22ky-14





山浅 龍之介(中日)捕手のルーキー回顧へ







山浅 龍之介(聖光学院3年)捕手 175/82 右/左 





「攻守に洗練されている」 





 選抜組の中でも、そのスローイング・地肩の強さは一番だったのではないかと思えた 山浅 龍之介 。 ただ、そこまで高く評価しなかったのは、捕手としては少々プレーが荒っぽく感じられたから。それから彼は、どのように変わってきたのだろうか。


(ディフェンス面)

 投手にミットを示したあと下に下げる癖はありますが、そこまで気にするほどではありませんでした。キャッチングも全般に悪くないですし、ワンバウンド処理も素早く反応し対応できます。時々、性格的にムラッ気が出て粗くなったり、執拗に内角を使いたがったりするリードなども見え隠れしますが、だいぶ夏はその辺も角が取れてきたように思います。ただ、精神的に余裕が無くなってくると、そういった部分は見え隠れする時はあります。それでも、平時でのプレーでは、高校生としては大人びたプレーをする選手だなと感じます。レベル的には、かなり高い水準にすでに来ていると言えるでしょう。

 最大の売りは、難しい体勢からでも、小さなモーションで素早く投げるスローイングにあります。それを支えるのは、地肩の強さにあると言えます。タイムも、速い時には1.7秒台に到達し、安定して1.8秒台を刻んできます。送球の精度も高く、強くて刺せるという意味では、今年の高校球界でも1,2を争う存在ではないのでしょうか。性格的に投手から信頼される捕手になれるかは微妙ですが、高校生捕手としてはA級の総合力の持ち主だと評価できます。


(打撃内容)

 けして長打で魅了するタイプではないのですが、振り出しが鋭く甘い球を逃しません。点差があっても、自分で決めてやろうとは思わず、あとの打者につなげるように四球を選べていた点は好感でした。

<構え> ☆☆☆★ 3.5

前の足を軽く引いてカカトを浮かし、グリップの高さは平均的。腰の据わり具合・全体のバランスとしては平均的ですが、両眼で前を見据える姿勢は良いです。全体的には選抜の方が良い形には見えたものの、打席では緊張感があり高い集中力が感じられます。

<仕掛け> 遅すぎ

 投手の重心が下る時にベース側につま先立ちし、投手がリリースを迎えるあたりで再度動き出す「遅すぎる仕掛け」を採用。ここまで遅いタイミングでの始動だと、日本人の筋力やヘッドスピードを考えると、プロレベルの球に対応するのには遅すぎるように感じます。

<足の運び> ☆☆☆ 3.0

 小さくステップして、真っ直ぐ踏み出してきます。始動~着地までの「間」がないので、狙い球を絞り、その球を逃さない「鋭さ」が求められます。ただし、そういった打撃には、彼の場合は合っているようには見えます。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でもさばきたいタイプなのかと。

 踏み込んだ前の足のつま先がしっかり閉じられ、インパクトの際にもブレません。そのため、逃げてゆく球や低めの球にも食らいつけます。

<リストワーク> ☆☆☆★ 3.5

 始動が遅い割にバットを引くのが遅いので、一定レベルの以上の速い球には少し苦労するかもしれません。「トップ」を作るのが遅いというよりも、あまり「トップ」を作らないまま振り出しているように思えます。

 バットの振り出しは、上からコンパクトに振り下ろすインサイドアウトのスイング軌道です。特に真ん中~内角寄りの球を引っ張るのには、非常にロスがありません。あとは、外の強い球をキッチリ叩く時に、バットのしなりを活かせないので何処までプロの強くて速い球に対応できるのかが鍵となります。

<軸> ☆☆☆☆ 4.0

 足の上げ下げが小さく、目線の上下動は少なめ。体の開きも我慢できていますし、軸足も地面から真っ直ぐ伸びて安定しています。非常に、軸はしっかりしています。

(打撃のまとめ)

 甘い球が来たら、スパンと振り出せる「鋭さ」は実に爽快です。始動が遅すぎるのと、バットのしなりを活かせていないスイングなので、その点でプロの球に対し何処まで対応できるのかが一つ気になるところではあります。しかし根本的な打撃は、捕手としても上位レベルのものがあります。


(最後に)

