22ky-3





浅野 翔吾(巨人1位)外野手のルーキー回顧へ







浅野 翔吾(高松商3年)右翼 170/86 右/両 





 「想像を越えてきた」





 この春の四国大会では、足を怪我していたこともあり精彩欠いていた 浅野 翔吾 。そのため評価も控えにし、夏の爆発を待ちたいと寸評でも記した。しかし、この夏の浅野の爆発ぶりは、私の想像を超えるものがあった。夏の香川大会では、初戦の第一打席のファーストストライクを逃さずスタンドイン。甲子園で注目される中でも、3本のホームランを放って魅せた。好い打者だったのは下級生から観てきてわかっていたが、全ての意味で私の想像を越えてきたのには驚かされた。


走塁面:☆☆☆★ 3.5

 ガッチリとしたずんぐりむっくりな体型ながら、一塁までの到達タイムは、右打席から 4.20秒前後(左打者換算で3.95秒)前後とかなり速い。夏の甲子園では、3試合で2盗塁を記録。むしろこの選手は、盗塁で魅了するというよりも、相手のすきを突く、積極的な走塁に好感が持てる。プロで足をガンガン売りにできるほどかは微妙なものの、常に次を想定したプレーができているところには好感が持てる。

守備面:☆☆☆★ 3.5

 打球への反応や落下点までの入りをみていると、中の上 ぐらいの外野手といった感じがします。めっぽう上手いわけではないものの、大きな欠点は見当たりません。地肩自体もかなり強い部類で、プロでも上位クラスの強さはあります。ただし、この夏の送球をみていると怪しい場面も観られるので、単純に遠くに長く投げるのには良いのですが、中継などへの短い距離での素早い送球などには疑問が残ります。そういった意味では、内野へのコンバートを視野に入れるとしたら、慎重に見極める必要がありそうです。


(打撃内容)

 甲子園初戦の佐久長聖戦では、第二打席に内野ファールフライを打ちました。この時の打球が、記憶にないぐらい落ちてこない。この打球だけでも、彼が只者ではないことが伺えました。また、彼を下級生の時から観てきて、本塁打のほとんどが引っ張ったレフト方向への打球。しかし甲子園では、これまで記憶のない右中間の一番深いところに叩き込んだり、センターバックスクリーンに放りなど、新たな可能性を示してくれました。基本的にセンターから右方向の打球は、上がらないタイプだと思っていたので。

<構え> ☆☆☆ 3.0

 前の足のカカトを浮かし、少しクロス気味に構えます。グリップを高めに添えた強打者スタイルで、背筋の強さを感じさせる少し背中が反った立ち方。クローズ気味に構えるために、両眼で前を見据える姿勢や全体のバランスとしては癖があります。それでも、打席での雰囲気は、ただものではない緊張感が感じられます。

<仕掛け> 遅すぎ

 投手がリリースをする直前に動き出す、「遅すぎる仕掛け」を採用。それだけボールを引き付けてから動き出す天性の長距離砲の資質はあるものの、プロレベルであればここまで遅いタイミングだと立ち遅れる心配はあります。

<足の運び> ☆☆☆★ 3.5

 足を小さくステップして、ベース側にインステップして踏み込んできます。始動~着地までの「間」がないので、狙い球を絞り、その球を逃さない「鋭さ」が求められます。ただし、そういった甘い球を逃さない鋭さを持っているのがこの選手なので、このタイミングでの始動でも打撃が成り立つとも言えます。

 ベース側に踏み出すように、外角への意識が強いタイプ。踏み込んだ前の足はしっかり止まって動かないので、外の球や逃げてゆく球にも食らいつくことができますし、甘い外角球ぐらいならば引っ張って長打にも繋げられます。

<リストワーク> ☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備である「トップ」の形は早めに作れているので、始動の遅さをここである程度補うことはできています。基本的に、スイング軌道が少し遠回りに出てくる感じです。それでも内角をさばくときには、インサイドアウトで肘をしぼってスイングもできているので、インステップでも極端に内角が苦手ということは無さそうです。

