22ky-31
藤田 大清(花咲徳栄3年)右翼 187/82 右/左 | |
多くのプロ野球選手を輩出している花咲徳栄高校。特に、打者の育成には定評があり、その後プロ野球でも存在感を示す選手が多い。そんななか、今年の花咲徳栄には、藤田 大清 という注目の大型外野手がいる。 (守備・走塁面) 春季埼玉大会で生で見ていたが、一塁までの到達タイムは左打席から 4.3秒前後とけして速いタイムは出ていなかった。しかし、相手の隙を突く走塁など、走塁への意識は低くない。プロで売りにできるほどではないと思うが、もう少し速いタイムを出せても不思議ではないはず。走力に関しては、平均的 なレベルはあるのではないのだろうか。 試合前練習を見ていても、ドラフト候補の右翼手としては肩・守備共に、こちらも平均的。めっぽう強い感じも、上手い感じもなく、可も不可もなしといった印象を持っている。 この選手の場合は、いかに打撃を評価するかで指名の有無が決まってくるのではないのだろうか。 (打撃内容) 打席では一際目をひく体格の選手で、ひとめでこの選手がドラフト候補であることがわかる。ただし、180センチ台後半の大型打者ではあるものの、それほどオーバー・フェンスで魅了するような強打者ではない。右に左へと打ち返すシュアな打撃で、基本オーバー・フェンスよりも、単打から二塁打・三塁打などが多いタイプではないのだろうか。 <構え> ☆☆☆☆ 4.0 前の足を引いて、グリップは高めに添えます。背筋を伸ばしつつ、両眼で前を見据える姿勢や全体のバランスも良いです。打席でも力みなく、ボールを呼び込めているのは良いところ。 <仕掛け> 遅め 投手の重心が下る時に、ベース側につま先立ちして、重心が前に移動する「遅めの仕掛け」ぐらいの段階ぐらいで、小さくステップして始動してきます。この始動のタイミングだと動作全体が遅すぎる選手が多いのですが、この選手はそこまで遅すぎる感じはしません。 ただし、始動し始めるのは重心が底に到達したあたりなので、本質的には中距離・ポイントゲッタータイプなのかもしれません。 <足の運び> ☆☆☆ 3.0 小さくステップして、真っ直ぐ踏み出してきます。始動~着地までの「間」には時間がないので、いろいろ球に対応するというよりも、狙い球を絞って、その球を逃さないで叩けることが求められます。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でもさばきたいタイプかと。踏み込んだ前の足はしっかり止まっており、逃げてゆく球や低めの球にも食らいつくことができます。 <リストワーク> ☆☆☆☆ 4.0 打撃の準備である「トップ」の形は早めに作れており、始動の遅さを補えているように思えます。バットの振り出しにも無駄はなく、インパクトまでロスなく振り抜けています。それでいて、スイングの弧自体はきっちり大きめに取れているので、鋭い打球が飛ばせるのではないのでしょうか。 <軸> ☆☆☆☆★ 4.5 足の上げ下げが静かで、目線の上下動がほとんど観られないのは理想的。体の開きも我慢できていますし、軸足も地面から真っ直ぐ伸びて安定しています。軸という意味では理想的ですが、あとは軸足の内モモの筋肉が発達して強くなってくると、さらに強い打球が飛ぶようになるのではないのでしょうか。 (打撃のまとめ) 始動が遅く「間」の取り方という意味ではどうかな?と思える部分もあるのですが、スイング軌道と体軸は理想的な選手なので、タイミングが上手くとれるようになると楽しみといった感じで、打撃には良いものを持っている。 (最後に) 生で見た時は、打席での雰囲気は感じられたものの無安打でした。また、守備・走塁でのアピールがさほどでもないことを考えると、指名となると育成指名になるかもしれません。それでも非凡な打撃で頭角を現してくるのか、密かに期待して見守りたいところです。そういった意味では、☆ は付けませんが、育成枠なら面白い素材ではないのでしょうか。 (2022年夏 埼玉大会) |