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金田 優太(ロッテ)内野手のルーキー回顧へ







金田 優太(浦和学院3年)遊撃 181/79 右/左 





「掴みどころがない」 





 攻守に明確なものがなく、それでいて守備でも打撃でもそこそこやれてしまうところにポテンシャルがあるのかもしれない 金田 優太 。一体この選手を、どう理解すれば良いのか考えてみた。


走塁面:☆☆★ 2.5

 一塁までの塁間は、左打席から 4.2秒台 といった感じで、180センチ台の大型選手としては遅くはない。ただし、プロレベルで足を売りにできるのかといったら疑問が残る。ちなみにこのタイムは、ドラフト指名される左打者としては 中の下 ぐらいに相当する。実際に試合の中でも、盗塁を決めることはあまりない。さらに、大型故に動作全体が緩く見えてしまう。

守備面:☆☆☆ 3.0

 動きとしては、スピード感とかキレに欠け緩慢に見えてしまうタイプ。それでも球際でのとっさの反応やグラブさばきなどには、想像以上に対応できるのに驚かれます。また投手としても140キロ前後連発できるように、地肩も悪くありません。しかし、投手としてもサイドスローに近い投げ方をしているせいか? スローイングの形があまり良くない。そういった意味では、送球の精度や球筋などにも不安が残る遊撃手なのだ。





(打撃内容)

 ツボにハマればスタンドインのパンチ力は秘めているものの、基本は右に左へと幅広く打ち返す広角の中距離ヒッターといった感じがします。秋の大会以降、どの大会でも3割以上をマーク。選抜では.647厘と打ちまくり、最後の埼玉大会でも .423厘 と、その打力は健在でした。

<構え> ☆☆☆ 3.0

 前の足を引いて、グリップは下げ気味に添えます。少し前に屈みながら、両眼で前を見据える姿勢や全体のバランスとしては並ぐらい。打席では、リラックスして構えているところは好いところ

<仕掛け> 平均的

 投手の重心が下がりきったところで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。この仕掛けは、ある程度の確実性と長打力を兼ね備えた中距離ヒッターや、勝負強さを売りにするポイントゲッターに多くみられる仕掛けです。追い込まれると、動作を小さくして「遅すぎる仕掛け」に換えてきます。

<足の運び> ☆☆☆ 3.0

 足を少しだけあげて、ベースから離れた方向に踏み出すアウトステップを採用。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。ただし、始動を遅くして小さくチョンとステップさせることも多く、「間」が上手くとれずく、手元でのハンドリングの上手さで、悪く言えば小手先だけで対応できてしまうことがあります。

 アウトステップを採用しているように、内角への意識が強い選手。踏み込んだ足元もブレないので、アウトステップでも甘めの外角球や高めの球には充分対応できます。選抜では山田陽翔(近江)の外角低めの球を、バットを軽く出して外野前に落とすなど、そういった器用さを魅せるときがあります。

<リストワーク> ☆☆☆☆ 4.0

 打撃の準備である「トップ」の形をつくるのは自然体で、力みなくボールを呼び込めているところは好いところ。バットの振り出しにも大きなロスは感じず、大きな弧を描きつつ思いっきって追い込まれるまでは振ってきます。その際にバットの先端であるヘッドが下がらないので、フェアゾーンにボールが飛びやすい傾向にあります。また追い込まれてからの、とっさのハンドリングの上手さは、この選手の最大の持ち味なのではないでしょうか。

<軸> ☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げは静かな選手で、目線の上下動は激しくはありません。体の開きも我慢できていますし、軸足も大きくは崩れません。もう少し内モモの筋肉にも強さが出てくると、強烈な打球が飛ぶようになるのではないのでしょうか。

(打撃のまとめ)

 タイミングの取り方などは上手くないようにみえますが、それでいてバットコントロールの上手さで対応できてしまう天才肌のところがあります。それでも追い込まれるまでは、強くバットを振ってくる思いっきりの良さもあります。まだ、才能のどのぐらいを引き出せているのかわかりませんが、U-15 時からすでに頭角を現してきた実績の持ち主です。


(最後に)

 なんか攻守になんとかできてしまうという意味では、天才肌の選手かもしれません。ただし、その才能が、プロでも通用するものかどうかには正直よくわかりません。特に、プロでもショートができる選手なのかと言われると疑問を残します。大型のアベレージヒッターの傾向も強く、サードや外野手としての魅力には欠けるのは確か。そういった意味では、なかなか置きどころが難しい選手なのかなといった気もしました。タイプ的には、倉本寿彦(DeNA)内野手に、似たタイプなのかなと理解しています。


蔵の評価: (下位指名級)


(2022年夏 埼玉大会)