 インパンクとの際には、バットの先端であるヘッドも下がって来ないので、広い面でボールを捉えフェアゾーンに飛びやすい。何より、スイングの弧が非常に大きくとれ、フォロースルーを使ってボールを遠くに飛ばす技術を持っています。この体格でも打球を遠くに運べるのは、このスイングの弧の大きさとフォロースルーによって打球を運べるからだと言えるのではないのでしょうか。

<軸> ☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げは静かなので、目線の上下動はそれなり。体の開きは我慢できており、軸足は地面から真っ直ぐ伸びて安定しています。特に内モモの筋肉が発達しており、強烈な打球を生み出す原動力になっています。

(打撃のまとめ)

 始動が遅すぎるのやスイング軌道が若干外回りに出てくるので、そういった意味では確実性では少し苦労するかもといった感じはします。しかしそのへんは、充分に改善が可能なレベルだと考えられます。

 体は小さいのですが、ボールを引き付けてからの始動・フォロースルーを使って打球に角度をつけて飛ばせること、軸足の内モモの強さなどを考えると、メカニズム的には中距離打者というよりも、体が小さくても長距離打者のそれだとわかります。あまり合わせにゆかず、今の型を大切にして長打力を全面に出して突き進んで頂きたいと願うばかりです。打者としては、山田 哲人(ヤクルト)クラスの打者になっても、不思議ではありません。


(最後に)

 まるで30歳ぐらいの選手がプレーをしているような落ち着きようがあり、大舞台だろうと自分の能力を素直に発揮できる心身の充実さは、高校生としては際立つ異彩を放っています。上背の無さから、こういった打者が何処までプロで長打を売りにして行けるのかという未知数な部分はあるものの、ある意味この手のタイプとしては究極系でもあり、今後参考になりそうです。

 右方向でも叩き込めることを示し、常に私の想像を越えてきた選手だと言えます。下級生から観てきてあまりピンと来たことは少ないのですが、本物だと認めざるえないです。これ以上のものを、高校生に望むのはナンセンスだと言えるでしょう。


蔵の評価:☆☆☆ (上位指名級)


(2022年夏 甲子園) 










浅野 翔吾(高松商3年)右翼 171/85 右/両 





 「やや精彩を欠いていた」





 春季四国大会の準決勝・鳴門高校戦での 浅野 翔吾 は、やや精彩に欠いていた印象を受けた。というのも、県大会で右のふくらはぎを痛めて、足の状態がおもわしくなかったようなのだ。それでも、捉えた時のグシャッという音は独特で、並の高校生ではない。


走塁面:☆☆☆ 3.0

 一塁までの到達タイムは、右打席から4.3秒前後(左打者換算で4.05秒前後に相当)で走り抜けるなど、プロの基準レベルの脚力を持っている。足の状態が良ければ、積極的に盗塁も仕掛けて来るなど、夏はさらに万全な状態で、走力のアピールもみたい部分はある。

守備面:☆☆☆ 3.0

 新チームからは、センターを担っていた。しかし、足を痛めたことで四国大会はライトでの出場。足の状態がおもわしくないのか? 打球を全力では追いきれないところはみられた。元来は、打球への勘やキャッチングなどは可も不可もなしといったの外野手だったと記憶している。ただし、この試合でも強肩ぶりは披露しており、地肩はかなり強いとみて良さそうだ。

 バリバリの強打者ながら、守備・走塁の身体能力も一定レベル持っているのがこの選手の強味。とはいっても、売りにできるほどではなく、無難なレベルでまとまっているといった印象ではある。


(打撃内容)

 右にも左にも打ち返すが、特に一発は引っ張ったときに圧巻の打球を飛ばす傾向がある。

<構え> ☆☆☆★ 3.5

 両足を揃えたスクエアスタンスで、前の足のカカトを浮かして構えます。グリップを高く添えて、腰を深く沈めて立ちます。両眼で前を見据える姿勢や全体のバランスとしてはそこそこですが、打席では強打者らしい匂いがプンプンとしてきます。