 持っている捕手としての能力は高いのですが、捕手としての性格的な適正はどうなのか? 打撃にも良いものがあるのですが、プロでの打撃という部分でも、多少気になるところがあります。それでも高校生としては、攻守にハイレベルなまとまっています。それだけに、春よりもワンランク評価を引き上げても良いのではと感じました。中位ぐらいで指名するのであれば、充分良い指名だと感じられました。上手くプロ仕様に変えてゆくことができれば、プロでも正捕手まで昇りつめられるかもしれません。


蔵の評価:☆☆ (中位指名級)


(2022年夏 甲子園)


 








山浅 龍之介(聖光学院3年)捕手 175/76 右/左 
 




「選抜屈指の強肩捕手」 





 今年の選抜大会に出場していた捕手の中でも、一番の強肩捕手と呼べるのが、この 山浅 龍之介 だった。打撃も一定レベルあり、攻守にバランスのとれたドラフト候補だといえよう。


(ディフェンス面)

 投手にミットを軽く示したあと、グラブを地面に下げて構えます。ただし、グラブを下げているのが、投手が投げ始める前なので、それほどワンバウンド処理に立ち遅れるといったことは無さそう。ただし、投手としては的をつけやすいかは微妙です。それでもキャッチングも悪くありませんし、ワンバウンド処理も適度に動けてミットも下から出て動きや反応が悪い選手ではありません。

 リードは内角を執拗に使いたがる部分はありますが、対戦が限られる高校野球において、相手の穴がハッキリしている場合にはそれもありのようにも思えます。ただし、全般的に動きも技術も低くないのですが、プレーが少し雑かなといった印象は受けました。そのへんで、投手の気持ちを察したり、相手打者の心理を読み取るといった部分でどうなのかな?という不安は残ります。ただし、素材的にはプロを意識できるものは持っているのではないかと。


(打撃内容)

 チームの5番打者を担い、甲子園では 8打数2安打。しかし、アウトになっている打席でも、バットの芯でボールを捉えていることが多く、シャープに振り出して来るイメージです。長打で魅了するタイプではないのですが、一定レベルの打力は有しているのかと。

<構え> ☆☆☆☆ 4.0

 前の足を引いて、グリップの高さは平均的。腰の据わり・両眼で前を見据える姿勢・全体のバランスと取れていて、構えに大きな欠点は感じません。

<仕掛け> 遅すぎ

 引いていた足をスクエアに戻し、本格的に動き出すのはリリース直前という「遅すぎる仕掛け」を採用。日本人の筋力・ヘッドスピードを考えると、プロレベルのキレや球速を木製バットで打ち返すには遅すぎる始動のタイミングかと。幾分、全体の始動を早めた方が動作に余裕が生まれそうです。

<足の運び> ☆☆☆ 3.0

 小さくステップして、真っ直ぐ踏み出してきます。始動~着地までの「間」がないので、狙い球を絞りその球を逃さないことが求められます。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でもさばきたいタイプかと。踏み込んだ前の足は、インパクトの際にブレません。したがって逃げてゆく球や、低めに球にも食らいつくことはできています。

<リストワーク> ☆☆☆★ 3.5

 あらかじめ捕手側にグリップを引いているわけではないのですが、バットをあまり後ろに引かずトップをしっかり作らないで振り出すのは少し気になります。ボールの呼び込み力みは感じられないのですが、消化不良のスイングになりやすいのではないかと。

 バットのスイング軌道に癖がないのは良くて、インパクトの際にもヘッドが下がらずシャープに振り抜けています。そういった癖のないスイング軌道は、理想的だともいえます。けしてフォロースルーを使って運ぶとか、大きな弧をとって強烈な打球をといったスイングではないものの、最後までしっかり振り切れていました。

<軸> ☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げが小さいので、目線の上下動は小さめ。体の開きは我慢でき、軸足も比較的安定しています。

(打撃のまとめ)

 始動の遅すぎなのが、全体の動作に影響しているのは気になります。その一方で、スイング軌道が理想的で足元も動かないという、抑えるべきポイントは抑えられているところは評価できます。始動の遅さから、木製バットへの対応やプロレベルのキレには苦労しそうですが、根本的な素材は打者としても悪くないように思えます。


(最後に)

 攻守にバランスの取れた素材であり、高校からの指名があっても不思議ではありません。少々プレーが雑に見える部分もあり、捕手としての適性の部分でどうかな?と思うところはあります。しかし、そのへんは許容範囲だと考える球団であれば問題はないのかと。個人的には夏まで追いかけてみたいと思いますが、何かしらの形では指名される公算は高いのではないかとみています。


蔵の評価: (下位指名級)


(2022年 選抜大会)