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野村 和輝(西武)内野手のルーキー回顧へ







野村 和輝(19歳・NO・石川)三塁&投手 183/83 右/右 (東大阪柏原出身) 





 「パワフルな広角打者」





 パワフルな打撃をする一方で、センターから右方向への打球も多い 野村 和輝 。打球が上がるスラッガーというよりも、強烈な球足で野手の間を抜けてゆく、二塁打・三塁打などが多いタイプの強打者ではないのだろうか?


(守備・走塁面)

 一塁までの塁間は、右打席から4.5秒台(左打者換算で4.25秒前後に相当)と、プロに指名される右打者としては、中の下 ぐらいの脚力ではないだろうか。リーグ戦でも55試合に出場し、盗塁はわずかに1個と、足を売りにするプレースタイルでは無さそうだ。

 三塁手としての守備力はよくわからないが、守備の話を耳にすることはない。投手としては、130キロ台後半ぐらいで、地肩はそれなりに強そうだ。三塁を任されるほどなのか? 将来的には一塁や外野の人材なのか、その点は正直よくわからなかった。シーズン途中のものだが、28試合で6失策という数字が残っていて、試合数の割にエラー数が多いのは気になる材料だ。

 現状、19歳の若さに期待して、守備や走塁という意味ではどうだろうか?という疑問が残る数字ではある。あくまでも、打力で勝負といったタイプなのかもしれない。





(打撃内容)

 独立リーグ参加一年目となった今年は、55試合 2本 20点 1盗 打率.246厘 といった成績が残っている。

<構え> ☆☆☆ 3.0

 前の足をほんの少しだけ引いて、グリップは高めに捕手側に添えています。後ろ足に重心を預けつつ、両眼で前を見据える姿勢や全体のバランスとしては並ぐらい。強打者としての雰囲気は、それなりに感じさせてくれます。

<仕掛け> 平均

 投手の重心が下がりきったところで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。ある程度の確実性と長打力を兼ね備えた、中距離打者や勝負強さを売りにするポイントゲッターが多くみられる始動のタイミングです。

<足の運び> ☆☆☆ 3.0

 小さく足を上げて、ベース側にインステップして踏み込んできます。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。ベース側に踏み込むように、外角への意識が強そうです。

 踏み込んだ前の足は、インパクトの際に多少動きます。そこまで開きは早くないので、センターから右方向に強く打ち返すことはできています。甘めの外角球や、高めの球ならば対応できそうです。

<リストワーク> ☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備である「トップ」を作るのは自然体で、力みはなくボールを呼び込めています。バットの振り出しも、そこまで遠回りに出てくる感じはありません。インパクトの際にもヘッドを下げないようにして、フェアゾーンに打球が飛びやすいインパクトです。逆に強烈なヘッドスピードを誇る割に、打球はあまり上がらないタイプなのではないかと感じます。それでも大きめなスイングで、最後までしっかり振り切っています。

<軸> ☆☆★ 2.5

 自分から、ボールに向かっていってしまう傾向が観られます。それだけ、体が突っ込まないように注意したいところ。体の開き、しっかりと我慢できているといったほどでもありません。それでも軸足の内モモの強さは、さすがに強烈な打球を放つだけに強さは感じられます。

(打撃のまとめ)

 粗さは感じますが、打球やスイングの強さは実にパワフルです。ただし、長打を期待したいタイプですが、あまり打球が上がらなそうな印象を受けます。その辺を今後、いかに持ち味のパワーを活かし、打球の角度を身につけて行けるかではないのでしょうか。


(最後に)

 投手もやるだけに、肩はそれなりに強そう。その反面、走力や守備力・打撃の粗さをどうみるかで意見は別れそうです。バットを振れるという魅力はありますが、現状のスイングだとあまり打球に角度が付きそうもないのと、確実性という意味では課題を感じます。

 年齢も若いだけに、プロの球に順応するためには、かなり時間が必要ではないのでしょうか。こういった打者を、西武がいかに育てて行くのか気になります。左打者がお多いチーム構成だけに、貴重な右の強打者候補となります。現時点では、 をつけようといったほどではなく、あくまでも素材を買っての育成指名が妥当だった気がしました。


(2022年 リーグ戦)