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大城 元(巨人)外野手のルーキー回顧へ







 大城 元(KBC未来沖縄3年)右翼兼投手 180/78 右/右
 




 「野手としての指名なのか」





 22年度の沖縄を代表する投手として注目してみていた 大城 元 。しかし、巨人は野手としての才能を買っての指名だという。そこで、野手・大城に焦点をあて考えてみることにした。


走塁面:☆☆☆ 3.0

 一塁までの塁間は、右打席から 4.35秒前後(左打者換算で4.1秒前後に相当)で走り抜けます。このタイムは、プロ入りする選手のほぼ平均的なタイムだと言えるでしょう。実際チームの1番打者を担っていたのですが、エースナンバーも背負う立場なのか? 盗塁を積極的に仕掛けて来るといった選手ではないように見えました。

守備面:☆☆☆ 3.0

 打球への反応や落下点までの入りは、普通といった感じでした。投手としても、コンスタントに140キロ前後記録する選手。外野からの返球を観ていても、まずまずといった感じがします。

 現時点では、守備も走塁も平均的です。しかし、肩に関しては、中の上 ぐらいのレベルにはあるのではないのでしょうか。あとは、野手に専念して、どのぐらいそういった部分が磨かれるかに懸かっています。





(打撃内容)

 この夏の沖縄大会では、5試合で 22打数6安 2点 打率.273厘 。準決勝の興南戦の模様を観ましたが、レフト前へのヒットと右中間の間に落ちるヒットを放っていました。

<構え> ☆☆☆★ 3.5

 少しクロス気味立って、前の足のカカトを浮かせて構えます。後ろ足に重心を預けつつ、腰の据わり・全体のバランスとしてはまずまず。クロスに立っているぶん、両眼で前を見据えるという意味では並ぐらいでしょうか。

<仕掛け> 遅すぎ

 投手の重心がリリースを迎える前後で動き出す、「遅すぎる仕掛け」を採用。通常ここまで遅い段階での始動だと、日本人の筋力やヘッドスピードだと、プロレベルの投手のスピードやキレに対応するのは厳しくなります。

<足の運び> ☆☆☆ 3.0

 足を引き上げずにつま先を地面に着けたまま、カカトをより浮かせて膝を捕手側に捻りながら打ちに行きます。カカトを降ろした先はクロスに踏み出しているので、インステップ的な踏み込みということになるでしょう。

 始動~着地までの「間」が短いので、狙い球を絞ってその球を逃さないことが求められます。ベース側に踏み出すことからも、外角への意識が強いことがわかります。踏み込んだ足元も踏ん張って止まれているので、逃げてゆく球や低めの球には食らいつけるののではないのでしょうか。実際に打球も、センターから右方向が多いように見えます。

<リストワーク> ☆☆★ 2.5

 あらかじめ捕手方向にグリップを引いており、トップの近い位置にあります。したがってリストワークに遊びがなく柔軟性に欠ける部分はあるのですが、始動の遅さをここで補うことはできています。

 バットの振り出しは、少し遠回りに出てくきます。それでもバットの先端であるヘッドまでは下がっていないので、ドアスイングにはなりませんし広い面でボールを捉えてます。ポイントは後ろ気味ですが、打球はフェアゾーンに飛びやすいのではないかと。そんなに角度良く飛んでゆくというタイプではないのですが、大きな孤を描いて強烈な打球を生み出します。

<軸> ☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げは殆どないので、目線の上下動はありません。体の開きも我慢できていますが、軸足の形は少し崩れがちです。

(打撃のまとめ)

 タイミングを上手く図れるのかといった問題と、内からバットが出てくるタイプではないので、内角のさばきがポイントになりそうです。打撃が好いからというよりは、走力・肩 などとのバランスに優れたタイプなのではないのでしょうか。


(最後に)

 特に打者としては特別ものは感じられませんでしたが、投手としてのセンスは悪くないものの、今後何処まで伸び代が残されているかは微妙でした。そういった意味では、野手として評価されたのもわからなくはありません。現状は、まだまだ「旬」の時期だとは思いませんでしたが、プロがどのように育て・導いてゆくのか気になります。いち早く始まった沖縄大会で、早くから注目してきた選手だけに、思い入れがあります。なんとか、大成して欲しいと願うばかりです。


(2022年夏 沖縄大会)