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松田 啄磨(大阪産業大)投手 184/67 右/右 (大冠出身) | |
184センチ67キロの細身の体格が示す通り、高めに浮いた球を痛打されてしまうことが多い 松田 啄磨 。 プロ入り後ウェートを増やし、ボールを強くできるかに懸かっているのではないのだろうか? (投球スタイル) スラッとした投手体型の本格派で、この春は 9試合に登板して 7勝0敗 防 1.30 と、抜群の安定感を示した。続く秋は、3勝2敗 防 2.50 と、やや春ほどの勢いは感じられなかった。 ストレート 常時140キロ前後~140キロ台中盤 ☆☆★ 2.5 現状の真っ直ぐの球威・球速は、ドラフト指名される投手の中では、やや見劣る感じがします。特に高めに浮いた球を、簡単に打ち返されてしまう球威に、プロの打者相手だと不安を感じずにはいられません。本人もその辺を意識しているのか? 結構内角寄りに集めて詰まらせたりと、両サイドへの投げ訳はできているのですが。 変化球 カーブ・スライダー・スプリットなど ☆☆☆ 3.0 スプリットはチェンジアップ気味にカウントを稼ぐために使ったりと、あまり空振りを誘うというよりは引っ掛けさせる感じの球です。その他スライダーなどを結構混ぜてきて、たまに緩いカーブを使ってくるといった感じでしょうか。この秋も、57回2/3イニングで44三振の数字が示す通り、何か狙って空振りがとれるほどの球は現状無いようです。 その他 クィックは、1.1秒~1.15秒 ぐらいとそれなり。牽制に感じてはよくわかりませんでしたが、ベースカバーへの入りは遅くはありませんでした。特にランナーが出ても慌てる感じはないものの、微妙な出し入れや「間」を使ってといった投球術は感じません。むしろ、打者の内角を突くことで、詰まらせるのが持ち味なのかなといった感じがします。 (投球のまとめ) まだ絶対的な球はない感じで、投手としての筋の良さを評価しての指名だと思います。冒頭にも書いたように、体が大きくなって球威・球速をプロ入り後に増せるか? その時に、どんなボールが投げられるかが鍵を握っているのではないのでしょうか。 (投球フォーム) 僅かな投球だけではよくわからない部分もあったので、フォーム分析をして、彼の将来像を模索してみたい。セットポジションから、足を引き上げてる勢いや高さはそれなり。軸足一本で立ったときにも、膝がピンと伸び切ることがないので、力みなく立てているところは良いところ。 <広がる可能性> ☆☆☆★ 3.5 引き上げた足がやや地面に向けているものの、お尻の一塁側への落としは悪くないように見えます。したがって体を捻り出すスペースは確保でき、カーブやフォークといった球種を投げるのに無理は感じません。 「着地」までの地面の捉えもそれなりで、体を捻り出す時間もまずまず。そういった意味では、曲がりの大きな変化球の習得もしやすく、将来的には武器になる変化球を身に付けるのも可能ではないかと考えます。 <ボールの支配> ☆☆☆☆ 4.0 グラブは歳後まで内に抱えられ、外に逃げようとする遠心力を内に抑えられています。そのため軸はブレ難く、両サイドへのコントロールはつけやすいのでは? 足の甲での地面の捉えもできているので、浮き上がろうとする力も抑えられ、ボールが上吊るのを防ぎます。「球持ち」や指先の感覚も悪いように見えませんが、まだリリースが安定していないからなのか? 時々ボールが高めに浮いて痛打されます。このへんも、体がしっかりできてくれば、だいぶ変わってはきそうです。 <故障のリスク> ☆☆☆☆ 4.0 お尻の落としも悪くないので、窮屈になって肘に不安がといったようには見えません。また、腕の送り出しを見る限り、肩への負担も大きくはないのでは? けして力投派でもないので、疲労も溜め難いと思います。 <実戦的な術> ☆☆☆★ 3.5 「着地」までの粘りもそれなりで、ボールの出処も隠せています。そのため、けして合わされやすいフォームではありません。簡単に打ち返されてしまうのは、球威不足なのと高めに甘く入ってしまうケースが多いからでしょう。 振り下ろした腕は身体に絡むなど、腕の振りも悪いわけではありません。ただし、もっと鋭く上半身を使うことも、筋力が付いてくれば可能だと考えられます。 ボールへの体重の乗せは、うまく行っている時とそうではない時があります。投げ終わったあと一塁側に流れることもあり、これだと作り出したエネルギーを指先まで伝えきれていない証であり、打者の手元までボールの質に影響しています。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、大きな課題はありません。ただし、まだ全ての動作にそこまでの粘りがないので、身体を作ることで粘りも身につけて行って欲しいところ。制球を司る動作自体は良いのですが、実際には高めに甘く入ることが少なくないこと。それでも故障のリスクは高いフォームには見えませんし、将来的にはもっと良い変化球を習得して、投球の幅を広げて行くことも期待できます。土台となるフォームは、なかなか素晴らしいものがありました。 (最後に) 実際の投球やボールには物足りなさを残すものの、土台となるフォームや投手としてのセンスは悪くないように感じました。細身の身体に中身が詰まった時に、どんな投球を魅せてくれるのか? 大学生ですが、ちょっと高校生を見ている感じの選手でした。現状の内容は ☆ を付けるほどのものは感じませんでしたが、将来性はかなり高いと見ているので、3年後ぐらいにどのぐらいの投手に育っているのか、期待を持って見守りたい一人です。 (2023年秋 リーグ戦) |