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茨木 秀俊(帝京長岡2年)投手 184/83 右/右 | |
投げているフォーム・身のこなし・変化球のキレなど、筋の良さという意味では全国屈指の素材ではないかと思われる 茨木 秀俊 。このひと冬の成長次第では、ドラフト上位も意識できる素材ではないかと思うのだ。 (投球内容) 昨年から監督に就任した、元日ハムの 芝草 宇宙 監督の元、指導を受けているという。凄みのある素材というよりも、芝草氏の現役時代同様に、センスに秀でたタイプではないのでしょうか。昨夏の大会では、すでに旧チームから背番号1を付けていました。しかし、大会に登場してきたのは、日本文理 との試合から。この試合に満を持して登場し、7回を投げて9安打・7失点と打たれ敗れます。秋にはチームを北信越大会に導き、最速143キロまで記録したと言います。 ストレート 135~140キロ台前半 ☆☆☆ 3.0 適度に勢いと伸びを感じさせるボールを、両サイドに投げ分けてきます。まだ球威が物足りなく、力で押し切れるほどのものはありませんでした。そのため、甘くない球でもはじき返されたりと、力で押し込むことができずに敗れました。そういったボールの強さ・体力などは、これからの課題ではないかと考えられます。 変化球 スライダー・カーブ・チェンジアップ ☆☆☆ 3.0 小さく横滑りするスライダーに、緩いカーブ。さらに、打者のタイミングを狂わせるチェンジアップなどがあります。変化球のキレ・曲がりも悪くなく、真っ直ぐに磨きがかかれば、さらに効果的に使えるようになるのではないのでしょうか。 その他 牽制も鋭く、頻繁に走者が出ると投げてきます。クィックも0.9~1.0秒と高速ですし、フィールディングの身のこなしも悪く有りませんでした。そういった野球センスは、ピカイチなのだと思います。執拗に牽制を入れるように、少し神経質なところがあるのかもしれません。 (投球のまとめ) フォーム・制球力・変化球 などのセンスはピカイチです。まだ真っすぐの球威・勢いが持続せずに、序盤で陰りが見えたところを、日本文理打線に捕まり大量失点に。秋には、自己最速の143キロ(夏は141キロ)を記録したように、少しずつ資質を伸ばしている最中です。そのため一冬越えて、どのぐらいビシッとするかで順位も変わってきそうです。そのへんは、元プロ野球出身の監督ですから、ぬかりなく指導してくれるのではないのでしょうか。 (投球フォーム) 今度は、フォームの観点から将来像を探ってみたいと思います。ワインドアップで振りかぶり、それほど勢い良く足を引き上げて来るわけではないのですが、高い位置まで上げてきます。軸足の膝にも余裕があり、実にバランス良く立てています。 <広がる可能性> ☆☆☆★ 3.5 それほど一塁側にお尻を深く落としてくるフォームではないのですが、カーブやフォークが投げられないことはないと思います。ただし、こういった球を投げても捻り出すスペースは充分ではないので、曲がりはあまり良くないかもしれません。 むしろ前にしっかり足を逃がすことができ、「着地」までの時間を稼ぐことができています。すなわち、体を捻り出す時間が確保できているので、カーブやフォーク以外の球種ならば、曲がりの大きな変化球の習得も期待できます。 <ボールの支配> ☆☆☆☆★ 4.5 グラブを最後まで内に抱えられており、外に逃げようとする遠心力を抑え込めていますし、フォームも縦推進の傾向が強くブレ難い。そのため、両コーナーへの制球は安定しやすいと考えられます。足の甲での地面の捉えも好いので、浮き上がろうとする力も抑え込めています。故に、ボールも高めには集まり難いのではないかと。 まして、「球持ち」もまずまずで、ボールもある程度押し込めています。まだ低めにビシバシ集まるという感じではありませんが、指先の感覚も良さそうですし、安定した制球力が期待できます。 <故障のリスク> ☆☆☆ 3.0 お尻の落としも、カーブやフォークが投げられないほどではないでしょう。まして、そういった球も殆どみられません。そういった意味では、窮屈になり難く肘への負担は大きくは無さそうです。 ややボールを持っている肩が上がりグラブを持っている肩が上がり気味なフォームではあるのですが、肩への負担が極端に高いというほどでも無さそう。現状は、力投派という感じもしないので、疲労を溜めやすいということも無さそうです。 <実戦的な術> ☆☆☆☆ 4.0 「着地」までの粘りもそれなりに作れていますし、ボールの出どころも平均的かと。したがって打者が苦になるほどではないにしろ、コントロールミスをしなければ、大丈夫な気はします。 何より投げ終わったあと体に絡んでくる腕の振りの柔らかさは見事で、さらに腕の振りが鋭くなるとか真っすぐの勢いが増してくれば、打者の空振りもどんどん奪えるようになるのでは? ボールにもしっかり体重を乗せてからリリースできているので、ウェートや筋力が伴ってくれば、素直にボールに反映されるフィニッシュとなっています。その証として、投げ終わったあとの地面の蹴り上げも素晴らしいです。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「開き」が並な以外はまずまずの動作がすでにできています。制球を司る動作も、将来的に武器になる変化球の習得も期待できそうですし、あとは故障に注意しつつ筋力やウェートアップ、股関節の柔軟性を養って行ければ、大きくいじる必要は無さそうなぐらい土台の良さもピカイチです。 (最後に) まだ発展途上の選手だとは思いますが、夏までに相当なレベルにまで昇りつめても不思議ではありません。土台とセンスは今年の候補中でも屈指ではないかと思えるだけに、地道にトレーニングを積んで行ければ上位指名も夢ではないでしょう。個人的にはこのオフみた高校生の中では、一番 おっ! と思わせてくれる素材でした。 (2021年夏 新潟大会) |