22sp-18





渡辺 明貴(DeNA)投手のルーキー回顧へ







渡辺 明貴(22歳・BC茨城)投手 188/105 右/右 (東京メッツなど) 
 




 「なんだかピリッとしない」





 高校を1年で中退後、韓国の独立リーグや国内の独立リーグにクラブチームなどを転々としてきた 渡辺 明貴 。彼の登板を何試合かみたが、リズムに乗れずピリッとしない試合が多い印象を受けた。そんな中、BCリーグ選抜の一員として出場した、巨人とのプロ・アマ交流戦の試合では持ち味が発揮できていた。


(投球内容)

 巨体から投げ下ろす、パワーピッチがこの選手の魅力。

ストレート 常時145キロ前後~MAX152キロ ☆☆☆★ 3.5

 球速は常時145キロ前後といった印象だったが、ジャイアンツ球場でのガンでは152キロまで到達。確かにこの日の彼の真っ直ぐには勢いもあって、いつも以上に力強くうつった。全体的に球筋が高い印象はあるが、球威があるので詰まらせることはできている。ただし、空振りを誘う球質ではないので、高めに行った球がヒットになってしまうケースが多いのかもしれない。

変化球 カットボール・スプリット? ☆☆★ 2.5

 小さく横にズレるカットボール気味の球や、スプリットのような小さく沈む変化球があるように見えます。ただし、この2つの球種には、まだ絶対的な威力がなかったり、確実にカウントを整えられるとか、そういった感じはしません。あくまでも投球の中心は、真っ直ぐで構成されています。

その他

 大魔神・佐々木主浩のような、ゆったりしたフォームで投げ下ろしてきます。しかし、クィックは、1.05~1.10秒 ぐらいで投げ込めていました。牽制は観られず、フィールディングもよくわからず。特に細かい出し入れや、間を変えてといった感じの投球術ではなく、力のある球をストライクゾーンに投げ下ろしてくるというシンプルなスタイル。





(投球のまとめ)

 あまりベイスターズにはいない剛球系の投手という意味では面白いと思うのですが、変化球・制球力・投球術といった部分ではまだまだのように思えます。その辺を、プロでどのぐらい磨けるかではないのでしょうか。

(成績から考える)

 残した成績から、今後の可能性について模索してみます。22年度のBCリーグでの成績は

 45試合 2勝4敗2S 42回2/3 56安 15四死 43三 防 4.01

1,被安打は投球回数の80%以下 ✕

 これだけのボールを持ちながら、被安打が投球回数を遥かに上回っているのは気になります。けして空振りを誘える球質ではない真っ直ぐなので、高めに浮いた球をくヒットにされてしまっているのかもしれません。

2,四死球は投球回数の1/3(33.3%)以下 △

 四死球率は、35.2% と極端に悪いわけではありません。しかし、独立リーグレベルでこのアバウトさですから、NPBに入るとさらに制球に苦しむ可能性は否定できません。

3,奪三振は、1イニングあたり0.9個以上 ◯

1イニングあたりの奪三振は、◯

 奪三振に関しては、投球回数を上回っている。それほど変化球で三振を奪っているイメージはないので、威力のある真っすぐの威力が独立リーグレベルでは勝っていたと考えるべきではないのだろうか。

4、防御率は1点台 ✕

 防御率は、4.01 とかなり悪い。チームのクローザーをやっていただけに、ちょっとした失点で防御率は悪化しやすい。防御率が最も良かった昨年でも 3.34 なので、安定感という意味ではイマイチなのがわかる。

(成績からわかること)

 極端ではないがアバウトな制球の上に、被安打率と防御率の悪さが気になります。投球回数並の奪三振が奪えているところに可能性は感じますが、現状の力では二軍でもかなり厳しいことが予想されます。


(最後に)

 現状まだまだ素材型といった感じで、プロの指導・環境で、何処まで課題を克服できるかではないのでしょうか? 今のベイスターズには少ない、タフそうな剛球タイプ。この選手を使えるようにできれば、リリーフでもアクセントになりうる存在だと思います。イメージ的には、以前DeNAに所属していた 笠井 崇正 投手を、さらにゴツくした感じかと。果たしてベイは、この投手を育てあげられるのか密かに見守りたいところです。


(2022年 リーグ戦)