22ky-5
野田 海人(九州国際大付3年)捕手 174/78 右/右 | |
彼が2年春だったか生で見た時には、もっとイケイケでガンガンゆくタイプだったような記憶がある 野田 海人 。最終学年における責任感なのか? ドラフト候補としての重圧なのかわからないのだが、元来の積極性が薄れてしまって残念な最終学年だった。 (ディフェンス面) チームの主将として、しっかり周りに指示の出せる捕手。ミットを投手に示し下げないので、投手としては的をつけやすい選手ではないかと。フットワークやワンバウンド処理などでも、機敏に動ける足回りや反応の良さは感じられます。 昨秋の神宮大会では、1球1球立って返球するなど雑だった送球にも丁寧にやろうという変化が見られました。しかし、最終学年では再び座ったまま返球。それはそれでリズム重視でありなのですが、根本的に投手に対する返しが雑なように感じられます。リードも意図が感じられず、このへんはプロ入り後学ばないと行けないことは多いように思えます。 最大の売りは、塁間1.85秒前後~1.9秒台前半で到達する送球にあります。投手としても146キロの速球を投げ込める地肩の強さもあるのですが、普段からあまり素早く投げる練習をしていないのか? 捕ってから投げるまでの動作が、地肩の強さの割には時間がかかる印象があります。元来動ける選手なだけに、余計にもったいなく感じます。一つ一つの肉体的なポテンシャルは感じますが、捕手としてのきめ細やかさ・思考力などなど、かなり時間がかなる素材だろうなとディフェンスに関しては感じられました。 (打撃内容) 下級生の頃から、強打の捕手として活躍しました。しかし、選抜に引き続き夏の甲子園では、7打数1安打 と、全国レベルでのアピールに物足りなさを感じます。 <構え> ☆☆☆☆ 4.0 前の足を軽く引いて、カカトを浮かせて構えます。グリップを高めに添えた強打者スタイルで、腰の据わり具合・両眼で前を見据える姿勢・全体のバランスと取れた良い構えだと思います。 <仕掛け> 遅すぎ 投手の重心が下る時に、開いていた足をベース側につま先立ちします。本格的に動き出すのは、リリース直前という「遅すぎる仕掛け」を採用。日本人のヘッドスピードや筋力を考えると、このタイミングでの始動で、プロのレベルの球に対し木製バットで対応するのは厳しいと考えます。 <足の運び> ☆☆☆ 3.0 足を小さくステップさせて、真っ直ぐ踏み出してきます。始動~着地までの「間」が短く、狙い球を絞りその球を逃さない「鋭さ」が求められます。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でもさばきたい意志の現れかと。 踏み込んだ足も、なんとかブレないで止まっています。そのため、逃げてゆく球や低めの球にも、食らいついて行けるタイプだと思いますし、実際センターから右方向への打球も少なくありません。 <リストワーク> ☆☆☆ 3.0 打撃の準備である「トップ」の形は早めに作れており、始動の遅さをここで補います。腰が早く開いて、少し遠回りにバットが出てくる傾向が以前からあり変わっていません。それでも、バットの先端であるヘッドは立っているので、広い面でボールは捉えられます。それだけタイミングさえ合えば、フェアゾーンに飛びやすいインパクトではあります。 以前ほどのスイングの孤の大きさや、きっちり振り抜くという部分は薄れてきました。このへんが、最終学年打撃で伸び悩んだ部分ではないかと。 <軸> ☆☆☆★ 3.5 足の上げ下げは小さいので、目線の上下動は小さめ。体の開きもなんとか我慢できているのですが、足元が少し窮屈なのは気になるところです。 (打撃のまとめ) 現状は、打てるポイント・幅というのは非常に狭いのではないかと感じられます。スイングも以前ほど思いっきりの良さ・スイングの大きさも無くなり、大きくはいじっていないのですが退化しているようにすら感じられました。きっとこれは、主将や捕手としてプレーすることで、充分に打撃練習に時間や意識が割けなかったのかなといった印象です。もう一度打撃に関しては、プロ入り後一から見直さないと行けないのではないかと。 (最後に) 下級生の時点では、持っている資質は 松尾 汐恩(大阪桐蔭-DeNA1位)あたりと大差はなかったように思えました。そういった才能的な部分には良いものを感じますが、その一方でそれを活かすための 思考力・技術・取り組み などに、私は疑問を感じた最終学年でした。そのため、下級生の頃からの成長を感じられなかった最終学年だったのではないかと評価します。プロの指導や環境で、攻守に磨かれることを願っています。 蔵の評価:☆ (下位指名級) (2022年夏 福岡大会) |
野田 海人(九州国際大付3年)捕手 174/75 右/右 | |
