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岡植 純平(ソフトバンク)投手のルーキー回顧へ







岡植 純平(飾磨工業3年)投手 178/70 右/右 
 




 「旬なのか?」





 夏の兵庫大会で見たときは、育成でも指名があるかどうかといった感じだった 岡植 純平 。ソフトバンクから、育成5位で指名され、晴れてプロ入りを実現した。果たして、ソフトバンクのスカウトが、どのへんに惹かれたのか考えてみた。


(投球内容)

 少しカクカクしたフォームですが、オーソドックスな投手とのいった印象です。この夏は、13回1/3 6安 12四死 防 3.38 。2回戦で強豪・社高校に敗れたのですが、その時は制球が定まらずそれほどヒットを打たれないのに敗れてしまってもったいなかったです。

ストレート 135~140キロ強 ☆☆★ 2.5

 驚くような球威や球速はないのですが、キレのある球を投げ込んできます。さほど細かいコントロールがあるわけではないのですが、大まかに両サイドに散らしてきます。元来は、それほど制球が荒れ荒れといったタイプでは無さそうです。またキレ型の球質なので、空振りは奪えますが捉えられると長打を浴びやすい傾向にあります。

変化球 スライダー・スプリット など ☆☆☆★ 3.5

 大きく曲がるスライダーや小さく変化するカット系の球に、小さく沈むスプリットだかチェンジアップ系の球を左打者には使ってきます。また、ストンと落ちるフォークのような球もあり、この球の精度が上がってくると、打者も的を絞り難くなるのではないのでしょうか。

その他

 クィックは、1.15秒前後と平均的。牽制は、非常に鋭いターンで投げ込めます。特に、細かい駆け引きや投球術はないようですが、落ち着いてマウンドでも投げられていました。

(投球のまとめ)

 まだまだそれほど高いレベルの野球環境でやってきていていない、 あるいは投手歴も浅いそうなので、そのへんが今後の伸び代を多く残してという判断だったのかもしれません。体がしっかりできた時に、真っ直ぐがどのレベルまでゆくのか? そうなれば、変化球のキレの良さが生きてきそうなタイプです。ただし、それが数年後なのか、もっと先なのかというは判断は難しく、少なくても現時点が「旬」だといったところまでは、試合を観る限り実感はできませんでした。元来ならば、アマチュアでじっくり才能を育んでからといったタイプだとはと思いました。





(投球フォーム)

 今度は、フォームの観点から考えてみましょう。セットポジションから、ジワ~と足を引き上げてきます。特に軸足一本で立った時に、膝に力みがなくバランス良く立てているのは良いところ。

<広がる可能性> ☆☆☆★ 3.5

 お尻はバッテリーライン上に落ちがちなので、体を捻り出すスペースとしては充分とはいえません。そのため、体を捻り出して投げるカーブやフォークといった球種には適しません。

 その一方で、前に大きくステップさせることで「着地」までの地面の捉えを遅らせることができています。体を捻り出す時間は確保できているので、カーブやフォークといった球種以外ならば、曲がりの大きな変化球を習得しても不思議ではありません

<ボールの支配> ☆☆☆ 3.0

 グラブは体にくっつけて抱えられているわけではないのですが、最後まで解けないで体の近くにはあります。ある程度は、外に逃げようとする遠心力は抑え込めていて、大まかに両サイドには投げ分けることができています。

 足の甲での地面の捉えは浮いてしまっているので、力を入れて投げるとボールが上吊りやすいと考えられます。それでも「球持ち」はまずまずなので、ある程度手元でボールを制御できている感じです。

<故障のリスク> ☆☆☆ 3.0

 お尻の落としは甘いのですが、カーブやフォーク系の球は多くは投げて来ないので、そこまで気にしなくても良さそうです。腕の送り出しにも無理は感じられないので、肩への負担も少なめ。力投派というよりは、まだ体を活かしきれて投げられていない方なので、疲労もそこまで溜めることはないのではないのでしょうか。

<実戦的な術> ☆☆☆ 3.0

 「着地」までの地面の捉えは我慢できているので、けして合わされやすいことは無さそうです。ただし、ボールの出どころは早めに見えている「開き」の早さが見られます。したがってコースを突いた球が踏み込まれて打たれたり、縦の変化を振ってもらえない、そういったことは起こるかもしれません。

 腕は振れていて、体にも絡んできています。しかし、上記にも書いたようにボールの出どころが見やすいので、その効果は限定的ではないかと。前にしっかり体重を乗せてといった感じではないので、あくまでも上半身や腕の振りで、キレを出してゆく感じのフォームになっています。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「開き」と「体重移動」に課題を残します。故障のリスクや制球を司る動作は平均的ですが、武器になるような変化球の習得は望めるかもしれません。ただし、カーブやフォークの曲がり鈍くなりそうなので、その点で違う球で緩急を効かせたり決め球になるような球を見出だせるかではないのでしょうか。


(最後に)

 将来凄く良くなる可能性もあるとは思いますが、現時点でのパフォーマンスはこれからといった気がします。それだけに、混ぜてみないとわからないといった感じで、私ならば無理に今の段階では指名しないと判断します。ただし、それも充分わかった上での育成枠指名なのでしょう。何かスカウトの心を打つものがあったら、積極的に獲得にゆくのがソフトバンク流。そういった色彩の強い、指名だったのではないのでしょうか。


(2022年夏 兵庫大会)