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松本 直(明治大4年)投手 181/92 右/右 (鎌倉学園出身) 
 




 「大川 慈英 より好み」





 昨年、日本ハムから1位指名を受けた大学の先輩・大川慈英。しかし個人的には、その大川以上に高く評価しているのが、この 松本 直 だ。両者を比較しながら、松本投手の今後の可能性について考察してみたい。


(投球内容)

今春のリーグ戦では8試合に登板。チームのクローザーとして躍動するその姿には、一年前の大川と重なるものがある。

ストレート:常時145キロ前後~MAX151キロ(
☆☆☆☆ 4.0

 球速だけを見れば145キロ前後と驚異的ではないが、球質が良いため
空振りを奪えるのが最大の武器だ。左打者の外角高めに抜ける場面は見られるものの、真ん中の甘いゾーンへ入らない制球力がある。特に右打者の外角低めに決まる直球は手も足も出ない。大川が「ボールの質の割に合わせられやすい」のに対し、松本の直球は捉えられにくい質の高さを感じさせる。

横変化:スライダー(
☆☆★ 2.5

 横に滑るスライダーでカウントを整えるが、使用頻度は後述する縦の変化球よりも低い。

縦変化:フォーク(
☆☆☆ 3.0

 ストンと落ちるというよりは、スプリット気味に小さく沈む軌道が多い。ストライクゾーンにも収まるため、打者の空振りを狙う絶対的な決め球というよりは、投球の幅を広げる役割に近い。

その他(
☆☆☆★ 3.5

 クイックは0.9秒台と非常に高速で、牽制も鋭い。走者にとって盗塁のスタートが切りにくい投手だろう。細かい投球術はこれからの課題だが、高校時代と比較して技術面は格段に向上しており、この成長曲線は高く評価できる。

(投球のまとめ)

 直球の質の高さに最大の魅力がある
リリーフ適性の高い投手だ。力強いストレートでピンチを脱するリリーバーを求める球団にとっては、非常に魅力的な素材と言えるだろう。





(大川投手との比較)

 4年春時点の成績を比較し、両者の投球傾向を掘り下げてみたい。


氏名
投球回数
被安打
四死球 奪三振  防御率 K/BB WHIP
大川 慈英 18回1/3 15 5 20 2.45 3.63 1.07
松本 直 16回1/3 9 5 18 1.10 6.33 0.73


(セイバーメトリクスによる比較・考察)

 両者の成績を比較すると、松本が単なる「大川の後継者」ではなく、より投球の支配力が高い
「ワンランク上のリリーバー」である可能性が見えてきます。

K/BB(奪三振と四死球の割合)の圧倒的差

説明: 四死球1つに対し、どれだけの三振を奪えるかを示す指標。投手としての「制球力」「打者との駆け引き」を測る最も重要な指標の一つです。

分析: 大川の3.63も優秀ですが、松本の
6.33は驚異的です。松本は無駄な走者を出す確率が極端に低く、追い込んでから三振で仕留めるという、リリーバーに最も求められる「一球で仕留める能力」において、先輩を大きく凌駕しています。

WHIP(投球回あたりの走者許容数)の優秀さ

説明: 1イニングあたり平均して何人の走者を出すかを示す指標。
0.73という数字は、走者をほぼ出すことなくイニングを終えていることを意味します。

分析: 大川も先発・リリーフをこなせる高いレベルですが、松本の0.73はまさに「無双状態」です。松本のストレートの質が、打者にとって「球速表示以上に捉えにくい」という現場の印象を、数字が如実に裏付けています。


総評:大川を超えうる「支配的なリリーバー」

 セイバーメトリクスの観点から言えば、松本は単なる球速の速い投手ではなく、「打者に対し、ゾーン内で勝負しても打たれない」という、極めて完成度の高いリリーバーです。

 大川が先発・救援をこなす器用さを持っているとすれば、松本は「ここぞ」という場面で打者をねじ伏せるクローザーとしての適性が突き抜けています。
K/BBの異常な高さとWHIPの低さは、彼がプロレベルの打者に対しても、制球を乱すことなく三振を奪い続けられる可能性を十分に示唆しています。


(最後に)

 4年春の時点では、実際の投球も成績的にも 松本 投手の方が魅力的に見えます。ただし、大川投手は4年秋の充実ぶりが1位指名に繋がった部分もあり、松本投手も同じような成長曲線を描けるのかで、順位も変わってきそうです。現状は、4位前後ぐらいとみておくのが妥当のラインではないかと思います。今後の内容次第では、大川投手同様に上位指名が現実味を帯びてくるかもしれません。


蔵の評価:
☆☆(中位指名級)


(2026年 春季リーグ戦)









 松本 直(鎌倉学園3年)投手 180/86 右/右





  「真っすぐの勢いは神奈川NO.1」





 春季大会の頃から、MAX146キロを記録する投手として県下では話題になっていた 松本 直 。バックネット裏からの映像は見たことがあったのだが、センターカメラからの球筋は今年はじめてみた。昨年から ボールの勢いは素晴らしかったが、改めてこの夏の神奈川では、NO.1の真っ直ぐを投げ込む投手との印象。全国的にみても、この夏みた直球の勢いという意味では指折りの存在だった。


