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富田 蓮(阪神)投手のルーキー回顧へ






 富田 蓮(21歳・三菱自動車岡崎)投手 174/78 左/左 (大垣商出身)





「まだまだだけど」 





 高卒3年でプロ入りを実現した 富田 蓮 。 現在行われている、U-23 社会人の日本代表選手として、先発として活躍している。しかし、プロの一軍を想定すると、まだまだ物足りない。


(投球内容)

 ゆったりとしたモーションから、ゲームメイクしてくる典型的な左の好投手。凄味のある球を投げるわけではないが、しっかり試合を作れるのがこの投手の持ち味ではないのだろうか。

ストレート 130キロ台後半~140キロ台前半 ☆☆★ 2.5

 球速は130キロ台後半のボールが多く、まだボールの球威・球速といった部分では物足りない。それでも球速よりもキレを感じさせる球質なのか? 高めの速球でも空振りが目立つ。ボールは両サイドに投げ分けることができており、右打者の内角にも意識的に厳しく突いてきたりもできる。四死球から崩れる、そういった危うさは感じられない。

変化球 カーブ・チェンジアップ・スライダー ☆☆☆★ 3.5

 左腕らしい大きなカーブが、投球の大きなアクセントになっているように思います。その代わり、あまりスライダーが配球に観られません。時々、右打者には130キロ前後のチェンジアップは投げてきます。三振を奪うのはむしろ真っ直ぐで、変化球を意識させておいてといった感じの役割ではないのでしょうか。

その他

 クィックは、1.1~1.2秒 ぐらいと平均的。フィールディングの反応、動きもそれほど悪くない。走者を背負うと、ボールをじっくり持って走者や打者を焦らすなど、そういった投球術は心得ているようだ。

(投球のまとめ)

 制球力・変化球・投球術などは悪くなく、投球の土台はできています。あとは、一軍を意識する上で、もうワンランク上の球威・球速を身につけられるかではないのでしょうか。そのため、即戦力というよりは、1,2年ファームで漬け込んだ時に、どのような球を投げられるかに懸かっているように感じます。


(成績から考える)

今シーズンの公式戦の成績は、50回2/3 36安 13四死 50三 防 3.73

1,被安打は80%以下 ◯

 被安打率は、71.1% と、社会人レベルでも基準を満たしている。球威・球速不足を感じなくもないが、変化球を交えたコンビネーションで的を絞らせない。問題は、プロの一軍を想定した時にどうかということ。

2,四死球は投球回数の1/3(33.3%)以下 ◎

 四死球率は、25.8% と、投球回数に対し 1/4 ぐらい。そういった意味では、制球力の部分でも不安はない

3,奪三振は、1イニングあたり0.8個以上 ◯

 奪三振は、ほぼ投球回数と同じであり、三振も充分奪えています。このへんも、一軍の打者だったら空振りしてくれないかなといった気もしますが、空振りが取れる投手であるのは間違い無さそうです。

4,防御率は1点台以内 ✕

 ここまでのファクターは充分満たしているのに、なぜか防御率は 3.73 とイマイチ。この辺は大量失点している試合があり、ボールが揃い出すと一気に連打されるとか、球威の無さから長打を浴びやすいなどの要因が考えられます。

(成績からわかること)

 防御率以外のファクターは悪くないものの、その球威の無さからか? 失点を重ねてしまう傾向はあるようです。そういった意味では、やはり今のボールの感じだと、即一軍での活躍は厳しいようには感じます。それでも伸び盛りの時期なので、短期間で驚くほどに成長しても不思議ではありませんが。


(最後に)

 投手としての土台はある程度できているので、今後いかに球威・球速などを増しボールが変わってこられるかに懸かっているのではないのでしょうか? 本会議での指名でしたが、内容的には育成指名ぐらいの選手だとは思います。そのへんは、育成枠での指名ができない企業チームの選手だということで、指名の最後に組み込んだのではないかと考えられます。そのため今がプロの入の「旬」なのか?と言われれば、まだちょっと時間がかかりそう。ただし、今の環境で3年やったわけですから、プロの指導や環境でさらに資質を伸ばすという選択は悪くないように思います。数年後に、甲子園の舞台で躍動する姿を楽しみにしております。


(2022年 U-23ワールドカップ)