、被安打率は59.4%(目安は70%以下)と悪くない。四死球率も36.8%(目安は33.3%以下)と、わずかに基準を満たていないが、そこまで四死球で苦しむといったほどでは無さそうだ。 変化球 チェンジアップ・スライダー・カーブなど ☆☆☆★ 3.5 変化球も両サイドに散ってきて、甘いゾーンに入ってこないところには好感が持てる。特にチェンジアップを武器にしており、左打者に対しても積極的を使ってくる。三振は投球回数を上回るが、絶対的なボールがあるというよりも、真っすぐも含めてコンビネーションと荒れ球で的を絞らせない感じだろうか。 その他 クィックは、1.05~1.10秒ぐらいと、まずまず。ただし左腕とはいえ、あまり走者への目くばせがないのと、牽制が見られなかったのは気になる部分。巧みな投球術は見られないが、打者の内角を厳しく突いて来る傾向がある。 (投球のまとめ) かなり粗っぽくは見える投球なので、粘られたり見極められたときに、根負けしないだけの本当の制球力があるのか?と言われると微妙。特に下級生までは、投球回数前後の四死球を出してきた選手だけに、今の投球バランスを安定して維持できるのかどうかは気になる材料だ。そのため再現性という意味では不安ではあるが、素材としては面白味の左腕ではないのだろうか。 (投球フォーム) 今度は、投球フォームの観点から考えてみましょう。ランナーがいなくてもセットポジションで構え、その時に後ろ足に重心をかける珍しい立ち方をする選手。そこから、クィックのように軸足に体重を乗せることなく、一気に重心を下げてゆくフォームです。 <広がる可能性> ☆☆☆★ 3.5 お尻は比較的三塁側に(左投手の場合は)落とせており、体を捻り出すスペースが確保できているので、カーブやフォークなど捻り出して投げる球種も、無理なく投げられます。 「着地」までの地面の捉えもそれなりで、武器になるほどの大きな変化は難しいかもしれませんが、変化球のキレ・鋭さは生まれやすいフォームであるように思えます。したがって多彩な変化球を身につけ、モノにして行ける下地はありそうです。 <ボールの支配> ☆☆☆★ 3.5 グラブは最後まで内に抱えられ、外に逃げようとする遠心力を内に留めています。そのため軸はブレ難く、両サイドへの投げ訳はしやすいように見えます。ただし、全身を大きく振って投げるフォームなので、その部分で制球を乱す要因になっている恐れがあります。 足の甲でも地面を捉えているように見えるのですが、その割にボールが抜けたり、バラツキが顕著です。このへんも動作が大きく煽られるので、リリースの再現性含めて球筋が安定し難いのかもしれません。「球持ち」自体も悪くないので、抑えるポイントはおさえているようには見えるのですが ・・・ 。 <故障のリスク> ☆☆★ 2.5 お尻は落とせているので、カーブやフォークといった球種を投げても無理は感じられません。また変化球の多くが、スライダーやチェンジアップで構成されているので、肘への負担などは少なそう。 気になるのは、ボールを持っている肩が上がり、グラブを持っている肩が極端に下る送り出しの方で、腕がブンと振られて故障の原因にならないか心配です。また、かなりの力投派なので、疲労も溜めやすいのではないのでしょうか。 <実戦的な術> ☆☆☆☆ 4.0 「着地」までの粘りもそれなりですし、ボールの出どころもある程度隠せています。その上、大型の体格でありながら、さらに角度も感じさせるといった意味では、打者としては威圧感も受けて打ち難そうです。 また腕を強く振れているので、打者としては吊られやすい腕の振り。ボールにも体重を乗せてからリリースできており、打者の手元まで、力強い球が投げられています。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、大きな欠点はありません。ただし、制球を司る動作が悪くない割に球筋が不安定な部分があったり、何より体への負担が大きいそうなフォームは気になります。それだけ、体のケアには充分注意して欲しいところ。将来的には、絶対的な武器を手にいられるかは微妙でも、多彩な球種を操れる下地はあるように思います。一見荒削りなフォームではあるのですが、意外におさえるポイントはおさえられているフォームといった感じがします。 (最後に) かなり荒っぽい投手だけに、必ず戦力になるかと言われるとリスキーな側面があることは否めません。それだけに、育成枠にまわったのも分からなくはありませんが、素材的にはモノになるかもと、そういった期待感は抱かせてくれます。故障の心配と制球の粗さはありますが、長所をうまく活かしてピッチングに繋げられれば、掘り出しものになれるかもしれません。ただし、現時点では ☆ (支配下級)の評価を付けるまでの確信は得られませんでした。 (2023年 秋季リーグ戦) |