22ky-8





 海老根 優大(大阪桐蔭3年)中堅 182/85 右/右
 




 「ただの強打者ではない」





 大阪桐蔭の4番をはる 海老根 優大 。しかしこの選手は、ただの打つだけの選手ではない。走力も守備力も兼ね備え、何よりプレースタイルにガッツが感じられるナイスガイだ。


走塁面:
☆☆☆★ 3.5

 一塁までの到達タイムは、4.1秒~4.3秒ぐらい。これを左打者に換算すると 3.85~4.05秒 ぐらいに相当する俊足。この春の選抜でも、4試合で3盗塁を記録。前向きなプレースタイルの選手でもあり、能力を出し惜しむことはない。これに技術も伴えば、プロでも走力でも存在感を示せるようになってくるかもしれない。

守備面:
☆☆☆☆ 4.0

 打球への反応・落下点までの入り、守備範囲なども悪くない。昨秋までは、強肩にかまけて中継への返球やコントロールに粗い部分もあったが、一冬こえてその辺もだいぶ良くなってきた。地肩に関しても、プロでも強い部類として位置づけられるだろう。


(打撃内容)

 野性味溢れるファイターでありながら、センター中心にはじき返して来るタイプ。けして、長打で魅了するスラッガーではない。それでも選抜では4試合で2本塁打を放つなど、時々甘く入ればスタンドインのパンチ力も魅せてくれる。ちなみに選抜では、4試合 19打数で8安打 2本塁打 6打点 4盗塁 打率.421厘 といった内容だった。

<構え> 
☆☆☆★ 3.5

 軽くクローズ気味に立ち、グリップの高さは平均的。腰を深く沈め両眼で前を見据える姿勢も好く、全体のバランスとしてはそれなりといった感じ。構えに関しては、秋とほとんど変わっていなかった。

<仕掛け> 早め

 投手の重心が下る時に動き出す、「早めの仕掛け」を採用。対応力を重視した、アベレージヒッターに多くみられる仕掛けです。バリバリの強打者に見える選手ですが、実際は対応力に重きを置かれあとに繋ぐ意識なのかもしれません。始動のタイミングも、秋と変わっていませんでした。

<足の運び> 
☆☆☆★ 3.5

 足を上げて、真っ直ぐ踏み出してきます、。始動~着地までの「間」はあるのですが、秋も指摘しましたがややステップが狭く「間」あまり上手く取れないのがもったいない気はします。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でもさばきたいタイプ。

 踏み込んだ前の足は、比較的地面から離れるのが早い感じはします。そのため甘めの外角球や高めの球は右方向に打ち返せますが、本当の意味で逃げてゆく球や低めの球にはあまり強くないかもしれません。秋は、もう少し足元がしっかり止まって盤石だった気がします。

<リストワーク> 
☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備である「トップ」の形を作るのは早めに作れており、速い球に立ち遅れる心配はありません。バットの振り出しは、けしてインサイドアウトではないのですが、外角の球に対してはロスは感じません。インパクトの際にも、ヘッドが下がらずフェアゾーンにボールが飛びやすい形は作れています。

 以前よりも、インサイドアウトの軌道ではなくなり、外角の球に対してもバットのしなりを活かせるようになってきました。またヘッドが下がって打ち損じることも多かったのですが、そのへんもだいぶ修正されてきたのではないのでしょうか。

<軸> 
☆☆☆★ 3.5

 頭の位置が安定するようになり、目線の動きは小さくなりました。体の開きは微妙ではあるのですが、軸足は地面から真っ直ぐ伸びて安定してきています。調子の波も、以前より小さくなってきているのではないのでしょうか。

(打撃のまとめ)

 秋からあまりスイングはいじっていないのかなと思ったのですが、スイング軌道がバットのしなりを生かしてスイングできる、木製仕様に変わってきました。またヘッドの下がりが緩和することで、打ち損じが減ってきているように感じます。確実性という意味では、秋よりもワンランク精度は高まってきたのではないのでしょうか。

(打撃のまとめ)

 大型でも腕力に頼った打ち方ではなく、基本がしっかりしている選手だと思います。ここから筋力をつけたりしてゆけば、素直に飛距離や打球の速さも増して行ける素材ではないのでしょうか。けして長距離砲ではないのですが、大型でも脆さがないのも好いところかと。


(最後に)

 走力・守備力・確実性もある程度備えており、野球に向かう姿勢や強打者としての前向きな姿勢にも好感が持てます。この選手は、最終的に上位でプロ入りするのではないのでしょうか。将来が、とても楽しみな右の強打者だと言えるでしょう。


蔵の評価:
☆☆☆(上位指名級)


(2022年 選抜大会)









