22kp-8





白濱 快起(ロッテ)投手のルーキー回顧へ



白濱 快起(飯塚3年)投手 191/83 右/右 





「将来性では野手かもしれない」 





 下級生までの内容だと、最終学年では 達 孝太(天理-日ハム1位) 投手みたいになるのではないかという期待も高まった。しかし最終学年では、部内の不祥事で夏の大会の出場も危ぶまれたほど。自粛期間が長かったのか? 夏の大会では明らかな調整不足と思われる内容だった。むしろこの夏に光ったのは、彼の野手としての才能の方だった。


(投球内容)

 筑陽学園との夏の対戦では、8回まで5点のリードを保ちながらも、一挙に7失点して逆転され敗れました。投げ込み不足で、スタミナ面でも不安を持っていたのかもしれません。

ストレート 135~140キロ台中盤ぐらい? ☆☆☆ 3.0

 時々指にかかった時には、おっ! と思える球も観られたのですが、抜け球も多くボールの走り・制球ともイマイチでした。ただ、昨年も角度こそ感じられ良くなりそうだという期待はあったものの、制球は当時から不安があったのも確かです。そういった意味では、本当の彼の良い時の投球を、私自身観られないまま終わったのかもしれません。

変化球 スライダー・フォーク・カーブなど ☆☆★ 2.5

 スライダーは、カットボールのように小さくズレるような球でカウントを整えます。滅多に投げないのですが、腕の振りが緩むようなカーブも持っています。またフォークも、ストンと落ちるというよりも、落ちきらずチェンジアップ気味に来ることが多く、まだまだ落差・精度共に発展途上と言えるのではないのでしょうか。

その他

 クィックは、ランナーが一塁などにいると1.1秒前後。ランナーがセカンドなどにいると、1.2秒台に変えてきます。大型ですが、非常にフィールディングの動きがいいし、ボールの執着も強い。牽制のターンなども鋭く、運動神経が根本的に優れているのではないかと。

(投球のまとめ)

 夏の大会では明らかに調整不足であり、下級生の時以上に未完成さを露呈してしまった内容でした。しっかり調整するようになれば、素材は素晴らしいだけに持ち直すことは充分期待できるでしょう。ただし、元々細かい制球力や良い変化球を投げる選手ではないので、そういった部分で実践的な投手に育つのは厳しいのではないかと感じました。もし投手として大成するのであれば、それは、圧倒的に真っ直ぐに、凄みを増したときではないのだろうか。そこに期待して数年様子をみるというのは良いとは思うが、個人的には野手としての才能を推してみたい


(打撃内容)

 昨年から打者としても評判が高かったのですが、最後の夏は 5試合 18打数10安打 2二塁打 1本塁打 1打点 4盗塁 打率.556厘 と圧巻の内容でした。

<構え> ☆☆☆★ 3.5

 前の足を引いてカカトを浮かし、グリップは高めに添えられています。背筋を伸ばしつつ、両眼で前を見据える姿勢や全体のバランスとしては、まずまずといった感じです。凄みは感じないのですが、懐が深く見えます。

<仕掛け> 早め

 投手の重心が下る時に動き出す、「早めの仕掛け」を採用。対応力を重視した、アベレージヒッターに多くみられる始動のタイミングです。

<足の運び> ☆☆☆★ 3.5

 大きく足を引き上げて、真っ直ぐ踏み込んできます。始動~着地までの「間」はとれていますが、タイミングを上手く合わせるためというよりも、大きく足を引き上げて下ろすために、早めに動き出す時間が必要なタイプなのかもしれません。

 また真っ直ぐ踏み出すので、内角でも外角でもさばきたいタイプ。踏み込んだ足元は、引っ張りを意識しているせいか? 若干動きます。引っ張る時にはこれでも良いのですが、右方向の打撃をしようと思うと、しっかり止まる時には止まった方がいいです。そうじゃないと、逃げてゆく球や低めの球に対して苦しくなりますから。しかし現状は、来た球を本能の赴くままに引っ張っているといった打撃に終始しているのかもしれません。

