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米田 天翼(東海大3年)投手 174/78 右/右 (市立和歌山出身) 
 




 「しっかりと配球が組み立てられる」





 プロの先発投手のように、意図した配球を論理的に組み立てられる投手はアマチュア球界ではなかなかいない。そんな中、この 米田 天翼 は、すでにその領域に足を踏み入れている貴重な存在だ。


(投球内容)

 3年春のリーグ戦では6勝を挙げ、防御率1.44(リーグ2位)という抜群の成績をマーク。大学選手権でも3試合に登板するなど、充実したシーズンを送った。一方、秋はわずか1勝に終わり、春の疲れからか波に乗り切れない場面も見られた。今回は、秋のリーグ戦初戦・城西大戦の模様から投球を分析する。

【セイバーメトリクスによる補足分析】

K/BB
2.26 (説明:奪三振と与四球の比率。3.5を超えると優秀とされるが、2.26という数字は試合を壊さない安定した制球力を示している。)

WHIP
1.13 (説明:1イニングあたりに出した走者の数。1.10〜1.20は「エース級」の指標。安打や四球で無駄な走者を出さない、質の高い投球が数値に表れている。)

K9
7.24 (説明:9イニング換算の奪三振数。力でねじ伏せるタイプではないが、配球で打ち取りながらも、要所で三振を取れる能力がある。)

BB9
3.21 (説明:9イニング換算の与四球数。大崩れはしないが、秋の不調時にやや四球が増えたことがこの数値に反映されている。)


投球回数
被安打
四死球 奪三振 防御率 K/BB WHIP K9 BB9
87 67 31 70 2.07 2.26 1.13 7.24 3.21


ストレート:常時145キロ前後(評価:☆☆☆★ 3.5

 秋の開幕当初は春の疲れが懸念されたが、ボールの走りは決して悪くなかった。打者の手元でピュッと切れる速球は健在で、打者がワンテンポ振り遅れる場面が目立つ。時折高めに抜けることもあるが、基本的には両サイドへしっかりと投げ分けられている。

横の変化:カットボール・スライダー(評価:
☆☆☆★ 3.5

 これらの球種で自在にカウントを整えられるのが最大の強み。追い込んでからは、ボールゾーンへ逃げながら切れ込む
スライダーで空振りを誘う技術も持ち合わせている。

縦の変化:スプリット・ツーシーム(評価:
☆☆☆ 3.0

 チェンジアップのようにカウントを稼ぐツーシームと、決め球にするスプリットを使い分ける。ただ、空振りを奪うという意味では、まだ絶対的な精度や落差は持ち合わせていない。

緩急:カーブ(評価:
☆☆☆ 3.0

 スローカーブというよりは、他の変化球より球速を落とし、大きく曲げてタイミングを外すタイプ。この球でもしっかりストライクが取れるため、投球の幅が広い。

その他(評価:
☆☆☆★ 3.5

 クイックタイムは1.05〜1.15秒と高水準。走者への目配せも行き届いており、盗塁を許しにくい。牽制やフィールディングも洗練されている。特筆すべきは「投球の組み立て」の妙であり、投げる以外の動作を含めたマウンド捌きはすでに完成の域にある。

(投球のまとめ)

 この球が調子が悪ければ、この球を今日は重視しようなど、その日の調子や状況に応じて配球を変えられるバリエーションの豊富さと器用さがある。また変化球を自在に操れるので、実に多彩な投球が可能で相手に的を絞らせない投球ができる。こういった投球ができているアマチュア選手は、今年の候補でほとんどいない。良い時の投球は、
プロのローテーション級の配球だと評価できる。





(フォーム分析)

 セットポジションから足を引き上げる勢いはあるが、高さは平均的。タメを作るスタイルではないため、本質的にはリリーフ適性が高そうだ。

<広がる可能性>(評価:
☆☆☆★ 3.5

 お尻の落としにやや甘さはあるが、「着地」までの地面の捉えに粘りがあり、体を捻り出す時間を確保できている。このため、現状の球種だけでなく、さらに曲がりの大きな変化球を習得できる余地を残している。

<ボールの支配>(評価:
☆☆☆ 3.0

 グラブを内に抱え込み、遠心力を抑えることで軸のブレを防いでいる。両サイドへの制球が良いのはこのためだ。ただし、地面を捉える足の甲の意識がやや浅く、球持ちでも押し込みが足りず、それが高めへの抜け球につながっている。

<故障のリスク>(評価:
☆☆☆ 3.0

 お尻の落としや肩のラインの傾きに極端なクセはなく、故障リスクは平均的。力投派ではないため、体のケアを怠らなければ、長く活躍できるタイプだろう。

<実戦的な術>(評価:
☆☆☆ 3.0

 「着地」までの粘りは作れているが、体の「開き」は平均的。リリースの瞬間にもう少し我慢ができるようになれば、打者の手元での威力がさらに増し、変化球のキレもより鋭くなるはずだ。

(フォームのまとめ)

 「着地」以外の動作にはまだ改善の余地がある。特に
高低の制球ミスを減らすことが、上のレベルでの安定感に直結するだろう。


(最後に)

