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佐々木 明都(学法福島3年)投手 183/78 右/右 | |
均整のとれた体格から、柔らかい身のこなしで投げ込んでくる 佐々木 明都 。まだまだ伸びて行きそうな、予感めいたものは感じさせてくれる素材だった。 (投球内容) この夏の成績は、12回2/3 7安 11四死 19三 防 2.13 。投球の模様は、春季大会のものであることを、あらかじめご了承願いたい。腕の振りは、スリークォーターといった感じだった。 ストレート 常時140キロ前後ぐらい ☆☆★ 2.5 球速は140キロ前後で、まだまだ球威が物足りず、球筋も安定していない印象だった。全体的に高めにゆく球が多く、甘く入った球を時々痛打される形。現状はまだまだ高校生の球といった感じだが、体ができてくれば見違えるような球を投げても不思議ではない投げ方はできている。 変化球 スライダーなど ☆☆ 2.0 現状は、スライダーとのコンビネーションで投球を組み立ててくる。ただし、このスライダーが高めに浮いたり、欲しい時にこの球でカウントが整えられるといったほどの精度はまだない。たまに、もっと緩いカーブや縦の変化もあるようだが、確認した試合ではよくわからなかった。 その他 クィックは1.15秒前後と平均的で、牽制はそれなりに鋭いターンで送球できていた。特に微妙な出し入れをするとか、間を変えてとか、そういった投球術をする余裕はまだまだないのかもしれない。 (投球のまとめ) 現状は育成6位の指名が示す通り、内容的にはまだまだでした。それでも、凄く良くなるかもという期待を抱きたくなる素材ではあると思うので、そのへんが思惑どおり行きそうなのか? 技術的な観点から考えてみたいと思います。 (投球フォーム) セットポジションから、足を引き上げる勢いや高さがあるフォーム。軸足一本で立ったときには、膝がピンと伸びがちではあるものの、全体的にはバランス良く立てている。 <広がる可能性> ☆☆☆☆ 4.0 引き上げた足を高い位置でピンと伸ばしているので、お尻は一塁側に落ちて体を捻り出すスペースを確保できている。したがってカーブで緩急を利かしたり、フォークのような縦の変化の習得にも無理のないフォームだと言える。 「着地」までの地面を捉えるまでも適度な粘りがあり、体を捻り出す時間を確保。そういった意味では、曲がりの大きな変化球の習得も期待でき、将来的に武器になるような球を身につけてもおかしくはない。 <ボールの支配> ☆☆☆ 3.0 グラブは最後まで体の近くにあるので、外に逃げようとする遠心力を内に留めることができている。したがって軸はブレ難いはず。しかし、足の甲での地面の捉えが浅く、浮き上がろうとする力を抑え込めていない。そのため、ボールが高めに集まりやすい傾向が強い。「球持ち」に関しては平均的で、現状は両サイドよりも高低の制球力に課題がありそうだ。 <故障のリスク> ☆☆☆☆ 4.0 お尻は落とせているので、肘へ負担は少ないフォームだと考えられます。また現状は、カーブやフォーク・シュートなど、肘に負担のかかる球種も見られないので、この点はあまり気にしなくて良いのではと。 また、腕の送り出しを見ていても、肩への負担も少なそう。力投派といったフォームでもないので、現状はそれほど疲労を溜めやすいといったことはなさそうです。ただし、最後の夏は最高で4イニング程度と、あまり長い回を投げていなかったのは気に材料ではあります。 <実戦的な術> ☆☆☆ 3.0 「着地」までの粘りは作れているので、打者としてはタイミングが図り難いフォームではないかと。ただし、開きが早く球筋は見えやすいので、コースを突いたはずの球が打ち返されたり、縦の変化を見極められてしまったりと、そういった恐れはあります。 腕はしっかり投げ終わったあと体に絡んできているのですが、ボールの出どころが見やすいことで、吊られ難いかもしれません。ボールにはまだ充分に体重を乗せきる前にリリースを迎えてしまっているのか? 打者の手元までの球威・勢いは発展途上といった感じがします。そういった意味では、「体重移動」を身につけるのもこれからなのではないのでしょうか。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「開き」と「体重移動」に課題を残しています。故障のリスクが低そうなのと、将来的に武器になる変化球が習得できそうなのは明るい材料。あとは、下半身の使い方を身につけて、上吊りやすい制球力の改善に、エネルギー伝達を最後まで繋げられる「体重移動」を習得できるかが鍵になりそうです。 (最後に) 現時点での投球はまだまだなので、モノになるのには5年ぐらいかかるかもしれません。ただし、そういった時間を見てもらえば、大化けしても不思議ではない可能性は感じさせます。何かしらそういった手応えがあったからこその指名だと思うので、長い目で見守って頂きたい投手でした。 (2022年 春季福島大会) |