<リストワーク> ☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備である「トップ」の形を作るのは自然体ですが、けして遅れてはいません。何より、トップ自体が凄く深いので、弓矢の弓を強く引くが如く大きな反発力が期待できます。

 バットの振り出しには、インパクトまで大きなロスは感じませんでし。ただし、腰が早く開く傾向があるのは多少気になります。バットの先端であるヘッドは下がっていませんし、フォロースルーも使って打球を遠くに運ぶような動作も見られます。確率はまだ高くないのでしょうが、練習試合では120メートル弾を飛ばしたこともあるそうで、まともに巻き込めた時は体幹の強さも相まって遠くに運べる資質もあるのでしょう。

<軸> ☆☆☆★ 3.5

 大きく足の上げ下げがある選手なのですが、その割に目線の動きは激しくはありません。腰が早く開くのは、逃げてゆく球や低めの球に対してはどうなのかな?という疑問は残ります。それでも軸足も地面から真っ直ぐ伸びて安定していて、軸を起点に回転できていました。

(打撃のまとめ)

 昨年は、大型選手独特の緩さがあって、あまりピンときませんでした。さほど当て勘に特別ものは感じられませんが、甘い球ならば逃さず叩く能力はあります。思ったよりも技術的な欠点もありませんので、バットを振り込んだり、右方向への打撃を覚えたら、対応力もそれなりのレベルまで行けるかもしれません。


(最後に)

 野手としては、なんと行っても190センチを超える体格ながら、フィールディングなどの動きや反応が凄く良いこと。この運動能力は、プロでも内野ができそうな身のこなしです。また、福岡大会で4盗塁を決めていたように、走力はかなり速そうだということ。打撃のミート力も良くなってきましたし、まともに捉えた時の飛距離も期待できる資質があります。

 まぁ常識的には投手として、そのスケールを追求。そこで芽が出ない場合には、野手としての才能を模索して頂きたいと感じました。そのため個人的には、プロで大成するのは投手よりも野手としてなのではと、思うようになりました。そういった可能性に期待して、育成枠指名の選手ですが、 を記してみたいところです。化けた時は、規格外の野手に育つかもしれません。


蔵の評価: (下位指名級)


(2022年夏 福岡大会) 









白濱 快起(飯塚2年)投手 191/83 右/右 





 「同時期の達みたいだ」





 白濱 快起 の投球を見ていると、同時期の 達 孝太(天理-日ハム1位)投手の状況と良く似ているように思える。達は、ここから選抜までに、見違えるほどに成長し1位指名を確定的にした。果たして白濱は、同じような成長曲線を描けるだろうか?


(投球内容)

 191/83 の恵まれた体格から、投げ下ろして来る長身右腕。2年夏は、背番号1を付けて福岡大会の準決勝まで勝ち上がりました。また秋も、県大会の準決勝で敗れました。

ストレート 常時135~140キロ台前半 ☆☆☆ 3.0

 夏の福岡大会では、常時135~140キロ強ぐらいと驚くほどではありませんでした。ボールに角度を感じさせることと、まだまだ良くなりそうな予感めいたものを感じさせてはくれたのですが。コントロールも両サイドに大まかに散らせて来る感じで、それほど細かい制球力はありません。まだ、甘く入った球を痛打される場面も少なくありませんでした。

変化球 スライダー・カーブ・フォークなど ☆☆☆ 3.0

 変化球は、スライダー・カーブ・フォークなど一通りのものは投げてきます。むしろスライダーではなく、カットボールのような小さな変なもさせているのではないかとさえ思います。カーブは少し腕が緩みますし、縦の変化の落差や精度も発展途上といった気がします。そのため、狙って空振りをとれる球種は、まだないのではないのでしょうか。真っ直ぐとフォークのレベルアップが、これから最も求められる部分です。

