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上田 大河(西武)投手のルーキー回顧へ







上田 大河(大商大4年)投手 182/86 右/右 (大商大高出身) 





「岡田明丈ぐらいはやれるかな?」 





 近年故障で低迷しているとはいえ、かつては二桁勝利もあげた 岡田 明丈 。大学の先輩であり、バランスの良いフォームからも重なるものがある 上田 大河 は、先輩に負けない実績を作れるだろうか?


(投球内容)

 早くから将来の上位候補と目されてきた実力派で、大学通算 17勝3敗 という圧倒的な実績を残しており、全国大会での実戦経験も豊富。ただし、全国大会での活躍といった意味では、防御率 3.15 と、やや物足りない。

ストレート 常時145キロ前後~150キロ ☆☆☆★ 3.5

 今年の大学選手権・道都大戦では、東京ドームのガンでMAX147キロを記録。先日の平塚合宿でのマイガン90マイル・145キロほどでした。それでも適度な球威と勢いを感じさせる球を、
右打者外角にしっかり集めてコントロールがあります。左打者相手だと、多少アバウトになりますが、大まか両サイドに散らしてきます。

変化球 カット・スライダー・カーブ・フォークなど ☆☆☆★ 3.5

 球種も多彩で、変化球をカウントを整えたり、相手の意識を散らすこともできています。何か三振が奪えるという絶対的な球はないのですが、
真っ直ぐと見分けの難しいカットボールは強力な武器。この球を、右打者外角に真っ直ぐと共に集めることができています。

その他

 クィックは、1.05~1.15秒 ぐらいとまずまずで、牽制も適度に鋭いものを混ぜてきます。フィールディングの動きもまずまずで、それほど「間」を使ってという感じではないのですが、ピンチでも冷静なマウンドさばきが印象的でした。


(投球のまとめ)

 この春は、昨秋よりもワンランク真っ直ぐの力、カットボールのキレなどを増してきた印象です。まだプロに混ぜたとき、これは!という明確なインパクトは感じられませんでしたが、全く使えないようなイメージはありませんでした。総合力も高く、ある程度の余力も残しながらも完成度も誇ります。現状は、2位前後のラインを基本線にみたいところです。国際試合での活躍や、秋にさらに良くなって来るようだと、有力な1位候補へと浮上してくるのではないのでしょうか。








(成績から考える)

 この春の成績は、
5勝0敗 40回2/3 29安 12四死 27三 防 1.33(1位)


1,被安打は投球回数の70%以下 △

 被安打率は 71.3% と悪くないものの、地方リーグの選手だけに70%以下で圧倒したいところ。この辺が、全国大会で圧倒できない一つの要因なのかもしれない。

2,四死球は、投球回数の1/3(33.3%)以下 ◯

 四死球率は、29.5% と基準を満たしているものの、絶対的な数字ではない。その辺は、右打者外角への絶対的なコントロールに比べると、左打者にはややアバウトになるのが影響しているのかもしれない。

3,奪三振は、1イニングあたり 0.8個以上 ✕

 1イニングあたりの奪三振は、0.66個 と平均的。リーグ戦では力をセーブしているのか、思いのほか三振は少ない。真っすぐで圧倒するとか、絶対的な変化球がないことを示している。

4,防御率は1点台 ◯

 防御率 1.33 と基準を満たしているものの、0点台の絶対的な圧倒的ではない。2年春に 0.34 という成績を残しているが、あとは1点台前半で推移している。ただし、2年秋こそ数字を多少悪化したものの、あとのシーズンは非常に安定した内容を示している。

(成績からわかること)

 リーグ戦での被安打や奪三振が圧倒的ではないところが、全国大会での物足りなさにも繋がっているのかもしれない。それでいて制球力に破綻がなく、変化球も多彩で的を絞り難い。特徴は見え難いものの、バランスの良さを裏付けるような成績になっている。


(最後に)

 下級生から見てきても、この春は球威やカットボールのキレなどが増してきており、ワンランク私の中でも評価は上がりつつある。そのため、場合によってはハズレ1位~2位ぐらいの間では消えるのではないかといった気がしてきた。ここから更に内容を良化させることができれば、文句なしの1位候補へと、そういった期待も膨らむ。現状は、もう一つ突き抜けて欲しいという物足りなさは残る。しかしそれを実現するのは、プロの世界に入ってからなのかもしれない。


蔵の評価:
☆☆☆ (上位指名級)


(2023年 平塚合宿)


 








上田 大河(大商大3年)投手の本当に凄いやつへ