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宮里 優吾(東京農大)投手 182/85 右/右 (岩倉出身) 





「球質が汚い」





 悪く言えば、球速ほど速く見えない。良く言えば、汚い回転で飛び難いという、ちょっと外人ピッチャーのようなボールを投げ込む 宮里 優吾 。この特徴が、プラスとでるのかマイナスとでるのかの判断は難しい。


(投球内容)

 東都リーグでは、2部や3部に在籍してきた選手で、直近の二部・三部入れ替え戦の成績を含めた10試合では、
15回1/3 15安 5四死 25三 防 0.59 と安定しています。私も、先日その入れ替え戦の登板を見てきたところです。

ストレート 140~後半 
☆☆☆ 3.0

 力を入れたときのボールは、140キロ台後半を記録。ただし、そうではない時は140キロ前後のボールも多く、何か微妙にボールを動かしているのかと勘ぐりたくなるほど、
何かキレイな真っ直ぐではない球を投げていました。ただし、その質のせいなのか? 投球回数とほぼ同数の被安打を浴びているのも事実です。また結構な力投派なので、細かいコントロールはないものの、投球回数の1/3以下には四死球を抑えられており、コントロールで自滅するといったほどではありませんでした。

変化球 スライダー・カーブ・フォークなど 
☆☆☆ 3.0

 変化球は、ほとんどがスライダーとのコンビネーション。この球で三振を奪ってくるといった感じではありませんが、投球回数を遥かに上回る奪三振は奪えています。しかし直近の10試合では多くの奪三振を奪っているのですが、二部に在籍していた4年春のシーズンでは 12回1/3イニングで2三振しか奪えていません。また、フォークも結構使ってくるピッチングスタイルですが、ストンと空振りを誘うというよりも、ツーシームやチェンジアップ系のように、左打者に外角に小さく逃げながら沈む感じの変化のように見えました。そのため、
空振りを狙って奪えるといったほどの変化球があるのかと言われると疑問です。

その他

 クィックは、0.95~1.10秒 ぐらいとまずまず素早く、春の入れ替え戦では積極的に牽制を入れていました。特に落ち着いたマウンドさばきで、力投派ですが、
ランナーを背負ってもジタバタするような感じではありませんでした。


(投球のまとめ)

 プロでは、
力投派でリリーフ色の強い投手だと感じます。真っ直ぐが球速ほど来ている感じがしないのと、フォークも上のレベルでは、まだまだ空振りを誘えるほどの落差はないのかなといった気がします。即戦力というよりは、数年後に一軍の戦力に絡んできたらといったタイプではないのでしょうか。





(投球フォーム)

 ランナーがいなくても、セットポジションから勢い良く足を引き上げて来る力投派。軸足一本で立ったときには、膝がピンと伸びがちで力みが感じら体を捻り出す時間も並ぐらい。そういった意味では、曲がりの大きな変化球よりも、球速のある小さな変化を中心に、投球の幅を広げて行くタイプかもしれません。

<広がる可能性> 
☆☆★ 2.5

 引き上げた足を地面に向けて伸ばすので、お尻の一塁側への落としは甘くなりがち。したがって、体を捻り出すスペースが充分ではないので、カーブやフォークなどが投げられないほどではないにしろ、変化は鈍くなりやすいと考えられます。

 また、着地までの地面の捉えも平均的で、体を捻り出す時間も並ぐらい。こうなると、曲がりの大きな変化は望み難く、武器になるほどの球を習得できるかは微妙な気がします。そのため、スライダーやチェンジアップなどを交えつつ、球速のある小さな変化を中心に、投球の幅を広げて行くことになるのではないのでしょうか。

<ボールの支配> 
☆☆☆ 3.0

 
グラブは最後まで体の近くに抱えられているので、外に逃げようとする遠心力を内に留めています。したがって軸はブレ難く、両コーナーへの投げ訳は比較的安定しているのではないのでしょうか。

 しかし、足の甲での地面の捉えがつま先のみで浅く、
浮き上がろうとする力を充分に抑えられていません。そのため力を入れて投げると、ボールが上吊りやすい感じがします。そのせいか? カウントを稼ぐ時は、かなり球速を殺してストライクを取りに来る球が140キロぐらいの球なのかもしれません。球持ちも平均的で、特別指先の感覚に優れているとか、そういった繊細さは感じませんでした。

<故障のリスク> 
☆☆ 2.0

 お尻の落としが甘い割に、結構フォーク系の球を使ってきます。そういった意味では、窮屈になって肘などへの負担はそれなりに感じられます。またボールを持っている腕が上がって、グラブを持っている下がりがちな腕の送り出しなので、極端ではないにしろ、肩への負担も感じます。結構な力投派なので、疲労なども溜めやすいのではないかと心配にはなります。
体のケアには、充分に注意して欲しいところ。

<実戦的な術> 
☆☆☆ 3.0

 「着地」までの粘りは平均的で、特に合わされ難いフォームではありません。しかし、
ボールの出どころは適度に隠すことはできていました。腕も強く振れており、打者は吊られやすい勢いも感じます。ボールへの体重の乗せは平均的で、もっと下半身を使えてリリースまで我慢できれば、打者の手元まで勢いが落ちない質の良い球が投げられるようにはなりそうです。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、いずれにも大きな欠点はないものの、特別優れている部分もありません。このへんは、もう少し股関節の柔軟性や下半身の筋力強化などを行い、
「着地」までの粘りが作れるとフォーム全体に粘りが出てこられる余地が残されている感じました。制球を司る動作は、高めに抜けやすい球筋。さらに故障のリスクが高いことに、将来的にいかに武器になる変化球を見出して行くかなど、リスキーな側面が強いフォームだと判断します。


(最後に)

 大学生ですが、まだまだ素材型といった感じで、プロの指導や環境で、いかに磨かれるかだと考えられます。そういった基礎ができた時に、どんなボールを投げるのか楽しみにしながら、今は見守りたいところです。育成枠での指名どおり、
(支配下級)の評価はできませんでした。ソフトバンクが、どのように導くのか期待したいところです。


(2023年秋 東都入れ替え戦)