22dy-6
澤井 廉 (中京大3年)右翼 180/80 左/左 (中京大中京出身) | |
昨年春に、阪神に育成指名された 伊藤 稜 (中京大)左腕 を観に行った時に、左中間スタンドに一発を叩き込む姿を目にした 澤井 廉 。その他の打席でも、強烈な打球を連発し、リーグでは別格の存在感を示していた。 (守備・走塁面) 一塁までの到達タイムは、高校時代に計測した時には左打席から4.4秒前後だったので、かなり遅い部類になる。3年秋のシーズンでは2盗塁を記録しているが、他のシーズンでは0個~1個ぐらいと、けして走力でアピールするタイプなのではないのだろう。実際には、もう少し早いタイムも出せそうには見えたのだが・・・。 それでもチームではライトを任されているが、無難な打球しか飛んでゆかずよくらないまま終わってしまった。それでもライトを任されているところをみると、地肩は強いのかもしれない。走塁と守備に関しては、ぜひ最終学年のプレーも確認して、能力を見極めて行きたい。 (打撃内容) リーグでは圧倒的な存在感を示し、大学日本代表合宿にも招集され紅白戦でも活躍。しかし、リーグ戦での成績は3割前後のシーズンばかりで、最多本塁打も2本と、グランドでの存在感の割に成績は平凡な成績に留まっている。 <構え> ☆☆☆☆ 4.0 前の足を軽く引いて、カカトを浮かして構えます。グリップの高さは平均的で、背筋を伸ばしバランス良く立てています。両眼で前を見据える姿勢も悪くないですし、打席でも強打者らしい雰囲気をプンプン漂わせています。 <仕掛け> 早め 投手の重心が下がり始める時に動き出す、「早めの仕掛け」を採用。確実性を重視した、アベレージヒッターに多くみられる仕掛けです。強打者のイメージが強いのですが、対応力を重視したスタイルです。 <足の運び> ☆☆☆ 3.0 足を引き上げて回し込み、ベースから離れた方向に踏み出すアウトステップを採用。始動~着地までの「間」は取れており、速球でも変化球でもスピードの変化には幅広く対応できます。アウトステップするように、内角への意識が強いと考えられます。 気になるのは、踏み込んだ前の足がインパクトの際に動いてしまうこと。そのため、真ん中~内角寄りの球をセンターからライト方向に打ち返すのは良いのですが、逃げてゆく球や低めの球に対し「開き」を我慢できるのかは疑問です。 <リストワーク> ☆☆☆☆ 4.0 打撃の準備である「トップ」を作るのは自然体で、力み無くボールを呼び込めているところは良いところ。バットの振り出しにも癖はなく、内角寄りの球にも肘をたたんで上手く振り抜けています。バットの先端であるヘッドも下がらないので、ボールをフェアゾーンに飛ばしやすい。スイングの弧も大きく、強烈な打球を生み出す原動力になっています。 <軸> ☆☆☆★ 3.5 足の上げ下げあるのですが、目線の上下動は激しくはありません。体の開きが我慢できていないのは気になりますが、軸足は地面から真っ直ぐ伸びて安定。内モモの筋肉にも強さが感じられ、強烈な打球を生み出す原動力になっています。 (打撃のまとめ) 打撃の潜在能力は高いと思うので、むしろリーグ戦の成績がこの程度なのは正直驚きです。しかし、富士大時代の 山川穂高(西武)なども全日本に招集されていましたが、リーグ戦の成績は下級生の頃たいしたことがありませんでした。気合の入った、最終学年にどのぐらいの成績を残すのか注目されます。それでも平凡な成績にとどまるようであれば、かなり大きな欠点が存在するのかもしれません。 (最後に) 守備力が正直掴みきれていないのと、リーグ戦成績がもう一つな点は気になります。恐らく考えられるのは、逃げてゆく球や低めの球に弱い部分があり、打てるゾーンの球にはインパクトのある打撃をするという両極端の部分が存在するからではないかと。 打席に入るときも、強打者らしく足場をしっかり固めてから構えるなど、適度なこだわりも感じられます。これまで見せてきたインパクトが本物ならば、最終学年はリーグで突出した成績を残せるはずです。ただしいずれにしても長距離打者というよりは、強烈な打球や勝負強さを売りにする、中距離・ポイントゲッター 。そう考えた方が、無難なのではないのでしょうか。 (2021年 春季リーグ戦) |