<仕掛け> 遅すぎ

 投手がリリースを迎える頃に動き出す、「遅すぎる仕掛け」を採用。木製バットで、プロレベルの球速・キレに対応するのには、遅すぎる始動のタイミング。ただし、この選手ぐらい強靭な振りができる選手だと、プロレベルでもこの仕掛けを使いこなせる可能性はあるのかもしれない。始動のタイミングの仕方は、昨夏から変わっていませんでした。

<足の運び> ☆☆☆ 3.0

 足を軽く上げて、真っ直ぐ踏み込んできます。始動~着地までの「間」が短いので、狙い球を絞りその球を逃さないことが求められます。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でもさばきたい意思が感じられます。

 踏み出した足元は、インパクトの際にはブレません。そのため逃げてゆく球や低めの球にも、食らいつくことができます。むしろ、ある程度、ボールとの距離をとってスイングしたいタイプではないかと。昨夏は、アウトステップしていた感じなので、外角もしっかり叩けるように真っ直ぐに踏み込むようにしているのかもしれません。

<リストワーク> ☆☆☆ 3.0

 あらかじめ「トップ」に近い位置に引いてバットを添えているので、打撃の準備である「トップ」自体を作るのは遅れません。始動の遅さを補うことができているのですが、その分リストワークに遊びがなくなり、柔軟性には欠けるきらいはあります。

 バットの振り出しも、少し外角の球をさばく時には遠回りにでてきます。インパクトの際に、バットの先端であるヘッドまでは下がらないので、広い面ではボールを捉えることができます。それだけ、フェアゾーンに飛びやすいのですが、打球に角度がつくのは引っ張った時なのでしょう。

 大きな弧を描きつつ、カッとばすだけの体の強さとヘッドスピードの速さはあります。そういった部分では、並の高校ではないと思うのですが。

<軸> ☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げは小さいので、目線の上下動が少ないのが好いところ。体の開きも我慢できていますし、軸足も地面から真っ直ぐ伸びて安定しています。軸足の内モモの筋肉にも極めて発達しており、強烈な打球を生み出す原動力になっています。しいて言えば、足元が窮屈になり内角のさばきが今はどうなのかな?と思う部分はあります。

(打撃のまとめ)

 苦手な外角球をしっかり叩くために、アウトステップしていたのを真っ直ぐ踏み出すようするようになっています。それが、彼にとって良いのか悪いのかは正直よくわかりません。上半身の使い方などは、昨夏からほとんど変わっていないように感じました。


(最後に)

 四国大会初戦では、長打を放つなど存在感を示せたようです。私が確認した四国大会準決勝では、やや足の状態もよくなかったせいか? 精彩を欠いていたように見えます。ヒットも、やや芯を外れたような三遊間へのヒット一本だったので。

 一発を叩き込めるパワーは超高校級で、その割に守備・走塁も適度にバランスがとれているというのがこの選手の強味。しかし、この四国大会の模様を見る限りは、少し物足りなく見えました。そういった意味では、この春の評価は控えめにして、夏の大会での爆発を今は待ちたいところです。それができれば、中位ぐらいでの指名も期待できそうです。


蔵の評価: (下位指名級)


(2022年 四国大会) 









浅野 翔吾(高松商2年)中堅 170/83 右/右 
 




 「ちょっと平田良介ぽい」





 170センチの上背ながら、ガッチリしたい体格から繰り出される打球の凄みで、高校球界を代表する強打者として注目されている 浅田 翔吾 。イメージ的には、平田 良介(中日)を彷彿とさせるタイプといった気がします。


走塁面:
☆☆☆ 3.0

 一塁までの到達タイムは、右打席から4.3秒前後。これを左打者に換算すると、4.05秒前後に相当するタイム。適度に動ける走力はありそうだが、打順などの役割の関係で現在はそれほど走力を全面に出してくるわけではない。現状は、中の上 ぐらいの脚力とみておくのが無難なのかと。