松尾 汐恩(大阪桐蔭)と共に、大会前までは全国でも屈指の捕手として位置づけられていた 野田 海人 。しかしこの選抜では、ディフェンスに神経を傾けたためなのか? 元来のイケイケの打撃も地味な結果に終わり、投手として146キロを記録した強肩も陰を潜めたまま甲子園をあとにした。 (ディフェンス面) 下級生からチームの中心選手として活躍してきた選手だけに、しっかり周りに指示を出せる捕手です。それほどきめ細やかなプレーをするといった感じではないのですが、俺についてこい的な選手ではないかと。ミットをしっかり示し、ボールを捕球するときにもミットはブレません。元々フットワークなどの足回りがよく、ワンバウンドするような球にも下から素早くグラブが出てきます。そういったキャッチングに関しては、一定の評価できそうです。 気になるのは、秋は投手として146キロを記録していた強肩。しかし、この選抜では登板は一切なく、イニング間での送球でも魅せる場面が少なく地味なタイムにとどまります。元来であれば、1.8秒台中盤ぐらいで送球できる選手であり、何処か肩・肘の状態が芳しくなかったのかもと邪推してしまいます。それでも全体の内容としては、ディフェンスに関しては一冬越えて、より捕手らしくはなってきたのかなと思える部分も。送球の不安が解消されるのであれば、元々能力からすれば充分に高校からの指名を意識できるだけの能力を持っています。 (打撃内容) 元来は「打てる捕手」として、打者としてもそれなりに評価できる選手です。選抜では5番打者として打席に入っていたものの、僅かに1安打にとどまります。ディフェンスに神経を傾ける反面、下級生のときのような攻撃的な打撃が陰を潜めてしまっていたのは残念でした。元来は、全国レベルの投手でも苦にしない高い対応力が売りで、大きな大会でも実績を残してきました。 <構え> ☆☆☆★ 3.5 スクエアスタンスで足を揃え、グリップの高さは平均的。腰の据わり具合・両眼で前を見据える姿勢・全体のバランスと、全体に的に適度にまとまった構えになっています。前足を引いてカカトを浮かし、グリップを高めに添えていた秋とは、構えに一定の変化が見られました。 <仕掛け> 遅すぎ 投手のリリース直前に動き出す、「遅すぎる仕掛け」を採用。そのためボールを極力手元まで引き付けてから降り出すのですが、日本人の筋力・ヘッドスピードでプロのレベルの速さ・キレに木製バットで対応するのには余裕が無さすぎる気はします。その辺は、秋から改善されていませんでした。 <足の運び> ☆☆★ 2.5 足を少しだけ浮かし、真っ直ぐ踏み出してきます。始動~着地までの「間」がないので、狙い球を絞りその球を逃さないことが求められます。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でもさばきたいタイプか。秋はもう少し、しっかりベース側に踏み込むインステップだった記憶があります。 気になるのは、踏み込んだ足元がインパクトの際に動いてしまっていたこと。秋はなんとか我慢できていたのですが、引っ張りにかかって「開き」が充分我慢できていなかったように思えます。そのため逃げてゆく球や低めの球に対し、充分に対応できていなかったのではないのでしょうか。 <リストワーク> ☆☆☆ 3.0 打撃の準備である「トップ」を作るのは自然体で力みがないのは良いのだが、バットを引くのが遅れないように注意したい。バットの振り出し自体は、少し腰の開きが早く遠回りに出てくる。またスイング軌道が、波打ってしまっていた。 それでもインパクトの際には、バットの先端であるヘッドを下がらないようにレベルスイングを意識。それだけボールを広い面では捉えられ、打球がフェアゾーンに飛びやすいのでは? 大きな弧を描き、最後までしっかり振り切れてはいる。 <軸> ☆☆☆ 3.0 足の上げ下げが小さいので、目線の動きは小さめ。軸足も地面から真っ直ぐ伸びて、安定感は感じさせる。ただし、足元がブレてしまい、「開き」が我慢できていないのは残念だった。 (打撃のまとめ) 引っ張りにかかっていたせいか? 足元が我慢できず動いてしまっていた。そのため「開き」が早くなり、ボールを引っ掛けたり、波打ったりしていたのだろう。また元々の始動の遅さから、動作全体に幅が無く、どうしても打てるポイントは限られていた。打撃の資質が低いとは思わないが、上のレベルを想定すると課題も少なくない。 (最後に) 秋までの内容からすれば、☆☆(中位指名級)をしても不思議ではないほどの選手だったが、この選抜での送球の不安や打撃の不調で、指名確実という領域ではなかったと言わざるえない。高校からのプロ入りを確実にするには、この送球の不安の解消と打撃でのアピールが不可欠。それが夏までにできれば、再び高校球界を代表する捕手として、評価が浮上することになるのではないのだろうか。 蔵の評価:追跡級! (2022年 選抜大会) |