ストレート 常時140キロ前後~140キロ台中盤 
☆☆☆★ 3.5

回転の良さと適度な球威が、打者の手元での勢いを演出するタイプの真っ直ぐです。力を入れて投げるとボールが上吊ったり抜けたりはしがちでしたが、ボールに勢いがあるので並の高校生では空振りしてしまう勢いがあります。コントロールは荒っぽいのですが、その真っ直ぐ中心に押せるのはこの投手の最大の魅力です。

変化球 スライダー・ツーシーム? など 
☆☆★ 2.5

 確認した県立横須賀戦では、リリーフだったのもあり、投球のほとんどは真っ直ぐ。スライダーや左打者外角にシュート回転する球は、意図的に投げているのかナチュラルなのかはよくわかりません。その他にも、高速で沈むスプリット気味の球もあったように見えますが、ほとんど変化球は投げませんでした。現状は、どの球も真っ直ぐほどの信頼度がないのでしょう。

その他

 牽制はよくわからなかったのですが、フィールディングの動きはよく、クィックも1.1秒前後でまとめられるなど、投げる以外の能力もそれなり高いことがわかります。マウンドさばきもけして悪い選手ではないので、真っすぐのコマンドに余裕が出てくれば、もっと変化球を活かす投球術も身につけることは可能だと考えられます。

(投球のまとめ)

 現時点でも、真っすぐの威力だけならばドラフト指名級の内容だったと思います。その一方で、真っすぐの制球力・変化球の信頼度等考えると、意見は別れるところかと思います。若田部健一(元ダイエー)や長田秀一郎(元西武)などの先輩たちなどでも大学を経由したことを考えると、進学が前提の選手なのではないかとみています。そういった意味では、プロ側も無理はせずに4年後まで成長を見守ることになるのではないのでしょうか。


(投球フォーム)

 セットポジションから、割合静かに足の引き上げも平均的。軸足一本で立ったときに、膝に余裕がなくピンと伸び切ってしまっているので、バランス良く立つために力みが生じやすい。

<広がる可能性> 
☆☆☆ 3.0

 足をピンと伸ばすことなく重心を沈ませてくるので、お尻はバッテリーライン上に落ちてしまっています。そのため、カーブで緩急をつけたり、フォークのような縦の変化には適さない投げ方のような気がします。

 前に大きくステップさせることで「着地」までの時間を稼げてはいるので、カーブやフォークといった変化球以外ならば、それなりに曲がりの大きな変化も期待できそうなもの。しかし現状は、速球を少し変化させる程度のものが多い。

< ボールの支配> 
☆☆★ 2.5

 グラブは最後まで体の近くで抱えられているものの、最後は後ろに流れ気味。そういった意味では、軸のブレを充分に防げているかは微妙で、両サイドの制球力も乱れる可能性が。

 それ以上に気になるのは、足の甲の地面の押しつけが遅かったり浅かったりで、充分には浮き上がろうとする力が抑え込めていない。したがって力を入れて投げると、ボールも高めに集まったり抜けやすく、高低の制球が制御できていなかった。それでも「球持ち」自体は悪くないので、試合を大きく壊すほどは荒れ荒れではないのだが・・・。

<故障のリスク> 
☆☆☆ 3.0

 お尻が落とせないフォームではあるのだが、現状カーブやフォーク系の球を使う頻度は少ない。そういった意味では、この点はあまり気にしなくても良さそう。また腕の送り出しをみても、肩への負担は少なそう。むしろ結構全身を使って投げる力投派なので、疲労はそれなりに溜めやすいのではないかと考えられる。そこからフォームを崩し、思わぬところに負担がかかる恐れはあるのだろう。

<実戦的な術> 
☆☆☆★ 3.5

 「着地」までの粘りは適度に作れていて合わされやすいということは無さそうだが、フォームが直線的でボールの出どころも平均的なことを考えると、コースにある程度投げてもも踏み込まれる(予想されやすい)ことは結構あるのかもしれない。

 腕を強く叩けており、打者としては吊られやすい腕の振り。ボールにも適度に体重を乗せてからリリースできており、打者の手元までしっかり伸びてくる球質と球威を誇っている。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「開き」などが平凡な上、直線的なフォームなので多少合わされやすい傾向があるかも。しかし、あとの部分はしっかりできている。制球を司る動作では、やはり高めに集まり抜けやすいのが最大のネック。故障のリスクは平均的ではあるものの、今後いかに投球の幅を広げて行けるかも課題としてあげられる。そういった意味では、ある程度時間をかけて課題に取り組む時間が必要なのではないのだろうか。


(最後に)

 仮にプロ志望ならば、育成あたりならば充分ありな ボールを投げ込んでくる。しかし、変化球・制球力・さらに高い次元での野球をさらに経験する方が、今後の彼のためには良いように思える。素材しては魅力的な選手ではあるが、あえて☆は付けないで彼の今後を見守って行きたい。今年の神奈川では、最も魅力を感じさせてくれた投手だった。


(2022年夏 神奈川大会)