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上甲 凌大(21歳・愛媛MP)捕手 184/90 右/左 (宇和島東-伯和ビクトリーズ出身) | |
昨年の都市対抗では、2打席連続のホームランで存在感を示した 上甲 凌大(21歳・愛媛MP)捕手。今年は、アイランドリーグの愛媛MPに入団して、悲願のプロ入りを果たした。そこで、捕手としてはどのような選手なのか考えてみた。 (ディフェンス面) ジェスチャーを交えながら、投手と対話して試合を組み立てて行きます。指示も適度に出せますし、周りへの意識も悪くありません。ミット投手に示し、グラブを下げる癖もありません。キャッチングに関しては、可も不可もなしといった感じ。気になったのは、ワンバウンド処理の時に、ミットが下からさっと出てこなかったところでしょうか。返球にも、特に雑な感じはしませんでした。 ちょっと見ただけでは、リードなどはよくわからず。スローイングは、1.9秒前後と、プロに指名される捕手としてはやや物足りません。強肩というよりも、確実に刺せるように制球重視で送球している印象があります。捕手としての気遣いや適正などは特に問題は無さそうな選手ですが、ボールを止める、刺す といったポテンシャルの部分ではどうなのだろう? という不安が残ったことは否めません。打撃でのアピール次第では、今後他のポジションにコンバートされるかもしれませんが、基本的に走力がある選手では無さそうです。 (打撃内容) 今シーズンは、58試合(185打数) 3本 21点 0盗 打率.259厘 といった成績で、思ったほど打力で圧倒しているほどの成績ではありませんでした。技術的な観点では、どうでしょうか? <構え> ☆☆☆★ 3.5 前の足を軽く引いて、グリップは高めに添える強打者スタイル。腰の据わりは良く、両眼で前を見据える姿勢や全体のバランスも悪くありません。特に、構えに力みなど感じません。 <仕掛け> 早め~平均 投手の重心が沈み始めてからか底のあたりからで、動き出すことが多いようです。そのため仕掛けとしては、「早め」~「平均的な仕掛け」といった感じで、対応力を重視したアベレージヒッターから、中距離ヒッターが多く採用する始動のタイミングです。 <足の運び> ☆☆☆★ 3.5 足を上げて、ベースから離れた方向に踏み出すアウトステップを採用。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応します。アウトステップするように、内角への意識が強いタイプかと。 それでも踏み込んだ足元はブレずに止まっているので、アウトステップでも甘めの外角球や高めの球ならば、充分に対応できると考えられます。 <リストワーク> ☆☆☆★ 3.5 打撃の準備である「トップ」の形は早めに作れており、速い球に立ち遅れません。バットの振り出しにも大きなロスは感じられず、インパクトまで遠回りに出てくることはありません。バットの先端であるヘッドも上手く残して振れているので、外角の球も上手く拾えている感じがします。 特にスイングの弧が大きいとかフォロースルーを使って打球に角度をつけて運ぶといった感じはしません。それでも内角の球に対しては、開かずに素直にバットが振り抜けますし、リストが強いのか? そんなにしっかりとらえたと思えない球でも意外に打球が伸びていったりもします。スイングもシャープで、打球は強烈です。 <軸> ☆☆☆☆ 4.0 足の上げ下げ見られる割には、目線の上下動は小さめ。体の開きも我慢できていますし、軸足にも適度な粘りが感じられます。 (打撃のまとめ) タイミングの取り方とかは平凡ですが、スイング軌道に癖はないですし、受け止める下半身もしっかりしています。リストも強そうですし、スイングもシャープです。やはり、ディフェンスよりもオフェンスの方が勝っている印象はあります。ある程度、打撃成績も伴うことが求められる捕手ではないのでしょうか。 (最後に) 捕手としては、雑な感じもしなく性格的な適正も悪くないように思います。ただし、キャッチング・スローイングの能力がプロとしてはどうなのか?という部分で、それが致命的でなければと感じます。彼に求められているのは、他のポジションへのコンバートよりも、捕手として打力があることでしょうから。 打者としては、タイミングの取り方などミート力に特別なものは感じませんでした。ただし、技術的には大きな欠点はないのと、想像以上にヘッドスピードが鋭く、リストも強いのかなといった印象。イメージ的には、同じDeNAの左打ちの 戸柱恭孝 的な打撃かなと感じました。DeNAの若手捕手には、あまり打力で存在感を示している選手がいないので、そのへんで特徴が出せると面白くなると思います。 (2022年 リーグ戦) |