野田 海人(九州国際大付2年)捕手 174/75 右/右 | |
昨年春季九州大会で 野田 海人 を始めて見たときの印象は、福岡工大城東時代の 梅野 隆太郎(阪神)を見たときと似たような感覚だった。肩の強さ・フットワークの動きの良さ・打力・走力なども高いことなど、高校時代の梅野に体型含めて良く似ている気がしたのだ。 (ディフェンス面) チームの主将でもあり、周りにしっかり指示を飛ばせるキャッチャーです。とくにミットをしっかり投手に示すので、的をつけやすいのではないかと。またしっかりミットを動かさずに捕球できるので、審判からもストライクを呼び込みやすいように思えます。普段はそれほど動きまわる捕手ではないものの、ワンバウンド処理への反応やフットワークもまずまず。ことキャッチングに関しては、大きな欠点は感じません。 1球1球立って返球するなど、丁寧なプレーを心がけようとしています。春見た時は、立って返球する割に投手への送球が乱れたりと根本的に雑な一面が見え隠れしていました。そういった部分も、この半年間で改善されてきたのではと。特に2年春の時点で、ベース付近でも勢いが落ちない送球は目立っていました。マウンド上がれば140キロ台を連発できる地肩の強さは健在で、1.85秒前後~1.9秒前後で送球できるなど、送球に関してもドラフト候補でも上位で、制球も水準以上のものがあるのではないか見ています。本質的に細かい洞察力や投手のちょっとした変化に気がつくようなキメ細やかさがあるかはわかりませんが、ディフェンス力はプロを意識できる領域に入ってきていると言えるのではないのでしょうか。さらに意欲的に夏まで取り組めれば、ディフェンス面でも推せる選手に育って行けるかもしれません。 (打撃内容) 旧チームでは3番打者を、新チームでは5番を担っています。どの大会でも安定して結果を残しており、長打で魅了するタイプではないものの、高いレベルの相手でも対応できる打力を持っています。 <構え> ☆☆☆★ 3.5 前の足を軽く引いて、カカトを浮かせて後ろ足に重心をかけて立っています。グリップは高めに添え、背筋を伸ばしつつ、両眼で前を見据える姿勢や全体のバランスは並ぐらいでしょうか。 <仕掛け> 遅すぎ 投手の重心が下る時にベース側につま先立ちするのですが、本格的に動き出すのはリリース直前という「遅すぎる仕掛け」を採用。日本人の筋力やヘッドスピードで、プロレベルの投手の球を木製バットで対応するのには少々厳しいのではないかといったタイミングです。ベース側につま先立ちしてからでも良いのですが、幾分本格的に動き出す動作を早めにしないと動作に余裕が持てません。 <足の運び> ☆☆☆ 3.0 軽く足をあげて、ベース側に踏み込んできます。始動~着地までの「間」がないので、狙い球を絞りその球を逃さない鋭さが求められます。またインステップして来るように、意識は外角寄りではないかと。 踏み込んだ前の足は、インパクトの際にもなんとか我慢。そのため、逃げてゆく球や低めの球に対しても、開きを我慢してついて行くことはできています。 <リストワーク> ☆☆★ 2.5 打撃の準備である「トップ」の形は早めに作れており、始動の遅さは補えています。腰が早く開いて、バットも少し遠回りにでてきてロスを感じます。それでも踏み込んだ足が止まることで、開きはある程度のところで止まります。バットの先端であるヘッドは下がらないので、広い面でボールを捉えフェアゾーンにボールが飛びやすいのかと。大きな弧を描きしっかり振り切って来るので、打球は強いものがあります。 <軸> ☆☆☆★ 3.5 足の上げ下げは小さいので、目線の上下動はそれほど大きくは動きません。体の開きも、なんとか我慢できています。気になるのは、軸足の位置が適正な場所ではないせいか? スイングする際に軸足を後ろに引いてからボールをさばいている点でしょうか。センターから右方向には後押しになりますが、とっさに内角球を投げられた時に対応できるのかには不安が残りました。 (打撃のまとめ) 対応力の高い打撃を魅せているので、もっとオーソドックスなスイングをしているのかと思っていました。しかし動作を見る限り、外角中心だったり、打てるタイミングなども限られる打ち方をしています。その代わり、打てるゾーンの球を逃さないで叩けるタイプの打者なのかもしれません。 (最後に) ディフェンスも一定の水準を満たしていますし、打力も捕手としては上位の打力を持っています。おまけに、走力もあって動きの良さもあります。そういった意味では、充分に指名圏内に入ってくる捕手ではないかと思います。少なくても同時期の 梅野隆太郎(阪神)に比べると、この野田の方が高校の段階ではプロに近い位置にいるのではないのでしょうか。問題は、上位指名を意識できるまでの選手なのかどうか? これから1年、どのレベルの選手なのか見極めて行きたいところです。 (2021年秋 神宮大会) |