海老根 優大(大阪桐蔭2年)中堅 182/85 右/右 
 




 「ガッツがある」





 中学時代から、数々の大会で日本一や世界一を経験してきた 海老根 優大 。高校でも、明治神宮大会を制して日本一を達成した。そんな野球エリートの彼だが、洗練されたプレーや透かした選手ではない。むしろ荒々しい野性味溢れるファイターだった。


(守備・走塁面)

 一塁までの到達タイムは、右打席から4.1秒台~4.25秒ぐらい。これを左打者に換算すると、3.85秒~4.0秒ぐらいと、かなりの俊足ということになる。そこまで盗塁技術は高くないが、持っている走力はかなり高いとみる。

 また中堅手としても、キャッチングや打球判断は悪くない。ただし、長い距離を投げたときの制球力がまだまだ。それでも中堅手には、しっかり投げることはできている。肩自体も、それなりに強い部類とみて良いだろう。

 走力も守備力も発展途上ではあるが、持っている走力・肩の強さは確か。プロでも高いレベルで、勝負して行ける可能性を秘めている。


(打撃内容)

 思いっきりの良いフルスイングが魅力も、それほど長打で魅了するといった感じはしない。むしろ、ボールになるような球まで捉えてヒットにしてしまう、しぶとさや喰らいつく姿勢の方が目立ってしまうぐらいで。

<構え> ☆☆☆★ 3.5

 少しクローズ気味に構え、グリップは高めに添えています。腰の据わり具合・全体のバランスはそれなりで、両眼で前を見据える姿勢も悪くない。

<仕掛け> 早め

 投手の重心が下る時に動き出す、「早めの仕掛け」を採用。対応力を重視した、アベレージヒッターに多くみられる仕掛けです。バリバリの強打者に見える選手ですが、実際は対応力に重きを置いていられるとみられます。

<足の運び> ☆☆☆★ 3.5

 足を上げて、真っ直ぐ踏み出してきます、。始動~着地までの「間」はあるはずですが、ステップが少し狭めで足を下ろすのが若干早い気がします。始動の早さの割には、あまり「間」とれていないのはもったいないです。

 また真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でもさばきたいタイプ。踏み込んだ前の足もブレずに止まっているので、低めの球や逃げてゆく球にも喰らい付けます。神宮大会決勝の広陵戦では、ボールゾーンに落ちてゆくカーブなどを拾うことができていたのは、この足元が我慢できていたからだと考えられます。

<リストワーク> ☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備である「トップ」を作るのは早めにできており、速い球に立ち遅れる心配は無さそう。スイングは、上から振り下ろしてくるインサイドアウトのスイング軌道。そのため、インパクトまでロスなくボールを捉えられます。しかしその反面、バットのしなりを生かしたスイングではないので、木製バットで力のある球を遠くに飛ばせるかどうかには疑問が残る部分も。見た目の強打者ぶりのわりに長打が少ないのは、このスイングにも原因があるのかもしれません。

 インパクトの際にも、少しヘッドが下り気味なので打ち損じも少なくはありません。それでも大きな弧を描いて、最後までしっかり振り切ってくるので、打球は強烈です。気になるのは、スイングの際に力が入り過ぎているために、打球が上がり難いのではないかと感じました。もう少しリラックスして、力を入れる瞬間と抜き加減のメリハリを身につけたいところです。

<軸> ☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げは比較的安定しているので、目線は大きくは動きません。体の「開き」も我慢できていますし、軸足も比較的地面から真っ直ぐ伸びているように見えます。強打者なので、もう少し内モモの筋肉に強さがあるのかなと思ったのですが、現時点ではそれほど際立つものは感じられませんでした。

(打撃のまとめ)

 荒々しいイメージとは違い、始動は早めでスイング軌道もインサイドアウトで確実性を重視したスイングになっています。しかし、地面に足を下ろすのが早めで「間」が思ったほどとれていなかったり、スイングの際に力み過ぎて打ち損じが多かったりと、別の部分でロスしているのは残念です。元々持っている資質は素晴らしいので、そういった部分を改善して行ければ非凡な才能を素直に結果に結びつけて行けるのではないのでしょうか。


(最後に)

 足も肩も打力も、全ての資質が高い可能性に満ちた素材です。しかしまだ、それを充分に活かしきれていません。それらをうまく引き出せるように導いてあげられたら、プロでも真に三拍子揃った選手になれるだけの器があると言えるでしょう。問題はそれを、高校の時点である程度形にできるか? そこに、高校からの指名は懸かっているように思われます。ぜひそういった部分がどう改善されてきているのか? 選抜の舞台~夏の大会に向けて注視して行けたらと思っております。


(2021年秋 神宮大会)