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西濱 勇星(オリックス)投手のルーキー回顧へ







西濱 勇星(20歳・BC群馬)投手 181/87 右/右 (関東学園大付出身) 
 




 「凄い球を投げていた」





 BCリーグ選抜の一員として登板していたときに、指にかかった時には凄い球を投げ込んでいた 西濱 勇星 。 しかし、聞くところによると、いつもそういった投球ができるわけではないのだという。そこで今回は、改めて別の試合の模様を観て、この選手の本質に迫ることができたらと考える。


(投球内容)

 プロ志望合同練習会で見た時は、147キロまで記録していた。しかし、その時よりも更に球速を増してきている。

ストレート 145~154キロ ☆☆☆☆ 4.0

 BCリーグ選抜の時には、常時150キロ前後で最速では96マイル・154キロに到達しました。ボールは結構バラついていますし、いつもそういった凄い球が決まるわけではありません。しかし、ストレートの勢い・球速には破格なものを持っています。こういった球を、安定して投げられるようになればという、素材的な魅力があるのは間違いありません。

変化球 チェンジアップなど ☆☆ 2.0

 投球の殆どは、速球とチェンジアップとのコンビネーション。他に、スプリットのようなボールゾーンにも沈む球や左打者の内角を突くカットボール気味の球もあるのがわかりました。BCリーグ選抜の時には、正直変化球は殆ど投げていなかったので。また、そういった球を投げるときに、腕が緩んでわかってしまう欠点も感じました。現状、チェンジアップである程度カウントを整えられます。しかし、これらの球の精度・キレは発展途上といった感じです。

その他

 牽制のモーションはかなり大きめで、クィックも1.2秒台と遅いです。また、走者への注意もやや弱い印象が。フィールディングの動きは、そこまで悪くないようには見えましたが。いずれにしても、投げる以外の動作にも課題を抱えます。

(投球のまとめ)

 まだストライクゾーンの枠の中に向かって、速球とチェンジアップを投げ込んでくる、そういった投球に終始しています。真っ直ぐには好いものを持っていますが、変化球の精度やコントロール、それ以上に投球以外の部分に課題を抱えています。これだけのボールがありながらも、育成枠になったのは頷けるところはあります。





(成績から考える)

今シーズンの成績から、傾向を考えてみましょう。22年度のリーグ戦成績は

42回 44安 29四死 32三 防 3.21 

1,被安打は80%以下 ✕

 被安打が投球回数を上回ってしまっており、BCリーグレベルでも苦しんでいたことがわかります。やはりプロでの活躍を想定すると、被安打率を80%台、即戦力ならば70%台で圧倒したいところです。

2,四死球は投球回数の1/3以下 ✕

 四死球率は、65.9% 。基準である33.3%以下に比べると、倍近いペースで四死球を出しています。三振が多くとれる選手でも、これを40%以下にしたいところ。

3,三振は、1イニングあたり0.9個以上 △

 1イニングあたりの奪三振は、0.76個 。リリーフ投手の基準は0.9個以上であることを考えると、決め手という意味でもまだまだ開きがありました。

4、防御率は1点台以内 ✕

 防御率は3.21 で、基準である1点台にはかなりの差があります。それも、被安打率・四死球率から考えると、やはりそうなってしまうなといった感じはします。

(成績からわかること)

 基準と比べると、どのファクターにも開きがあるようです。それだけに、まだまだ素材型の域は脱しられておらず、プロでもかなり苦労することが予想されます。


(最後に)

 ストレートの魅力は間違いないですが、変化球・制球力・投球術に、投げること以外にもと課題が山積みです。それだけに、プロ入りしても、かなり時間がかかることが予想されます。指にかかった時には素晴らしいボールがゆくので、今はそういった球が少しでも増えることを期待したいところです。他の試合の模様や成績などをみてみると、育成枠での指名は妥当だったように感じました。


(2022年 プロ・アマ交流戦)