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加藤 豪将(日ハム)内野手のルーキー回顧へ







加藤 豪将(28歳・元メッツ傘下)内野 185/91 右/左 (ランチョ・バーナード高出身) 
 




「ちょっと青木宣親みたいだ」 





 アメリカ出身でメジャーまで昇格した 加藤 豪将 のバッティングをみていると、何処か 青木 宣親(ヤクルト)を彷彿とさせるような打撃を見せる。通常のアマチュア選手と違いサンプルが乏しいだけに、なかなか将来像を予測するのは難しい。


(守備・走塁面)

 ゴロの打球の映像が見当たらず、一塁までの到達タイムは計測できず。だいたいシーズンの盗塁数をみると、10盗塁以下ではあるけれど5盗塁以上は走っているといった感じ。今季も3Aで、80試合で7盗塁を記録している。そのため、けして盗塁意欲や走力がないとは思えないものの、中の上 ぐらいの脚力なのかなといった感じはしている。プレーの動きを見ていても、けして動きの悪い選手ではないので。ちなみに、メジャーで唯一のヒットとなったツーベースの時の到達タイムは、多少緩めても 7.9秒 ぐらいだったことを考えると、走力もそれなりに速いと判断して問題は無さそうだ。

 また守備に関しても、二塁を中心に三塁や一塁など内野のユーティリティプレーヤーといった感じがする。特にセカンドならば、ある程度無難なレベルで守れるぐらいの動きは魅せている。NPBレベルで上手い部類のセカンドになれるかは微妙でも、動きは悪くないし肩も結構強そう。ただし、守備や走塁に関しては、サンプルが少ないので確信は持てないのだが ・・・ 。


(打撃内容)

 プロ入り10年目にして、初のメジャー昇格し8打数で1安打を記録した。 3Aでは、80試合で 9本 32点 7盗 打率.223厘 といった内容に。しかし、3Aの通算成績は278試合で打率.270厘を記録していて今回は調子が悪かったことが伺われる。みていると、意外に引っ張ってのホームランが多い印象です。

<構え> ☆☆☆ 3.0

 前の足をかなり引いて、後ろ足に重心を預けて構えます。グリップの高さは平均的ですが、腰の据わり具合・全体のバランスにはかなり癖があります。それでも、両眼で前を見据える姿勢はしっかりできており、錯覚を起こすことなくボールを追える形はできています。

<仕掛け> 平均~遅め

 投手の重心が沈みきった底あたりに動き出す「平均的な仕掛け」~「遅めの仕掛け」あたりで始動してきます。この仕掛けは、中距離打者や勝負強さを売りにするポイントゲッターに多くみられる始動のタイミングですが、さらに遅い仕掛けだとより手元まで引き付けて叩く傾向が強く長距離打者に多くみられます。引っ張ったときには凄い飛距離が出るのは、この辺の仕掛けが影響しているかもしれません。日本の野球においては、中距離~中長距離 的な打者に分類されるかもしれません。

<足の運び> ☆☆☆★ 3.5

 足を上げて、ベース側離れた方向に踏み出すアウトステップを採用。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。アウトステップするように、内角への意識が強いタイプなのではないかと。

 踏み込んだ足元も、なんとか地面とらえて離しません。そういった意味では、アウトステップでも甘めの外角球や高めの球ならば充分に対応できると考えられます。

<リストワーク> ☆☆☆☆ 4.0

 あらかじめ捕手方向グリップを引いているので、打撃の準備である「トップ」を作るのは早めに作れています。またバットも寝せて振り出すものの、インパクトのまでのロスは感じられない。

 水平にバットを出すので、ヘッドの下がりも少なく、広い面でボールをとらえられている。むしろ内角の球に対しては、ボールの下にバットを潜り込ませられるので、角度を付けて飛ばすことができている。スイングも大きく引っ張ったときには長打を、流したときには低く鋭い打球が飛ぶタイプだと考えられる。

<軸> ☆☆☆☆ 4.0

 足の上げ下げが小さいので、目線の上下動は小さめ。また体の開きも抑えられ、軸足の内モモも適度に強さが感じられる。向こうの選手らしく、動作が非常にコンパクトにまとめられている。

(打撃のまとめ)

 打てるポイントはやや限られていそうなのと、タイミングの取り方は平凡なのかなと。それでも甘い球を仕留めるということに関しては、かなりの精度で打ち損じなく仕留められる形にはなっている。日本の緩急や縦の変化というのに対応するのには苦労しそうだが、ボールを上手く呼び込めるようになれば、それなりの数字は残しても不思議ではなさそうだ。


(最後に)

メジャーから降格した今シーズンはともかく、3Aでは上位の成績を残すことも多い。そのため実力的には、やや3A寄りもメジャー選手半クラスと印象を受けた。NPBのレベルが、3Aとメジャーの中間ぐらいであることを考えると、日本の野球にアジャストする適応力があれば、それなりに活躍できる下地はあるのではないのだろうか。上手くゆけば、一年目からセカンドで中心的に起用され、100試合前後 15本ぐらい 2割6,7分 ぐらいの成績を残しても不思議ではない。限りなく経験や年齢的からも、一年目からレギュラー争いに加わることができる選手ではないかと判断する。この年齢でも、即二塁を担えることができるのならば、充分に指名した価値はありそうだ。ただしサンプル不足から、具体的な評価付けはできないことをご了承願いたい。


(2022年 メジャーシーズン)