守備面:
☆☆☆ 3.0

 打球への反応、落下点までの入りやキャッチングなどは、可もなく不可もなしといった感じで、下手な選手ではありません。旧チームではライトを守っていましたが、秋の新チームでは中堅手として出場。夏の甲子園で見た時は、肩は平凡かなと思ったのですが、試合前練習の模様を見る限り、中の上 ぐらいの肩はあるのかなといった感じはしました。一応プロフィールでは、遠投110メートルとのことで。来夏までには、守備も更に磨きがかかってくるのではないかとみています。

 現状、驚くような走力や守備を魅せるわけではありません。それでもプレーに雑なところはありませんし、能力を出し惜しむようなタイプでもありません。そういった意味では無難ではありますが、丁寧にやっていて好感が持てる選手ではあります。





(打撃内容)

 すでに、高校通算30本以上を放ち、右にも左にも打ち返すことができます。特にホームランは、レフト方向に巻き込んだ時に多いようです。

<構え> 
☆☆☆★ 3.5

 ほぼ両足を揃えたスクエアスタンスですが、前の足のカカトを浮かして構えます。グリップを高めに添えた強打者スタイルで、背筋を伸ばしつつ両眼で前を見据える姿勢や全体のバランスは並ぐらいでしょうか。打席では集中力を感じさせ、強打者としての雰囲気がプンプンとして来る感じです。

<仕掛け> 遅すぎ

 重心が下る時につま先立ちして、再度本格的に動き出すのはリリース直前という「遅すぎる仕掛け」を採用。日本人のパワーやヘッドスピードを考えると、木製バットでこのタイミングで始動するのは正直厳しいかなと思える部分はあります。ただし、彼のような尋常ではない体の強さがあるので、壁に当たるまではこのスタイルで良いのではないのでしょうか。

<足の運び> 
☆☆☆ 3.0

 小さく足を上げて、ベースから離れた方向にアウトステップしてきます。始動~着地までの「間」は短いので、狙い球を絞り、その球を逃さないことが求められます。アウトステップするように、内角への意識が強いのではないかと。踏み込んだ前の足はしっかり止まっているので、甘めの外角球や高めの球ならば、右方向にも打ち返すことができそうです。

<リストワーク> 
☆☆☆ 3.0

 あらかじめ「トップ」に近い位置にバットを引いて構えているので、速い球に立ち遅れる心配はありません。構えた時には力みは感じませんでしたが、グリップをあらかじめ引きすぎるとリストワークに遊びがなくなり、柔軟性が損なわれる恐れがあるので注意したいところです。

 バットの振り出しは、けしてインサイドアウトに出てくるタイプではありません。内角の球に対しては、アウトステップするのも相まって素直にバットが出てくる感じ。外角の球には、少し遠回りにバットがまわってきます。それでもインパクトの際には、ヘッドが下がらず広い面でボールを捉えられています。外角の球に対しては、それほど打球に角度が付くタイプではないのかもしれません。

 それでも大きな弧を描きつつ、パワフルなスイングを魅せます。まともに捉えれば、ピンポン玉のように打球が飛んでゆきます。

<軸> 
☆☆☆☆ 4.0

 足の上げ下げは小さいので、目線の上下動は小さめ。体の「開き」も我慢できていますし、軸足にも強さと安定感があります。これがひとつ、強烈な打球を生み出す原動力になっています。

(打撃のまとめ)

 引っ張った時の打球には距離はでますが、右方向への打球ではオーバー・フェンスできるのかは微妙です。そういった意味ではパワフルですが、天性のスラッガーなのかどうかは疑問が残ります。打打者としてのイメージとしても、平田良介タイプと見るのが合っているのかもしれません。


(最後に)

 体は小柄なのですが、守備・走力とのバランスは取れているので、高校からの指名の可能性は高いのではないかと見ています。ただし、この体格なのも加味すると、上位指名されるのかと言われると今のところはどうなのかなと思える部分はあります。体格をものともしないぐらいの、圧倒的なパフォーマンスをぜひ魅せて頂きたいものです。


(2021年秋 香川大会)