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大内 誠弥(日本ウェルネス宮城)投手 191/77 右/右
 




 「間違いなく好素材」




 190センチを超える長身から投げ込む、大内 誠弥 は、けして大型でもコントロールが粗いとか、変化球がイマイチといったそういった素材型ではない。むしろ、まだ肉体的に成長途上なだけで、体ができたときにはどんな球を投げ込んで来るのか楽しみな大器だと言えよう。

(投球内容)

 この夏は、
2試合 7回2/3 9安 4四死 6三 防 3.52 と、数字的には平凡なものに終わっている。

ストレート 常時140キロ前後~140キロ台中盤 ☆☆☆★ 3.5

 長身から繰り出す、適度な角度と勢いを感じさせる球で、特に球筋に優れている。まだそれほど細かいコントロールはないが、大まかに両サイドに散らせてくる。時々甘く入った球を、打ち返されるケースが多い。まだゾーン内での制球力や、そこで強豪相手に力で押し込むほど圧倒的なものはない。それでも、時々指にかかった時のボールには、この選手の可能性を感じさせてくれる。

変化球 スライダー・フォークなど ☆☆☆ 3.0

 右打者外角に切れ込むスライダーでカウントを整えたり、左打者にはフォーク系の沈む球で空振りも奪えていました。まだ甘く入ることもあるのですが、しっかり変化した時には適度なキレも感じます。今後、こういった球の精度を増して行ければ、問題ないレベルになると判断します。

その他

 大型ですが、牽制は適度に鋭いです。クィックも、1.05~1.2秒ぐらいと、基準を満たすレベルにあります。まだ、微妙な出し入れができるようなコントロールや、「間」を上手く使ってとかそういった投球術は無さそうで、そういった部分はこれから覚えて行けばと考えます。物凄くセンスがあるという感じではないものの、動きに大きな欠点や不器用さを感じるといったこともありませんでした。

(投球のまとめ)

 あくまでもまだ
発展途上の選手であり、これから凄く良くなりそうだという予感めいたものに期待するレベルでしかありません。ただし、その割には制球力・変化球・投球以外の部分も許容範囲であると考えられます。この体格であることも考えると、大化けを期待したくなる素材であるのは間違い有りません。





(投球フォーム)

 セットポジションから、足を引き上げる勢いは並ぐらい。それでも、高い位置まで足を引き上げてエネルギーを捻出します。軸足の膝にも力みがなく、バランス良く立てているところにセンスを感じます。

<広がる可能性> ☆☆☆ 3.0

 引き上げた足を地面に向けて伸ばすので、お尻はバッテリーライン上に残りがち。したがって体を捻り出すスペースが確保できないので、カーブで緩急をつけたり、フォークのように捻り出して投げる球種は適しません。

 それでも足を大きく前にステップさせることで、体を捻り出す時間を確保。カーブで緩急をつけたり、フォークのような縦にストンと落とす球は適しませんが、スライダーやチェンジアップなど他の変化は大きく特徴を出せる可能性があります。

<球の行方> 
☆☆☆★ 3.5

 グラブは最後まで体の近くに抱えられ、外に逃げようとする遠心力を内に留めることができています。そのため軸はブレ難く、両サイドへのコントロールはつけやすいのでは? 足の甲での地面の捉えもそれなりで、力を入れてもボールが高めに抜け難くはなっています。

 「球持ち」自体はまだ並なので、指先の微妙な感覚で操るといった感じではありません。したがって繊細なコントロールとまでは行きませんが、この辺も体が出来てリリースが安定してくれば、もっと精度の高い制球も身につけられる可能性があります。

<故障のリスク> 
☆☆ 2.0

 
お尻が落とせないフォームなので、カーブやフォークなどを投げようとすると窮屈になって肘などに負担がでやすいです。またボールを持っている肩が上がり、グラブを持っている方の肩が下がるなど、腕の送り出しに無理があり肩への負担も大きいそう。結構、全身を使って投げるフォームなので、故障には充分に注意して頂きたいです。

<実践的な術> 
☆☆☆☆ 4.0

 ボールの出どころは隠せており、「着地」までの粘りもあって打者として球速以上に感じさせるフォームではないかと。まして190センチを超える長身投手でもあり、角度があって打者が打ち損じてくれる確率は低くないと考えられます。

 また腕の振りが良く、投げ終わったあともしっかり体に絡んできます。それだけフォームに勢いがあるので、打者としては吊られやすいかと。ボールにも体重を乗せてからリリースできており、大型でも下半身が使えているのも非凡な部分だと言えるでしょう。体重が乗った証として、投げ終わったあと大きく足が蹴り上げられています。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では「球持ち」はまだ平凡だと思いますが、あとは素晴らしいです。
190センチを超える体格で、これだけ全身を使えバランスをとれているのは非凡です。制球を司る動作には優れているのですが、心配なのは故障の可能性。そして、カーブやフォーク系の球に適さないフォームなので、どんな変化球を武器にして行けるかといった部分でしょうか。しかし、体を捻り出す時間は充分確保できているので、スライダー・チェンジアップ系を中心に、好い球を見出して行ける可能性も感じます。この体格でありながらこのフォームは、かなり非凡な才能を持った選手だと評価します。


(最後に)

 まだ絶対的なものはありませんが、素材としてはA級だと評価します。実績的にも乏しい選手で、指名となると下位~育成あたりではないかとみています。ただし、個人的には相当な有望株だと評価して、もうワンランク上の評価をしてみたいところです。この選手が、大化けしても、何も驚かない。そのぐらいの、大器 でした。


蔵の評価:
☆☆ (中位指名級)


(2023年夏 宮城大会)