22ky-26





三塚 琉生(巨人)外野手のルーキー回顧







三塚 琉生(桐生第一3年)中堅 182/88 左/左 
 




「佐藤輝明っぽいな」





 今年の候補の中でも、阪神の主砲・佐藤輝明 に最も良く似たタイプとなると、この 三塚 琉生 ではないかと。独特の脆さはある一方で、当たった時の飛距離は桁違いといった両極端な選手なのだ。。


(守備・走塁面)

 この夏の模様を3試合ほどみたが、一塁到達タイムに参考になるものはなかった。ゴロでのアウトもあるのだが、力を緩めてしまっていて参考にならない。試合を見ている限り、足を売りにするとかそういったプレースタイルではないようだし、走力自体あるのかは、正直よくわからなかった。

 3試合のうち2試合で打球の判断ミスをするなど、打球勘に関してはかなり怪しいのではないかという気がする。投手としてもマウンドに下がる選手で、135キロ以上はコンスタントに出ているような力のあるボールを投げ込んでいた。肩はそれなりに強いと思うのだが、中継への返球も丁寧ではないので、守備に関しては一から教えないと行けないレベルなのではないのだろうか。現状は、身体能力はともかく、プロではレフトあたりの人材と見ておくのが無難ではないのだろうか。





(打撃内容)

 冒頭にも書いたように、雰囲気的には 佐藤輝明(阪神)に似たタイプです。この夏の成績は、15打数7安打 2本 7点 打率.467厘。2本の本塁打は、群馬でも上位の140キロ前後出せる好投手から。特にライトに放った場外弾は、桁外れな打球でした。見ているとストレートをキッチリ叩いているというよりも、スライダーやカット系など、少し球速を落とした球を捉えるのが上手い反面、縦系の変化には脆い感じがしました。

<構え> ☆☆☆ 3.0

 前の足を少しだけ引いて構え、後ろ足にやや体重を預けて立っています。腰はあまり沈めずにグリップを高めに添えていますが、両眼ではしっかり前を見据えられています。気になるのは、構えた時に体を揺らさないでいるので全体的に力みとフォーム全体に固さが感じられるところでしょうか。

<仕掛け> 平均的

 投手の重心が沈みきったところで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。ある程度の確実性と長打力を兼ね備えた中距離打者や、勝負強さを売りにするポイントゲッターに多く見られる始動のタイミングです。

<足の運び> ☆☆☆ 3.0

 足を引き上げて、ベース側に踏み出すインステップを採用。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応できます。ベース側に踏み出すように、外角への意識が高いのかもしれません。

 踏み込んだ足元は、インパクトの際に動かずに我慢。そのため「開き」は我慢できているので、外に逃げてゆく球や、低めの球にも食らいつくことができています。

<リストワーク> ☆☆☆ 3.0

 打撃の準備である「トップ」をしっかり作れないまま振り出して来るので、あまりタイミングの取り方が上手くない選手ではないかと。また、バットを引くのも少し遅めなので、本当に速かったりキレのある球には差し込まれやすいかもしれません。ただし、修正・改善は充分できる範囲かと。

 良いところは、バットの振り出しに癖がなく、インパクトまで無駄なくヘッドを走らせることができること。タイミングの取り方を改善できれば、打ち損じも減って率も上がってゆく可能性は秘めています。スイングの弧が凄く大きいとか、フォロースルーを上手くとれているとか、そういった技術的に特別なものは感じられません。それでも、あれだけの飛距離と打球を飛ばせるのは、特別な資質を持っているからなのではないのでしょうか。

<軸> ☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げはあるので、目線の上下動は並ぐらい。しかし上半身の力を、しっかり下で受け止めていることができているのは好感が持てます。あわよくばステップの幅がもう少し取れると、さらに「体重移動」やボールを線で捉えられるようになり、打撃の幅広がってゆける気がします。

(打撃のまとめ)

 まだまだ固さや脆さみたいなものは感じるのですが、スイング軌道に癖がないのと、受け止める下半身がしっかりしているので、「開き」を我慢できているところは良いところ。今後柔軟性を養いつつ、タイミングの取り方を掴めると大化けする可能性は秘めているのではないのでしょうか。その打球の凄み、飛距離は、今年の高校生の左打者でも屈指のものがあるといえると考えられます。


(最後に)

 ただし、夏の予選から気にして見ていたものの、正直ピンと来るものはありませんでした。それは、やはり対応力という意味で、特別なものが感じられなかったから。圧倒的な破壊力を示す部分を評価するか、当て勘などの対応力を重視するかで、評価が別れるタイプではないかと思います。そういった意味では、私はあまり好みの選手ではないというのが率直なところ。それでも技術的には癖がなく、欠点が許容範囲に留められているところに、この選手の可能性は感じます。あまり入れ込んで高い評価をしすぎるのは怖い気がしますが、それなりには評価すべき選手ではないかと考えます。


蔵の評価:☆☆ (中位指名級)


(2022年夏 群馬大会)