その他

 これだけの大型でも、クィックは、1.05~1.10秒と大型。牽制も鋭いですし、フィールディングの動きも悪く有りません。野手としての資質も、高く評価されているなんて話も訊きます。ただし夏の大会を見る限りは、投手の素材ではないかと感じました。

(投球のまとめ)

 現状は、一冬越えたら凄く良くなるかもという期待感は抱けますが、まだ力で押し通すとか、凄い変化球があるわけではありません。そのため、完成度・総合力という意味では発展途上。昨年も秋の大会で、柳川 大晟(九州国際大付-日ハム育成)が150キロ台を記録して話題になったものの、結局素材が買われての育成指名でした。そう考えると、達のように1位指名になるかもしれないし、伸び悩んで育成枠あたりでという形になっても不思議ではありません。今のところ、青写真が描き難い状況です。





(投球フォーム)

 それでは、投球フォームを分析して今後の可能性について考えてみましょう。足を引き上げる勢いや、高さは並ぐらい。軸足一本で立った時、膝から上がピンと伸び切ってしまって トの字 の形になってしまっています。なんとか姿勢を保とうと余計なところに力が入ってしまったり、いち早く着地に向けて体がツッコミやすい立ち方です。

<広がる可能性> ☆☆☆ 3.0

 引き上げた足を地面に向けて伸ばしており、お尻の一塁側への落としには甘さが残ります。カーブやフォークが投げられないことはないですが、変化が鈍くなる可能性があります。

 「着地」までの地面の捉えも平均的で、体を捻り出す時間は並。したがって将来的に、武器になるほどの変化球が習得できるのかには不安が残ります。

<ボールの支配> ☆☆☆☆ 4.0

 グラブは最後まで内に抱えられており、外に逃げようとする遠心力を抑え込めています。故に軸はブレ難く、両コーナーへの投げ訳はしやすいのでは? 足の甲での地面の捉えもできており、ボールが上吊らないのが好いところ。「球持ち」はまだまだ並でボール押し込めていませんが、体ができてリリースが安定してくれば、制球はかなり変わってきそうです。

<故障のリスク> ☆☆☆★ 3.5

 お尻の落としに甘さは残すものの、カーブやフォークが投げられないほど窮屈では無さそう。そういった球種を使う頻度にもよりますが、今ぐらいであるのならば肘への負担はそれほど気にしなくて良さそうです。

 腕の送り出しを見ても、肩への負担も少なそう。けして力投派でもないので、疲労も溜めやすいといったタイプでは無さそうです。

<実戦的な術> ☆☆☆★ 3.5

 「着地」までの粘りは平均的で、ボールの出どころも並ぐらいでしょうか? 合わせやすいわけでも、嫌らしいフォームでもありません。そのへんを、角度による錯覚でどのぐらい芯をズラすことができるか?

 長い腕は体に絡んでくるので、勢いが出てくると空振りも誘えるようになるかも。ボールへの体重の乗せはまずまずなので、さらにウエートや筋力などが増して来ると、素直に球質に反映されそうです。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「体重移動」こそ好いですが、あとはもう少し粘りが欲しいところです。制球を司る動作は好いので、体ができてくれば安定してきそう。故障のリスクもさほど高くはないので、今後はいかに武器になる球を見出して行けるかではないのでしょうか。


(最後に)

 あくまでも今は、ただ球をストライクゾーンに投げ込んでいるだけといった感じです。そのため、投球術や微妙な制球力はありません。その辺を、一冬の間にどのぐらい磨いてこられるのか? しかし、秋の映像を少し見ましたが、だいぶ腕を強く振って投げ込む力強さは出てきました。そういった意味では、今後の成長に夢は膨らみます。

 しかし現状は、ドラフトの有望株ではあるものの、どのように変わってゆくのか? その青写真が描けない状況。達のように、理想的な一冬を過ごせることを祈ってやみません。それができれば、上位指名も現実味をおびてくるでしょう。


(2021年夏 福岡大会)