 配球を含めた投球術は、今年のドラフト候補の中でも屈指の存在だ。課題は、その配球を支える
コントロールとボールの質の「再現性」にある。 調子の波を最小限に抑えられれば、石田 裕太郎(中央大ーDeNA5位)のような、1年目からプロで勝てる実戦派右腕になり得る資質を持っている。勝負の最終学年、彼がどこまで安定感を高めてくるか、その真価を見極めていきたい。


(2025年 秋季リーグ戦)








米田 天翼(市立和歌山3年)投手 174/78 右/右 
 




「真っ直ぐは小園以上」 





 打者の手元での真っ直ぐの質では、1学年上でDeNAに1位指名された・小園 健太 よりも上なのではないかと思われる 米田 天翼 。体格や総合力では小園にまだまだ及ばないが、先輩譲りのマウンドセンスも受け継いでいる。


(投球内容)

 選抜では3試合に登板し、大阪桐蔭戦に打ち込まれたのもあるのだが、19回 25安 8四死 17三 防 6.16 といった内容で数字的にはイマイチでした。

ストレート 140キロ前後~145キロ ☆☆☆★ 3.5

 球速的にはまだ驚くほどのものはないものの、回転数の多い高めの浮き上がるような真っ直ぐで空振りを誘えるのは魅力。ただし、左打者に対して外角の球が抜け気味になることが多く、ボールが上手く制御できないことも少なくありません。その一方で、右打者には比較的制球は安定しているのですが。

変化球 スライダー・カーブ・ツーシームなど ☆☆☆ 3.0

 右打者外角にしっかりスライダーを決められる一方で、左打者には高めに甘かったり抜けることが多いのは気になります。左打者には、ツーシーム系の球と真っすぐのコンビネーションになります。比較的ツーシームは抜けることがないのが少ないのと、時々カーブを交えアクセントを効かせます。現状はまだまだ縦の変化球の精度や落差が鈍く、真っ直ぐ以外で空振りを取れる球はなさそうです。

その他

 クィックは、1.05~1.15秒とそれなりで、牽制やフィールディングに関しては上手い部類です。マウンドさばきなども良く、投手としてのセンスは感じられるタイプです。

(投球のまとめ)

 ボール自体はドラフト級ですし、持っているセンスなども素晴らしい。その反面体格から伸びしろの部分や、左打者中心に制球を見出したり、決めて不足のところもあるとなると、大学に進学する可能性は充分あるのではないかと思います。プロ志向が強く高校からの指名を確実にするためには、夏までにワンランク上の総合力を身につける必要があるのかもしれません。


(投球フォーム)

 ノーワインドアップから、足を引き上げる勢いや高さはそれなりといった感じ。軸足の膝には余裕はないものの、バランス良くは立てています。

<広がる可能性> ☆☆★ 2.5

 お尻の一塁側への落としには甘さが残り、カーブやフォークを投げられないことはないものの、変化が鈍くなりがちになるのではないのだろうか。「着地」までの地面の粘りも不十分で、曲がりの大きな変化球よりも球速のある小さな変化球を中心に、投球の幅を広げてゆくことになるのではないかと。

<ボールの支配> ☆☆☆ 3.0

 グラブは最後まで内に抱えられており、外に逃げようとする遠心力は内にとどめています。そういった意味では軸はブレ難く、両サイドのコントロールはつけやすいかと。問題は、足の甲での地面の捉えが浅く、浮き上がろうとする力を抑え込めていないこと。そのため力を入れたボールは、高めに抜けやすい傾向にあります。「球持ち」自体前で放せていて悪く見えないのですが、まだまだリリースで充分ボールを押し込めていないというのことなのでしょう。

<故障のリスク> ☆☆☆★ 3.5

 お尻の落としには甘さはあるものの、カーブやフォークを投げられないというほど窮屈ではないのかも。カーブの頻度はそれなりではあるけれど、そこまでナーバスになる必要はないのでは? それでも肘のケアには、充分注意を払ってもらいたい。

 腕の送り出しには無理は感じられず、肩への負担は少なそう。それほど力投派でもないので、疲労も溜め難いのではないのだろうか。

<実戦的な術> ☆☆★ 2.5

 「着地」までの粘りがさほどなく、打者としては苦にならないフォームかもしれない。またボールの出どころもさほど隠せているわけではないので、この点でも甘くない球を打ち返されたり縦の変化球を振ってもらえない恐れはある。

 腕の振りは悪くないので、ツーシームなど変化球はまずまず。しかし、ボールにしっかり体重を乗せてから投げているわけではないので、キレや球速が鈍って来ると一気に打ち込まれてしまう恐れがある。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「着地」「開き」「体重移動」に物足りなさがあり、そのへんは「着地」までの粘りが作れるようになると、全体が変わってくる可能性がある。高めに抜けやすい制球力は気になるところで、故障のリスクはさほど高くないものの、将来的に武器になる変化球も習得できるかは微妙なところ。そういった意味では、フォームが原因で伸び悩む可能性は否定できない。


(最後に)

 真っ直ぐに関しては、高校からプロに行けそうなぐらいのボールを投げられている。しかし、体格からくる上積みがどうかという部分に加え、フォームや武器になる変化球・制球力など不安は拭えない。そういった意味では、夏まで追いかけて指名レベルにあるのか見極めて行きたい選手だった。


蔵の評価:追跡級!


(2022年 選抜大会)