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福永 裕基(26歳・日本新薬)内野 180/85 右/右 (天理-専修大出身) | |
常にプロ級だと評価されながら、指名されずにここまできた 福永 裕基 。ようやく社会人4年目にして、悲願のプロの舞台に立つこととなった。そこで今回は、改めて 福永 裕基 とはどんな選手なのか考えてみた。 走塁面:☆☆☆★ 3.5 一塁までの到達タイムは、右打席から4.3秒前後。左打者に換算すると、4.05秒前後とそれなり。専修大時代は、リーグ戦でも5個前後の盗塁を決めていた選手だが、社会人になり、より強打者の色彩が強くなって足ではアピールするようなプレースタイルでは無くなってきている。そのため、足は遅くはないものの、盗塁などを積極的に仕掛けて来るというのは、もうあまり期待できないのかもしれない。 守備面:☆☆☆ 3.0 主にセカンドを守り、時折サードあたりをこなす。セカンドとしては、丁寧に堅実にプレーしている印象。ただし、垢抜けて守備範囲が上手いとかキャッチングがといった感じはしない。なんとなく観ていると、牧秀悟(DeNA)的な動きをするセカンドといった無難な守備をする選手との印象。ただし昨年は結構エラーをしていたのだが、今年は公式戦で無失策だった。 (打撃内容) 思いっきりバットを振って、センターから右方向への打球が目立つ。ちなみに2022年度の公式戦成績は、 10試合 40打数15安打 5本 11点 3盗 打率.375厘 といった成績が残っている。 <構え> ☆☆☆ 3.0 前の足を軽く引いて、カカトを浮かして構えます。グリップは高めに捕手側に引いて添えられており、後ろ足に重心をかけているので、全体のバランスとしては癖があります。それでも両眼でしっかり前を見据えられているので、錯覚を起こすことなく球筋は終えます。 <仕掛け> 平均 投手の重心が沈みきったところで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。ある程度の確実性と長打力をバランスよく兼ね備えた、中距離打者や勝負強さを売りにするポイントゲッターが多く採用する始動のタイミングです。 <足の運び> ☆☆☆★ 3.5 足を軽く上げて、地面をなぞるように回し込んで真っ直ぐ踏み込んできます。始動~着地までの「間」はそこそことれており、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でも打ちたいという意志の現れでしょうか。 踏み込んだ足元は、インパクトの際に動きません。そのため、逃げてゆく球や低めの球にもある程度食らいつけますし、右方向に打球を飛ばせます。 <リストワーク> ☆☆☆★ 3.5 打撃の準備である「トップ」の形は、早めに作れています。バットの振り出しは、少し遠回りに出てくるのは、意識的にポイントを後ろにして右方向に飛ばすためなのでしょうか? それでも内角寄りの球に対しては、上から脇を絞ってダウンスイングしてくるので、そういったスイングの使い分けはできているようです。 ヘッドを立てて広い面でボールをとらえようというよりも、ボールの下にバットを潜らせて打球に角度を付けてきます。そのため、打ち損じは結構あるかもしれませんが、長打には結びつきやすいと考えられます。大きな弧を描きながら、最後まで力強く振り切っています。 <軸> ☆☆☆☆ 4.0 足の上げ下げは静かで、目線の上下動は少なめ。体の開きも我慢できていて、軸足も地面から真っ直ぐ伸びて安定している。そのため、調子の波も少ないのではないだろうか。軸足の内モモの筋肉も強く、強烈な打球を生み出す原動力になっている。 (打撃のまとめ) 確実性が高い打ち方というよりは、少々打ち損じることはあっても、破壊力・長打力を重視したスイングといった気がする。それでいて、粗さや脆さも感じられないなど、すでに充実の域に入っている。ある意味、一年目から一軍に混ざって勝負して行けるのではないのだろうか。 (最後に) 右打ちの強打の二塁・三塁候補としては、非常に面白い存在かと思います。そういったポジションの選手が伸び悩んでいる中日とっては、彼らを刺激する、競争する相手としてはもってこいの人材です。高齢入団だけに、環境適応が心配ではあるものの、実力を素直に発揮できれば、一年目から隙間をぬってポジションをゲット。そんな期待もしたくなるほどの選手であり、そういった選手を7位で獲得できたのは良い指名ではなかったのでしょうか。社会人において、もっともプロ級と呼ばれてきた男の実力を、ぜひ見届けてみたいところです。 蔵の評価:☆ (下位指名級) (2022年 日本選手権) |